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本編 第四部
ep.46 千両役者競演
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翼ある獣を駆り、南方大陸に向けて飛ぶ帝国魔導師達。
リリィ「南方大陸っても広いわよ?
目星はついてんの?」
アイシス「…関係あるかわからないけど、今、ドゥエルグヘイムでは異形化奇病討伐の為に軍を南下させてる…」
ゼル「これまで南方大陸では、異形化奇病の発生は殆ど無かった筈だな。」
アイシス「…えぇ、魔法は北方大陸のヴァナヘイムから供給されていて、南方大陸に魔導師の塔は無かった…」
イリア「それが今になって、異形化奇病討伐のために軍を南下させてるって事は…」
アイシス「…大陸南部に、その発生源となる何かがある…」
大陸南部の砂漠地帯にて異形化奇病と交戦中のドゥエルグヘイム軍。
「ハァ…ハァ…倒しても倒してもキリが無いな…!」
「気を抜くな!
また這い出して来たぞ!」
「くっ…!」
疲労困憊の兵士に、大剣を携えた男が声をかけた。
「交代だ。
お前達は下がって安め。」
兵士「し…しかしベーオウルフ議長、貴方も先ほどの連戦で…!」
ベーオウルフ「私は存分に休ませてもらった。
後退しろ、これは命令だ。」
その時、上空から叫ぶ声がした。
「貫け、雷光魔法剣‼︎」
次の瞬間、迫り来る異形化奇病を稲妻が貫き、これを葬り去る。
それはゼルの魔法剣だった。
ドゥエルグヘイム軍の眼前に舞い降りたアイシスとリリィ。
ベーオウルフとは初見のはずだが、彼は彼女らに見覚えがあるかの様な表情で目を止めた。
「貴公らは、もしや帝…
いや…何者かは存ぜぬが助かった。
礼を言おう。」
アイシス「…?
…ドゥエルグヘイム議長・ベーオウルフ侯とお見受けしますが、この様な場所に閣下自ら出向き、一体何を…?」
ベーオウルフ「異形化奇病を討伐しつつ、その発生源を探していたら、ここに辿り着いた。
どうやら、そこに開いた穴がそうらしい。
奴らが大陸全土に拡まらんよう、我々はここでこれを駆逐せねばならん。
ウロボロス団とか言うテロリストどもが中に入って行ったが、我々には預かり知らん事だ。
この後で何者が入り込もうともな。」
ゼル「では、他国の軍なども…?」
ベーオウルフ「いや、少し前までそれらしき連中がコソコソしていた様だが、我々を見て踵を返したようだ。
いずれにせよ我々に剣を向けぬ限り、これを追う道理は無い。」
イリア「へぇ、新興国の議長サマにしちゃ、話がわかんじゃん♪」
ベーオウルフはフッと笑って背を向けた。
帝国魔導師達は、砂礫の大地に開いた穴に飛び込んで行く。
一方、帝国の拠点から大梟に乗り飛び出していたペコルが、南方大陸上空にさしかかる頃…
「兄様達、どこに行ったんだろう…
作戦中に伝話鳥で聞く訳にもいかないし…」
そこへ、翼ある獣に跨った国籍不明の兵士が現れ行く手を塞ぐ。
「お前…見たところ子供の様だが、擬聖獣に乗っているとは…帝国の者か?」
「…ひとに聞く前にまずアンタが名乗りなさいよ!」
ペコルはそう言うと火球を放ったが、兵士は身を逸らし虚しく空を焦がす。
「…⁉︎」
ペコルは潜在的な魔力こそ帝国魔導師随一だが、実戦経験は年齢相応に稚拙だ。
野盗程度が相手ならいざ知らず、訓練された兵士達はペコルが気付いた時には周りを取り囲んでいた。
「可能ならば鹵獲が理想だが、困難ならば子供とて殺すのも止むを得まい。」
ペコルが身の危険を感じたその時、兵士の1人がとつぜん火ダルマと化す。
その身体は、1本の槍によって背後から貫かれていた。
ペコル「これは…火炎魔槍…⁉︎
…という事は…!」
「⁉︎
新手の帝国魔導師か⁉︎」
叫ぶ国籍不明兵に、翼ある狼に跨って飛来した男が答えた。
「いいや、元帝国魔導師…今はただのお尋ね者さ。」
ペコル「やっぱり…生きてたんだ、アッシュ君‼︎」
続く…
リリィ「南方大陸っても広いわよ?
