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第8話 ♪レベルアップ音
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ルテット達はビルザの町を出た。そして、移動速度を通常の3倍にするフィールドBGM【広野に躍る】を奏でながら来た道を引き返していった。半日ほどかけて北上してきた道を、同じく半日ほどで南下した。旅は振り出しに戻ってしまったのである。
ファーレン王城に到達しコレット王女がモルテット国王に面会すると足早に東へと進む。オルザノの町を素通りして更に東へ進んだ先には『ミルディンの塔』と呼ばれるファーレン王家所有の遺跡があった。ルテットが王城まで戻るのを提案したのはそこを訪れる為だった。
だが、この1日間でフィールドBGMを魔奏する為にティンホイッスルを吹き続けたルテットの魔法力は尽きかけていた。そのお陰で、これまでそうして来た様に速さを活かして振り切るというわけにはいかず、いよいよ魔物の群れを相手にする事になったのである。
「くっ、さすがに魔法力がもたないか……」
歩きながら使う前提だから消費量自体は少なく設定されいるのはわかった。でも、さすがにまる1日もやればこうなるか……。
「バステさんは2人のガードをお願いしますわ。攻めは私に任せて!」
前へ飛び出したコレット姫が右脚で大蜘蛛を蹴り上げるとそれを追うかの様に飛び上がっていった。姿が見えたのはそこまで……。目で追えない、これがレベル35、それに格闘術に長けた拳闘士の戦闘力か!
少し経って何かがボタボタと上から落ちてきた。このグチャグチャしたものは、きっとさっきの大蜘蛛が破裂した後の物の様な……。
あちらこちらからグチャり、グチャりと立て続けに音が聞こえる。恐らく、初撃で凄まじい戦闘能力を披露してくれたコレット姫が一方的に魔物をボコっているんじゃないかと。
「すっ、すご過ぎる……。こんなボツデータが眠らされていたとは」
「ぼつでえた、とは何ですか? ルテット殿」
「あぁ、いや、何でもないです。それより、ポジット薬ありがとうございました」
「魔奏には魔法力を使うのでしたね? 1日中やれば尽きて当然です。あまりにも快適な移動で浮かれてしまって……。気付くのが遅くなってごめんなさいね」
俺は薬法師のルイドさんからポジット薬の入った小瓶を受け取り一気に飲み干していた。薬法師が調合出来る魔法力を回復する薬だ。ルイドさんは、自分はレベル1なので大した物は作れないとの事だが少しでも回復出来るのは助かる。
そうこうしている間に魔物が潰される様な音は止んだ。そして、コレット姫は腕や顔についた緑色のドロりとしたものをハンカチで拭いながらようやく姿を見せた。
この辺りの魔物は最弱クラス、コレット姫の手にかかれば楽勝だったに違いない。それでも計18体を瞬殺してしまうとは……。
その時、薬法師ルイドさん、鍛冶師バステさんが身につけている冒険者の腕輪が薄い青色の光に包まれ始めたのが見えた。これはレベルアップのサインだ。
ちなみに、俺はレベル5戦士から魔奏士に職を変えたがなぜか5のまま。物語が進めば転職は可能になるがレベル1からの出直しだったはずだがそうはならなかった。
まあ、魔奏士なんて俺が勝手に名乗っているだけだから転職扱いになっていないのかもしれないが。そんわけで今回の戦闘で得た経験値は俺のレベルアップには足りないらしい。もちろん、レベル35のコレット姫にしてみればさほどの足しにもならない程度だろう。
俺は2人に向けてレベルアップ音の魔奏を始めてみた。俺自身のレベルアップの際にも使った事はあるが、最初はRPG『ファイナルクエストサーガ』らしさの雰囲気を味わう為で、その効果に気付いたのは少し後になってからだった。
「ルテットさんの魔奏、何だかレベルアップを祝福されている様な気分です♪」
「何だか妙に力が湧いてくるな!」
全てのBGMにはそこで奏でられる意味があり、特別な効果が込められている。
レベルアップ時にレベルアップ音の魔奏を受けるとステータス上昇値にプラス補正がかかる効果があったのだ。つまり、普通にレベルアップした時よりも更に強く成長出来る。というより、レベルアップ音無しだと本来の上昇値の半分くらいになっていると言った方が適当かもしれない。
レベルアップを繰り返した時、その効果を受けているか、いないかで大きく差が出る。俺が戦士レベル5になった時、他の同レベル戦士より妙に強く育っていた。俺にあって彼らにないものと言えば魔奏BGM、レベルアップ音の効果に気付いたのはその時だった。
そこから推測出来る実に都合の悪い話。レベルアップ音の恩恵を得ないレベルアップを繰り返した勇者アルトは本来のステータスに達していない、はずだ。これも敗因の1つだろう……。
ファーレン王城に到達しコレット王女がモルテット国王に面会すると足早に東へと進む。オルザノの町を素通りして更に東へ進んだ先には『ミルディンの塔』と呼ばれるファーレン王家所有の遺跡があった。ルテットが王城まで戻るのを提案したのはそこを訪れる為だった。
だが、この1日間でフィールドBGMを魔奏する為にティンホイッスルを吹き続けたルテットの魔法力は尽きかけていた。そのお陰で、これまでそうして来た様に速さを活かして振り切るというわけにはいかず、いよいよ魔物の群れを相手にする事になったのである。
「くっ、さすがに魔法力がもたないか……」
歩きながら使う前提だから消費量自体は少なく設定されいるのはわかった。でも、さすがにまる1日もやればこうなるか……。
「バステさんは2人のガードをお願いしますわ。攻めは私に任せて!」
前へ飛び出したコレット姫が右脚で大蜘蛛を蹴り上げるとそれを追うかの様に飛び上がっていった。姿が見えたのはそこまで……。目で追えない、これがレベル35、それに格闘術に長けた拳闘士の戦闘力か!
