1 / 1
第1話
しおりを挟む
僕がプレイしているVRMMO『ヒーリングワールド~七色に輝く世界樹の果実』は、プレイヤー毎に全く異なるデイリーミッションがあたえらる事で人気となったゲームだ。
それにより、異なる目的を持った者同士が協力し合ったり、最後の最後で裏切り合いになったり。様々な打算や駆け引きが生まれるお陰で気が抜けない世界でもあり、それが絶妙な面白さを生み出していた。
そんなデイリーミッションの名称こそが七色に輝く世界樹の果実だった。毎日同じ様な目的を繰り返すだけのありふれた仕様とは違いログインする度に新鮮な気持ちで本日のプレイ予定を組み立てるのが心地良かった。
ヒーリングワールドにどっぷりと浸った僕はプレイ動画を配信し、いつの間にか全プレイヤーから羨望の眼差しを受けるスタープレイヤーになっていた。そして、プレイ動画の広告収入だけで食っていける様になった頃にはバイトを辞めてますますこの世界にのめり込む様になっていた。
そんな時、ヒーリングワールドの運営会社は買収された。そして、新たな運営が発足した時からログイン直後にリアルの方の僕がフリーズする様になった。毎日変わるデイリーミッションが安定してクズ過ぎるーーーー!!
『聖女のう○こを入手しましょう。今日もヒーリングワールドの冒険を楽しんで下さいね♪』、今日インして初めて表示されたメッセージだった。
デイリー報酬獲得はプレイの基本、攻略動画でそう宣言してしまっている僕がスルーなんてするわけにはいかない。それに、僕の生活はこのゲームに完全依存している。この世界で落ちぶれる事はリアル没落をも意味するのだ……。
とにかく、他のプレイヤーが操作している聖女とパーティを組もうと冒険者ギルドへやって来た。僕の聖騎士と同じで難易度の高い上級職クエストをクリアした者だけがなれるジョブ、そんなに多く存在しているわけではない希少な存在だ。
『聖女フロレス』、意外とあっさり見付かった彼女もパーティメンバーを探している様だ。さて、何か適当な攻略目標でもでっち上げて誘ってみる事にしよう。一緒に冒険に出ない事には、彼女に脱糞してもらう機会も得られまい。
この世界では最低でも1日に1回はキャラクターに大の方の便意アラートが出る。出てから30分以内に済ませなければ徐々にHPが減り始め最悪は死に至る。しかも、キャラが死んだ瞬間にお漏らしをした上で1時間はその場に死体が放置される。つまり、通りすがりの他プレイヤーにそんな惨めな姿を晒す事になってしまうのだ。
フロレスさんはあまりにも可憐なキャラクターヴィジュアル、中の人的には絶対にう〇こを漏らしながら死亡する様を誰かに見られたくあるまい!だから便意アラートが出たら必ずう〇こを出す。
だが、フロレスさんの笑顔に触れる度に彼女のう〇こ狙いである僕が必要以上に罪深い存在に思えて胸が苦しくなってきた……。中の人も本当に可愛かったらどうしよう、罪悪感は更につのるばかりだ。
いっそ中の人がおっさんだと思い込む事で罪を薄めてみるか?中の人おっさんのう〇こを欲しがる僕、何だか気持ちが悪くなってきて逆効果だ……。気を取り直して声をかける。
「お嬢さん、今月のレイドボス討伐はお済みですか?」
「えぇ~~と、まだですわ。あれ? あなたは聖騎士ロスティ様では?」
「えぇ、一応そうです」
「すごーーい! 攻略動画をいつも拝見しておりますわ」
「もしよろしければこれから一緒にどうでしょう?」
「是非! ご一緒出来るなんてとても光栄ですわ」
これも日頃の生活費稼ぎの賜物。この世界の有名人である僕は対象を冒険へ釣り出す事に成功した。ただし、僕はとっくに討伐済みなのでMP回復薬等を恐ろしく消耗してしまう赤字確定のバトルを改めて経験する意味はない。
大事なのはボスがいる場所、やたら標高の高い山の頂に辿り着くまでには相当に時間がかかる、その間に便意アラートが鳴って欲しいと切に願う。