目星はついてんの?」
アイシス「…関係あるかわからないけど、今、ドゥエルグヘイムでは異形化奇病討伐の為に軍を南下させてる…」
ゼル「これまで南方大陸では、異形化奇病の発生は殆ど無かった筈だな。」
アイシス「…えぇ、魔法は北方大陸のヴァナヘイムから供給されていて、南方大陸に魔導師の塔は無かった…」
イリア「それが今になって、異形化奇病討伐のために軍を南下させてるって事は…」
アイシス「…大陸南部に、その発生源となる何かがある…」
大陸南部の砂漠地帯にて異形化奇病と交戦中のドゥエルグヘイム軍。
「ハァ…ハァ…倒しても倒してもキリが無いな…!」
「気を抜くな!
また這い出して来たぞ!」
「くっ…!」
疲労困憊の兵士に、大剣を携えた男が声をかけた。
「交代だ。
お前達は下がって安め。」
兵士「し…しかしベーオウルフ議長、貴方も先ほどの連戦で…!」
ベーオウルフ「私は存分に休ませてもらった。
後退しろ、これは命令だ。」
その時、上空から叫ぶ声がした。
「貫け、雷光魔法剣‼︎」
次の瞬間、迫り来る異形化奇病を稲妻が貫き、これを葬り去る。
それはゼルの魔法剣だった。
ドゥエルグヘイム軍の眼前に舞い降りたアイシスとリリィ。
ベーオウルフとは初見のはずだが、彼は彼女らに見覚えがあるかの様な表情で目を止めた。
「貴公らは、もしや帝…
いや…何者かは存ぜぬが助かった。
礼を言おう。」
アイシス「…?
…ドゥエルグヘイム議長・ベーオウルフ侯とお見受けしますが、この様な場所に閣下自ら出向き、一体何を…?」
ベーオウルフ「異形化奇病を討伐しつつ、その発生源を探していたら、ここに辿り着いた。
どうやら、そこに開いた穴がそうらしい。
奴らが大陸全土に拡まらんよう、我々はここでこれを駆逐せねばならん。
ウロボロス団とか言うテロリストどもが中に入って行ったが、我々には預かり知らん事だ。
この後で何者が入り込もうともな。」
ゼル「では、他国の軍なども…?」
ベーオウルフ「いや、少し前までそれらしき連中がコソコソしていた様だが、我々を見て踵を返したようだ。
いずれにせよ我々に剣を向けぬ限り、これを追う道理は無い。」
イリア「へぇ、新興国の議長サマにしちゃ、話がわかんじゃん♪」
ベーオウルフはフッと笑って背を向けた。
帝国魔導師達は、砂礫の大地に開いた穴に飛び込んで行く。
一方、帝国の拠点から大梟に乗り飛び出していたペコルが、南方大陸上空にさしかかる頃…
「兄様達、どこに行ったんだろう…
作戦中に伝話鳥で聞く訳にもいかないし…」
そこへ、翼ある獣に跨った国籍不明の兵士が現れ行く手を塞ぐ。
「お前…見たところ子供の様だが、擬聖獣に乗っているとは…帝国の者か?」
「…ひとに聞く前にまずアンタが名乗りなさいよ!」
ペコルはそう言うと火球を放ったが、兵士は身を逸らし虚しく空を焦がす。
「…⁉︎」
ペコルは潜在的な魔力こそ帝国魔導師随一だが、実戦経験は年齢相応に稚拙だ。
野盗程度が相手ならいざ知らず、訓練された兵士達はペコルが気付いた時には周りを取り囲んでいた。
「可能ならば鹵獲が理想だが、困難ならば子供とて殺すのも止むを得まい。」
ペコルが身の危険を感じたその時、兵士の1人がとつぜん火ダルマと化す。
その身体は、1本の槍によって背後から貫かれていた。
ペコル「これは…火炎魔槍…⁉︎
…という事は…!」
「⁉︎
新手の帝国魔導師か⁉︎」
叫ぶ国籍不明兵に、翼ある狼に跨って飛来した男が答えた。
「いいや、元帝国魔導師…今はただのお尋ね者さ。」
ペコル「やっぱり…生きてたんだ、アッシュ君‼︎」
続く…
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