【休載中】転生RPG世界に欠けていたのはBGMだった 奏でてみたら超絶支援効果発動、いつしか神曲の魔奏士とか呼ばれてみた

カズサノスケ

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第10話 魔奏強化

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 ミルディンの塔、と言っても既に崩れ落ちてしまって塔としての姿はないのだが、そこに王都から1000名の兵が駆け付けていた。ルテット達が塔へ向かう少し前、王都に立ち寄った際にコレット姫が軍に依頼していたバルダン鉱石の運搬役である。

 壁に埋め込まれていた鉱石は1つにつき高さ150cm、横幅は80cmほどで重さは約70kg。階層1つごとに8個、3階層の計24個が回収された。ただ、その内の3枚は運悪く爆発の影響でひび割れてしまっていた。


 ミルディンの塔で回収されたバルダン鉱石がファーレン王国軍によってビルザの町に運び込まれるとすぐさま町を取り囲む壁の補修が始められる事になった。

 鍛冶師バステの見立てではオルザノの町の壁に埋め込まれているのが計8個。それより規模の小さいビルザの町ならば6個も使えば充分な魔奏の共鳴が起こるだろうという事になった。

 その作業にあたるのは鉱石を運搬してきたファーレン王国兵と町の職人。4つの組に分かれ1の組が午前中、2の組が午後、3の組が夜を担当。翌日は1日休んだ4の組が午前を受け持つ。

 3組が作業にあたり1組が休むという体制で絶え間なく補修作業を続ける。その指揮を執っていたのはコレット姫であった。では、同じ頃にルテットたちは。


「レベル35のコレットさんは充分として、俺達3人はちょっと鍛えておかないとこの先キツくなりそうですからね」

 俺は鍛冶師のバステさんと薬法師のルイドさんを連れて町の外に出た。魔物を狩ってレベルを上げるのとルイドさん用に薬品素材の草集めを兼ねて。元々、コレット姫は壁の補修工事にあたっている王国兵の指揮で忙しそうなので3人パーティで行ってみる事にする。

「これを使ってみてくれ」

 鍛冶師のバステさんが俺と目を合わさず鼻の頭を右手の指で擦りながら差し出してきたのはティンホイッスルだった。形状は俺が使っているのとほぼ同じ、新しい分だけ汚れが全くないくらいの違いしかない。

「もしかして、ちょっと前に俺のティンホイッスルを見せてくれと言ってきたのはお手本にする為でしたか」

「楽器なんて造るのは初めてだからな。剣や鎧とは随分勝手が違うもんだな」

「そうですよね。それにしても何でわざわざ不慣れな楽器なんかを?」

「素材にバルダン鉱石を使ってみたんだ。割れてしまったのをちょっと拝借してな。これならお前さんも少しは楽になるんじゃないか」

 無骨な感じが漂う職人気質の人。そんなオーラをまとっていて、どこか取っ付きづらかったバステさんが俺の為に?魔法力を増幅させるバルダン鉱石で造ったティンホイッスルならば魔奏の効果が増すかもしれない。

 早速、町の外に出てフィールドBGM【広野に躍る】を魔奏してみる。

「これはすごい!」

 吹き口から口を放してもティンホイッスルが勝手に魔奏を続けている。

「何とか思った様に仕上がったみたいだな。ただ、そんなに多くのバルダン鉱石が入っているわけじゃないし反響もさせられないから町みたいにずっとというわけにはいかないだろう。そこは注意してくれ」

「なるほど~~。でも、随分と助かります。バステさんありがとうございます!」

 共鳴する場所以外で使う時、ずっと吹き続けなければ効果を維持出来ないのが魔奏の難点だった。特に、移動しながら使うフィールドBGMは捻ったままの蛇口みたいに魔法力がだだ漏れ状態だった……。でも、これなら随分と魔法力を節約出来そうだ。

 フィールドBGM【広野に躍る】で得た3倍速の移動力を利かせて片っ端から草を集める。ビルザの町周辺では薬草の素材となるヒーリー草の他、毒消し剤の素材となるデポイズの花が採取出来るのは知っている。が、それはゲームとしてのプレイした時の知識で採取出来るものの名前を知っているというだけ。

 グラフィックすらなかったのでどんな見た目の草花かはよくわからない。選別はルイドさん任せて俺とバステさんは歩く籠に徹する。

 それが終わったところで新ティンホイッスルの魔奏を通常バトルBGM【奮い立つ】に切り替えて魔物狩り。この辺りのはレベル10で丁度いいくらい、本来なら俺達ではキツいところだがBGM効果で少し余裕のある戦いに。

 さて、一つ試してみるか。最初から使っていたティンホイッスルでフィールドBGM【広野に躍る】を魔奏してみる。戦闘力が増す通常バトルBGMに移動速度が上がるフィールドBGMを重ね掛けしたら驚異の速さで動ける高速戦闘に!……ならなかった。

「ぐぅっ……。ルテット、なんだっ……、この酷い音楽は……」

「頭が割れる! ルイドさん、やっ、やめて下さい」

 相乗効果を生むどころか2人とも苦しみ出してしまった。理由はすぐにわかった。やっておいてなんだが我ながら酷い……。違う曲と曲が混じってそれぞれのメロディ聞こえたり聞こえなかったり。何だか車酔いとかに近い感覚、ただただ気持ち悪くなるだけだった。

 ゲームに限った話ではないが1シチュエーションに付き1曲。それがバックグラウンドミュージックの在り方だよな。

 魔奏実験の方はともかく……。俺達3人はそれぞれがレベル12まで成長した。アップの都度にレベルアップ音を魔奏したのでステータスの上がり方は倍増。実質、レベル24相当の力を得た事になる。
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