聖騎士と聖女ならば2人でも戦えるボスだが僕は3人目として賢者ルウェルを加えた。ポイントは女性である事のみ。賢者ルウェルがもよおした際、ついでに感覚で連だってう○こをしに藪の奥へ入ってくれるかもしれない、それを期待しての釣りう〇こ人員配置だ。
山道では雑魚モンスターの襲撃に見舞われた。本来なら聖騎士の僕が全面的にパーティの盾となって進むべきだが、つまづいたふりをして数体を後ろへ抜けさせた。フロレスさんの腹部に打撃が入れば、それをきっかけに便意アラートが出てくれるかもしれないからだ。
「ルウェルさん、ナイス!」
フロレスさんにタックルを入れる態勢に入ったゴブリンは賢者ルウェルが放った火球に焼かれていた。その様子に、僕は笑顔を浮かべながら一切心にもない賞賛を送っていた。
昼時。山の中腹辺りまで登っていた僕達は見晴らしのいい崖の上で昼食をとる事にした。
「ロスティさん、すごい! 調理スキルを随分とお上げになっているんですね!!」
「冒険の合間の食事も楽しみの1つですからね。こんなに眺めのいい場所で自分で作った弁当を食べるのが趣味なんですよ!」
「へぇ~~! 私なんて賢者としての戦闘力を上げる事ばかりで魔法スキルしか磨いてない……。ロスティさんって本当にこの世界を楽しみ尽しているんですね!」
いや、違う。毎日出されるわけのわからないデイリーミッションに対する攻略法として採用しただけだ。美味しい物は人の心を和ませる、つまり、調理スキルを上げる事で他人を心理的な罠にはめやすくなる。
ただ、今回はもっと直接的な方法で罠にハメようとしている。食べてから少々時間が経てばお腹の具合が悪くなり、ほぼ強制的に便意アラートが発動する為の弁当だった。
そろそろ頃合いだ。
「ちょっ、ちょっと、お花を摘みに行ってくるわね……」
賢者ルウェルは慌てて藪の方へと駆け込んで行った。しかし、聖女フロレスに変わった様子は表れていない。レベルの高い調理スキルを悪用した遅効性の腹痛トラップが効かないとは……。確か、これを利用して動きを鈍らせたドラゴンを葬った記憶もあるのだが……。
「ルウェルさん、大丈夫かしら……。ロスティ様の様な高名で、高い調理スキルを持った方が食あたりを起こさせるお弁当を作るはずがありませんから不思議ですわね」
「えぇ……。もし、そんな弁当をうっかり作ってしまったら僕は引退ものですよ」
うっかりではない、明確な意図を持って故意に作った。今やスタープレイヤーとしてのイメージを守り、この世界をリードし続ける事で多くのプレイヤーに希望を与えるのが僕のロールだ。その為に聖女フロレスを脱糞させる、崇高な目的の前に躊躇は許されなかった。
取り敢えず、ルウェルの身に起こった腹痛の適当な原因でもでっち上げておくとしよう。
「そろそろボスが放つ邪気が巡っているエリアですからそれを吸い込んでしまったたのでしょう」
「あっ、そうなんですね。私は聖女ですから【オート浄化】を身に付けています、毒や邪気程度でしたら即座に打ち消されるので大丈夫ですわ」
「それはよかった!」
少しもよくはなかった……。僕にとってもう用済みのボス戦を回避しようと思った瞬間に閃いた作戦、それがそもそも通用しない相手だったとこのタイミングで知る事になるとは……。
結局、賢者ルウェルが藪の奥から戻ってくる事はなかった。2人でボスの居場所まで向かう道中、少しでも時間を稼いで彼女の便意アラートが鳴るのを期待したがその様子は見られない。
ついに、MP回復薬などを浪費するだけのボス戦が始まった……。しかも、聖女フロレスの便意アラートを待つ為にあえて戦いを長引かせなければならなかった。パーティの目的達成を少しでも先に延ばし解散のタイミングを後ろ倒しにする。そうして聖女フロレスのう〇こを入手しなければ今日1日が全て無駄になってしまうのだ。
戦いの最中、便意アラートが鳴った!僕のアラートが……。急いでボスを倒してう〇こをしなければ、漏らして死亡の姿を1時間晒すデスペナが発生してしまう。僕は一気にボスを仕留めにかかる!