少し経って何かがボタボタと上から落ちてきた。このグチャグチャしたものは、きっとさっきの大蜘蛛が破裂した後の物の様な……。
あちらこちらからグチャり、グチャりと立て続けに音が聞こえる。恐らく、初撃で凄まじい戦闘能力を披露してくれたコレット姫が一方的に魔物をボコっているんじゃないかと。
「すっ、すご過ぎる……。こんなボツデータが眠らされていたとは」
「ぼつでえた、とは何ですか? ルテット殿」
「あぁ、いや、何でもないです。それより、ポジット薬ありがとうございました」
「魔奏には魔法力を使うのでしたね? 1日中やれば尽きて当然です。あまりにも快適な移動で浮かれてしまって……。気付くのが遅くなってごめんなさいね」
俺は薬法師のルイドさんからポジット薬の入った小瓶を受け取り一気に飲み干していた。薬法師が調合出来る魔法力を回復する薬だ。ルイドさんは、自分はレベル1なので大した物は作れないとの事だが少しでも回復出来るのは助かる。
そうこうしている間に魔物が潰される様な音は止んだ。そして、コレット姫は腕や顔についた緑色のドロりとしたものをハンカチで拭いながらようやく姿を見せた。
この辺りの魔物は最弱クラス、コレット姫の手にかかれば楽勝だったに違いない。それでも計18体を瞬殺してしまうとは……。
その時、薬法師ルイドさん、鍛冶師バステさんが身につけている冒険者の腕輪が薄い青色の光に包まれ始めたのが見えた。これはレベルアップのサインだ。
ちなみに、俺はレベル5戦士から魔奏士に職を変えたがなぜか5のまま。物語が進めば転職は可能になるがレベル1からの出直しだったはずだがそうはならなかった。
まあ、魔奏士なんて俺が勝手に名乗っているだけだから転職扱いになっていないのかもしれないが。そんわけで今回の戦闘で得た経験値は俺のレベルアップには足りないらしい。もちろん、レベル35のコレット姫にしてみればさほどの足しにもならない程度だろう。
俺は2人に向けてレベルアップ音の魔奏を始めてみた。俺自身のレベルアップの際にも使った事はあるが、最初はRPG『ファイナルクエストサーガ』らしさの雰囲気を味わう為で、その効果に気付いたのは少し後になってからだった。
「ルテットさんの魔奏、何だかレベルアップを祝福されている様な気分です♪」
「何だか妙に力が湧いてくるな!」
全てのBGMにはそこで奏でられる意味があり、特別な効果が込められている。
レベルアップ時にレベルアップ音の魔奏を受けるとステータス上昇値にプラス補正がかかる効果があったのだ。つまり、普通にレベルアップした時よりも更に強く成長出来る。というより、レベルアップ音無しだと本来の上昇値の半分くらいになっていると言った方が適当かもしれない。
レベルアップを繰り返した時、その効果を受けているか、いないかで大きく差が出る。俺が戦士レベル5になった時、他の同レベル戦士より妙に強く育っていた。俺にあって彼らにないものと言えば魔奏BGM、レベルアップ音の効果に気付いたのはその時だった。
そこから推測出来る実に都合の悪い話。レベルアップ音の恩恵を得ないレベルアップを繰り返した勇者アルトは本来のステータスに達していない、はずだ。これも敗因の1つだろう……。
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