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本編 第一部
ep.4 東の果て
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満天の星空の下を航海していると、東の方角に光が見えた。
近づくとそれは、七色の光を放つ塔の様だった。
ラグナ「何だろう?あれ…」
更に近づくと、光の方角から伝話鳥が飛んで来て喋り出す。
「我が名はルーシェ=グレゴリウス。
ヒノモトの地は、我がグレゴリウス帝国が、異形化奇病より奪還した。
革命後の世界に絶望した者ならば話を聞こう。」
口調は違えど、その声はやはりミシェルのものだった。
ラグナ「ミシェルさんなんですか⁉︎
僕です、ラグナ=ヴァルホルです!」
ルーシェ「…ミシェルとは知らぬ名だが…
ヴァルホルとは逆賊の首魁・オーディンの縁者か?」
そう言うと突然、辺りの海面が、七色に光る塔から放たれた青白い光に照らされ、瞬時に凍り付いて船が動けなくなった。
エーギル「ひぃ‼︎
こ…これが王家の魔法?」
程なくして、帝国軍の船に取り囲まれる。
ラグナ「こ…この人は、僕がお願いして乗せて来てもらっただけなんです!
僕だけ連れて行って下さい!」
帝国兵「…いいだろう。」
かくしてラグナは1人連行された。
皇女の御前に通されるラグナ。
声が似ていたばかりではない。
髪型は違えど、容姿までもミシェルそのものだった。
傍らに寄り添う小動物も、史跡見学の時に現れ危機を救ってくれた者と同じ姿形だが、どういう訳か色が黒い。
あの時はブロンドの様な色だった筈だ。
ルーシェ「ラグナと言いましたわね?
ヴァルホル家の者が従者も従えず、何故このような場所に?」
意外にも穏やかな口調に、ラグナは緊張しつつも冷静に話す。
「せ…先日、アカデミーの史跡見学で僕の…ゆ、友人がテロリストに拐われました。
それから間もなく声明を出された、あ…貴方の声が、拐われた友人の声にそっくりだったのです。」
ルーシェ「それがミシェルと言う者ですわね?
でも、あいにく別人ですわ。
何故、家の力に頼らずご自分で探しに?」
ラグナ「父さ…父には、忘れるよう言われました。
でも…」
ルーシェ「忘れられなかった?
よほどお大事ですのね?」
ラグナは沈黙しつつ、耳まで血が巡って熱くなるのを、自分で感じ取る。
ルーシェ「貴方の身柄はすぐに帰して差し上げます。
船も待たせてありますわ。
下がってよろしい。」
ラグナ「…え?」
あっさり帰る事を許され、ラグナは目を丸くした。
それを意外に感じたのは、ラグナだけではなかった様だ。
ラグナが去った後、近衛兵の1人が言う。
「ザハーク様、あのまま帰してよろしかったのですか?」
近衛兵の長・ザハークが答えた。
「先だっての殿下の声明も、武力行使などは具体的に言及していない。
我々が事を起こさぬ限り、敵もまだ動くべき大義名分が無いのだ。
だが、ヴァルホル家の者に何かあれば、敵に武力行使を正当化する理由を与える事になる。
今はまだ力を付ける時…戦端を開くには時期尚早だ。」
港でエーギルの船がラグナを待っていた。
エーギル「大丈夫だったか⁉︎」
ラグナ「はい。
ご迷惑をおかけしました。」
エーギル「そういう約束だったからな、いいって事よ。
とりあえず、さっさと戻ろう!」
ラグナ(あの人は、ミシェルさんじゃないんだろうか…?
だとしたら、ミシェルさんは今…)
続く…
近づくとそれは、七色の光を放つ塔の様だった。
ラグナ「何だろう?あれ…」
更に近づくと、光の方角から伝話鳥が飛んで来て喋り出す。
「我が名はルーシェ=グレゴリウス。
ヒノモトの地は、我がグレゴリウス帝国が、異形化奇病より奪還した。
革命後の世界に絶望した者ならば話を聞こう。」
口調は違えど、その声はやはりミシェルのものだった。
ラグナ「ミシェルさんなんですか⁉︎
僕です、ラグナ=ヴァルホルです!」
ルーシェ「…ミシェルとは知らぬ名だが…
ヴァルホルとは逆賊の首魁・オーディンの縁者か?」
そう言うと突然、辺りの海面が、七色に光る塔から放たれた青白い光に照らされ、瞬時に凍り付いて船が動けなくなった。
エーギル「ひぃ‼︎
こ…これが王家の魔法?」
程なくして、帝国軍の船に取り囲まれる。
ラグナ「こ…この人は、僕がお願いして乗せて来てもらっただけなんです!
僕だけ連れて行って下さい!」
帝国兵「…いいだろう。」
かくしてラグナは1人連行された。
皇女の御前に通されるラグナ。
声が似ていたばかりではない。
髪型は違えど、容姿までもミシェルそのものだった。
傍らに寄り添う小動物も、史跡見学の時に現れ危機を救ってくれた者と同じ姿形だが、どういう訳か色が黒い。
あの時はブロンドの様な色だった筈だ。
ルーシェ「ラグナと言いましたわね?
ヴァルホル家の者が従者も従えず、何故このような場所に?」
意外にも穏やかな口調に、ラグナは緊張しつつも冷静に話す。
「せ…先日、アカデミーの史跡見学で僕の…ゆ、友人がテロリストに拐われました。
それから間もなく声明を出された、あ…貴方の声が、拐われた友人の声にそっくりだったのです。」
ルーシェ「それがミシェルと言う者ですわね?
でも、あいにく別人ですわ。
何故、家の力に頼らずご自分で探しに?」
ラグナ「父さ…父には、忘れるよう言われました。
でも…」
ルーシェ「忘れられなかった?
よほどお大事ですのね?」
ラグナは沈黙しつつ、耳まで血が巡って熱くなるのを、自分で感じ取る。
ルーシェ「貴方の身柄はすぐに帰して差し上げます。
船も待たせてありますわ。
下がってよろしい。」
ラグナ「…え?」
あっさり帰る事を許され、ラグナは目を丸くした。
それを意外に感じたのは、ラグナだけではなかった様だ。
ラグナが去った後、近衛兵の1人が言う。
「ザハーク様、あのまま帰してよろしかったのですか?」
近衛兵の長・ザハークが答えた。
「先だっての殿下の声明も、武力行使などは具体的に言及していない。
我々が事を起こさぬ限り、敵もまだ動くべき大義名分が無いのだ。
だが、ヴァルホル家の者に何かあれば、敵に武力行使を正当化する理由を与える事になる。
今はまだ力を付ける時…戦端を開くには時期尚早だ。」
港でエーギルの船がラグナを待っていた。
エーギル「大丈夫だったか⁉︎」
ラグナ「はい。
ご迷惑をおかけしました。」
エーギル「そういう約束だったからな、いいって事よ。
とりあえず、さっさと戻ろう!」
ラグナ(あの人は、ミシェルさんじゃないんだろうか…?
だとしたら、ミシェルさんは今…)
続く…
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