「ボスを倒したぞ!」
聖女フロレスと握手を交わすと僕は急いで藪の中へ駆け込んだ。お腹の辺りがスーッと軽くなり始め、清々しい気持ちになり始めた時、背中の方に人の気配を感じた。
「あっ! フロレスさん……」
まだ出切っていない為、立ち上がる事も出来なければパンツを上げる事も出来ない……。
「聖騎士ロスティ様、実はお願いが……。あのーー、言いにくいのですが、それを私に下さいませんか? 聖騎士のそれを入手するのがデイリーミッションでして……」
その後、聖女フロレスさんも藪に入った。僕は彼女のそれを手に、彼女は僕のそれを手に取ると街へ戻る事になった。
運営が変わってから傾向が変わってしまった頭のイカれたクズ過ぎるデイリーミッション。運営のミスかもしれないが、それが被っている事もあるのだな。つまり、フロレスさんも同じ様な苦悩を抱えて今日という日を過ごしていたのだ。
毎度どうやってクリアしようかと考え他人を陥れ続けていた自分が恥ずかしくなった。僕だけじゃない、このゲームをプレイしているみんなが毎日おかしなミッションを抱えている。同じゲームを楽しんでいる仲間なのだから正直に声に出して頼めばよかったのだ。
仲間と協力して冒険を楽しむ。それこそがMMOの本来の楽しみであるとずっと忘れていた気がする……。その世界の中で選ばれた存在になるのは本来の目的ではない、楽しんだ結果の1つのはずだ。
翌日。
「そこの女戦士さん! あなたのパンツと僕のパンツを交換して履いてもらえませんか?」
女戦士さんの放った戦斧の一撃は僕のHPを完全に奪っていた……。
それにより、異なる目的を持った者同士が協力し合ったり、最後の最後で裏切り合いになったり。様々な打算や駆け引きが生まれるお陰で気が抜けない世界でもあり、それが絶妙な面白さを生み出していた。
そんなデイリーミッションの名称こそが七色に輝く世界樹の果実だった。毎日同じ様な目的を繰り返すだけのありふれた仕様とは違いログインする度に新鮮な気持ちで本日のプレイ予定を組み立てるのが心地良かった。
ヒーリングワールドにどっぷりと浸った僕はプレイ動画を配信し、いつの間にか全プレイヤーから羨望の眼差しを受けるスタープレイヤーになっていた。そして、プレイ動画の広告収入だけで食っていける様になった頃にはバイトを辞めてますますこの世界にのめり込む様になっていた。
そんな時、ヒーリングワールドの運営会社は買収された。そして、新たな運営が発足した時からログイン直後にリアルの方の僕がフリーズする様になった。毎日変わるデイリーミッションが安定してクズ過ぎるーーーー!!
