BLの世界で生きてた当て馬女のささやかな復讐

クラッベ

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中編

私がこの世界がBLの世界だということを、知ったきっかけとなったのは、高校生の頃だ。

当時私にはサッカー部に所属している彼氏がいた。仲は良かった。当時はよく彼氏の練習試合とか応援に行ったり、放課後部活がなかったらデートに行ったりもした。

だけどそんな日常が崩れたのは急だった。
彼氏が同じ部活の男子生徒と親密な関係になっていた。最初は仲がいいだけだと思っていたのだが、ある日彼氏とその子がキスをしているところを目撃してしまったのだ。

私はそれが信じられなくて、彼氏が私から離れてしまうような気がして、必死になって引き留めようとした。本気で彼氏が大好きだったから。

だけど周りは彼氏とその子の味方で、気が付けば私は、二人の仲を邪魔する悪者になっていた。そして彼氏に別れを告げられたのだ。

その日を境に、私の周りには男同士のカップルが多い、というかそれしかいないことに気が付いた。

気付いてからの後日、私のお父さんも男と浮気して私たちを捨てて駆け落ちした。捨てられたお母さんは病んじゃって、首つって自殺した。

そしてもしかして、が確実なものへとなった。この世界はBL漫画の世界なのだと。

それを理解した瞬間、私はあらゆる場面で彼らの恋愛を盛り上げるための、「当て馬」になっていた。

ある時には、お母さんが死んでから叔父の家に預けられて、引っ越し先で出来た彼氏を叔父に寝取られた。

またある時には、大学に入って仲の良い男友達と付き合っていたら、なんか可愛い女の子が割り込んできたと思ったら、その男友達の幼馴染の、男の娘だった。その子に叩かれて泣かれて、どこか行ったと思ったら男友達は私とのデートをほっぽってその子を追いかけて行った。

そしてまたある時には、趣味で絵を描いて、コンクールに出展してみたこともある。将来画家になるのが小さいころからの夢だった。
それで私の絵が入賞したと思ったら、なんと私とは違う人の絵として入賞されていた。
しかも間違いで入賞した男は、若くして巨匠と呼ばれた男と恋に落ちた。
その後で間違いだとわかったけれど、私の作品はなかったことにされた。

努力の結晶すらもBLの踏み台にされたのだ。

他にも好きになった相手がショタコンだったりとかしたけど、すべて話すとキリが無いからここまでにしておく。

私のやることなすこと、全てが男同士の恋愛を成就させるための踏み台となっていく。

そして彼らは皆幸せになったのだ。私一人を残して

…私はその光景を見てうらやましく思った。私にも、自分だけを見てくれる人が、そばにいてくれる人が欲しかった。

一人になってからも、私なりに頑張ってきた。振られても次は頑張ろうと無理やり前向きに考えて、駄目だったところを直そうと頑張った。

恋だけが全てではないことは分かっているから、仕事も頑張ろうとした。

だけど私の努力、行動全てが彼らの恋愛を盛り上げるための材料となった。

そして…会社で出会って、仲良くなって婚約者となってくれた彼も部下の男と恋に落ちて、私は捨てられる……

それが私の、この世界での役割だ。

もはやそんな扱いに何の感情も示さなくなった。今だって、婚約者に捨てられて悲しいはずなのに、悔しいはずなのに、もう涙が出てこない。


 
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