『聖女のう○こを入手しましょう。今日もヒーリングワールドの冒険を楽しんで下さいね♪』、今日インして初めて表示されたメッセージだった。
デイリー報酬獲得はプレイの基本、攻略動画でそう宣言してしまっている僕がスルーなんてするわけにはいかない。それに、僕の生活はこのゲームに完全依存している。この世界で落ちぶれる事はリアル没落をも意味するのだ……。
とにかく、他のプレイヤーが操作している聖女とパーティを組もうと冒険者ギルドへやって来た。僕の聖騎士と同じで難易度の高い上級職クエストをクリアした者だけがなれるジョブ、そんなに多く存在しているわけではない希少な存在だ。
『聖女フロレス』、意外とあっさり見付かった彼女もパーティメンバーを探している様だ。さて、何か適当な攻略目標でもでっち上げて誘ってみる事にしよう。一緒に冒険に出ない事には、彼女に脱糞してもらう機会も得られまい。
この世界では最低でも1日に1回はキャラクターに大の方の便意アラートが出る。出てから30分以内に済ませなければ徐々にHPが減り始め最悪は死に至る。しかも、キャラが死んだ瞬間にお漏らしをした上で1時間はその場に死体が放置される。つまり、通りすがりの他プレイヤーにそんな惨めな姿を晒す事になってしまうのだ。
フロレスさんはあまりにも可憐なキャラクターヴィジュアル、中の人的には絶対にう〇こを漏らしながら死亡する様を誰かに見られたくあるまい!だから便意アラートが出たら必ずう〇こを出す。
だが、フロレスさんの笑顔に触れる度に彼女のう〇こ狙いである僕が必要以上に罪深い存在に思えて胸が苦しくなってきた……。中の人も本当に可愛かったらどうしよう、罪悪感は更につのるばかりだ。
いっそ中の人がおっさんだと思い込む事で罪を薄めてみるか?中の人おっさんのう〇こを欲しがる僕、何だか気持ちが悪くなってきて逆効果だ……。気を取り直して声をかける。
「お嬢さん、今月のレイドボス討伐はお済みですか?」
「えぇ~~と、まだですわ。あれ? あなたは聖騎士ロスティ様では?」
「えぇ、一応そうです」
「すごーーい! 攻略動画をいつも拝見しておりますわ」
「もしよろしければこれから一緒にどうでしょう?」
「是非! ご一緒出来るなんてとても光栄ですわ」
これも日頃の生活費稼ぎの賜物。この世界の有名人である僕は対象を冒険へ釣り出す事に成功した。ただし、僕はとっくに討伐済みなのでMP回復薬等を恐ろしく消耗してしまう赤字確定のバトルを改めて経験する意味はない。
大事なのはボスがいる場所、やたら標高の高い山の頂に辿り着くまでには相当に時間がかかる、その間に便意アラートが鳴って欲しいと切に願う。
聖騎士と聖女ならば2人でも戦えるボスだが僕は3人目として賢者ルウェルを加えた。ポイントは女性である事のみ。賢者ルウェルがもよおした際、ついでに感覚で連だってう○こをしに藪の奥へ入ってくれるかもしれない、それを期待しての釣りう〇こ人員配置だ。
山道では雑魚モンスターの襲撃に見舞われた。本来なら聖騎士の僕が全面的にパーティの盾となって進むべきだが、つまづいたふりをして数体を後ろへ抜けさせた。フロレスさんの腹部に打撃が入れば、それをきっかけに便意アラートが出てくれるかもしれないからだ。
「ルウェルさん、ナイス!」
フロレスさんにタックルを入れる態勢に入ったゴブリンは賢者ルウェルが放った火球に焼かれていた。その様子に、僕は笑顔を浮かべながら一切心にもない賞賛を送っていた。
昼時。山の中腹辺りまで登っていた僕達は見晴らしのいい崖の上で昼食をとる事にした。
「ロスティさん、すごい! 調理スキルを随分とお上げになっているんですね!!」
「冒険の合間の食事も楽しみの1つですからね。こんなに眺めのいい場所で自分で作った弁当を食べるのが趣味なんですよ!」
「へぇ~~! 私なんて賢者としての戦闘力を上げる事ばかりで魔法スキルしか磨いてない……。ロスティさんって本当にこの世界を楽しみ尽しているんですね!」
いや、違う。毎日出されるわけのわからないデイリーミッションに対する攻略法として採用しただけだ。美味しい物は人の心を和ませる、つまり、調理スキルを上げる事で他人を心理的な罠にはめやすくなる。
ただ、今回はもっと直接的な方法で罠にハメようとしている。食べてから少々時間が経てばお腹の具合が悪くなり、ほぼ強制的に便意アラートが発動する為の弁当だった。
そろそろ頃合いだ。
「ちょっ、ちょっと、お花を摘みに行ってくるわね……」
賢者ルウェルは慌てて藪の方へと駆け込んで行った。しかし、聖女フロレスに変わった様子は表れていない。レベルの高い調理スキルを悪用した遅効性の腹痛トラップが効かないとは……。確か、これを利用して動きを鈍らせたドラゴンを葬った記憶もあるのだが……。
「ルウェルさん、大丈夫かしら……。ロスティ様の様な高名で、高い調理スキルを持った方が食あたりを起こさせるお弁当を作るはずがありませんから不思議ですわね」
「えぇ……。もし、そんな弁当をうっかり作ってしまったら僕は引退ものですよ」
うっかりではない、明確な意図を持って故意に作った。今やスタープレイヤーとしてのイメージを守り、この世界をリードし続ける事で多くのプレイヤーに希望を与えるのが僕のロールだ。その為に聖女フロレスを脱糞させる、崇高な目的の前に躊躇は許されなかった。
取り敢えず、ルウェルの身に起こった腹痛の適当な原因でもでっち上げておくとしよう。
「そろそろボスが放つ邪気が巡っているエリアですからそれを吸い込んでしまったたのでしょう」
「あっ、そうなんですね。私は聖女ですから【オート浄化】を身に付けています、毒や邪気程度でしたら即座に打ち消されるので大丈夫ですわ」
「それはよかった!」
少しもよくはなかった……。僕にとってもう用済みのボス戦を回避しようと思った瞬間に閃いた作戦、それがそもそも通用しない相手だったとこのタイミングで知る事になるとは……。
結局、賢者ルウェルが藪の奥から戻ってくる事はなかった。2人でボスの居場所まで向かう道中、少しでも時間を稼いで彼女の便意アラートが鳴るのを期待したがその様子は見られない。
ついに、MP回復薬などを浪費するだけのボス戦が始まった……。しかも、聖女フロレスの便意アラートを待つ為にあえて戦いを長引かせなければならなかった。パーティの目的達成を少しでも先に延ばし解散のタイミングを後ろ倒しにする。そうして聖女フロレスのう〇こを入手しなければ今日1日が全て無駄になってしまうのだ。
戦いの最中、便意アラートが鳴った!僕のアラートが……。急いでボスを倒してう〇こをしなければ、漏らして死亡の姿を1時間晒すデスペナが発生してしまう。僕は一気にボスを仕留めにかかる!
「ボスを倒したぞ!」
聖女フロレスと握手を交わすと僕は急いで藪の中へ駆け込んだ。お腹の辺りがスーッと軽くなり始め、清々しい気持ちになり始めた時、背中の方に人の気配を感じた。
「あっ! フロレスさん……」
まだ出切っていない為、立ち上がる事も出来なければパンツを上げる事も出来ない……。
「聖騎士ロスティ様、実はお願いが……。あのーー、言いにくいのですが、それを私に下さいませんか? 聖騎士のそれを入手するのがデイリーミッションでして……」
その後、聖女フロレスさんも藪に入った。僕は彼女のそれを手に、彼女は僕のそれを手に取ると街へ戻る事になった。
運営が変わってから傾向が変わってしまった頭のイカれたクズ過ぎるデイリーミッション。運営のミスかもしれないが、それが被っている事もあるのだな。つまり、フロレスさんも同じ様な苦悩を抱えて今日という日を過ごしていたのだ。
毎度どうやってクリアしようかと考え他人を陥れ続けていた自分が恥ずかしくなった。僕だけじゃない、このゲームをプレイしているみんなが毎日おかしなミッションを抱えている。同じゲームを楽しんでいる仲間なのだから正直に声に出して頼めばよかったのだ。
仲間と協力して冒険を楽しむ。それこそがMMOの本来の楽しみであるとずっと忘れていた気がする……。その世界の中で選ばれた存在になるのは本来の目的ではない、楽しんだ結果の1つのはずだ。
翌日。
「そこの女戦士さん! あなたのパンツと僕のパンツを交換して履いてもらえませんか?」
女戦士さんの放った戦斧の一撃は僕のHPを完全に奪っていた……。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>
ラララキヲ
ファンタジー
フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。
それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。
彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。
そしてフライアルド聖国の歴史は動く。
『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……
神「プンスコ(`3´)」
!!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!!
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇ちょっと【恋愛】もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる