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イケメン、コロスベシ! その5
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実に順風満帆といえる日々を過ごすミッツ。
日に日にダンジョンに挑戦する一般人は増え、今では自分で新規開拓しなくとも勝手に新規顧客が増えている状態である。
それでも、ミッツは毎日集客に勤しむ。
侵入者を殺すというのでは仕事だから仕方がないと自分に思い込ますことが難しい。
それでも、集客という仕事をすれば、仕事の一環だと自分を納得させることが出来ていたからだ。
それなのに、集客活動を止めようかと思わせるほどのことがひとつある――
「今日こそ姫様に会わせて貰いますよ、先輩」
「お前には大切な役目を任せているだろう」
「それは大丈夫です。もう5日も見張っていますが、そのような気配は一切ありませんでしたから」
「油断をするな。とにかく、お前は追いて来るなよ。俺に追いてダンジョンに来たら、姫に会わせる約束は無しだ」
「いったいいつ迄まてば良いんですか」
「そうだな……。姫が安心できるまでだ」
「……分かりました」
毎日集客活動の場所を変えているというのに、イケメン冒険者はミッツが到着するとすぐに現れる。そして、姫に会わせるようにとせがむ。
それがまた、とにかくしつこい。
ミッツは当然のことながら、イケメン冒険者を姫に会わせる気なんて毛頭ない。
姫に会わせるだけで満足するなら少しは考えてもいいとも思っているのだが、イケメン冒険者の言動を鑑みるにそれだけで終わるなんて考えられない。
姫に仕えたいという懇願が続くのは目に見えている。
だが、人間を雇うなど出来るはずもない。
イケメン冒険者は話を聞かないので、断っても平行線を辿るというのが想像出来てしまう。
なので毎日はぐらかしているのだが、あまりのしつこさにミッツは少し参っていた。
それなのに――
「先輩、こんなところで会うとは偶然ですね。先輩もご一緒しませんか? まだパーティーに空きはありますよ」
ミッツが新規顧客を連れてダンジョンに戻ると、イケメン冒険者と鉢合わせた。
勿論イケメン冒険者が言う通りの偶然なんてものではない。
それが証拠に、イケメン冒険者と一緒にミッツが大阪さんと呼んでいる一般人もいるのだから。
「今日は何処のダンジョンに潜ろうか悩んでいたところ、この御仁にパーティーに誘われたので参加してみたんですよ」
「にーちゃん、この人強いで。今日は地下の奥まで行けそうな気がするわ」
「そうですか、頑張ってください。しかし、お金を稼ぐだけなら1階の跳び掛かる硬貨でもそれほど変わりませんよ」
「そうなんか。ほなちょっと考えてみるわ」
ミッツは男と話し終えると、キッとイケメン冒険者を睨め付ける。
だが、素知らぬ風にそのままパーティーと何処かに行ってしまった。
ミッツも連れてきた一般人と別れて一人になり、地下へと降りていく。
地下1階は、以前は小部屋が一つあるだけの意味のない階層だったが、この数日で稼いだダンジョンエナジーを使用して改装してある。
1階とは違い、壁で入り組んだ迷路を作り、モンスターも【跳び掛かる硬貨】ではなく【直立する狗】を配置。
【直立する狗】は亜人系最弱モンスターだが【跳び掛かる硬貨】よりは遥かに強い。【跳び掛かる硬貨】が弱すぎるだけなのかもしれないが。
それでも、一般人には突破できるような階層ではなくなった
これのお陰で、ミッツが直接戦闘をしなくてもオートでダンジョンエナジーを稼ぎ出す仕組みとして機能している。
普段ならば1階から何組か地下に降りるように働きかけるのだが、今日のミッツはそんな気にならなかった。
そのまま地下2階、玉座の間でイケメン冒険者の始末を考えようと降りていく。
日に日にダンジョンに挑戦する一般人は増え、今では自分で新規開拓しなくとも勝手に新規顧客が増えている状態である。
それでも、ミッツは毎日集客に勤しむ。
侵入者を殺すというのでは仕事だから仕方がないと自分に思い込ますことが難しい。
それでも、集客という仕事をすれば、仕事の一環だと自分を納得させることが出来ていたからだ。
それなのに、集客活動を止めようかと思わせるほどのことがひとつある――
「今日こそ姫様に会わせて貰いますよ、先輩」
「お前には大切な役目を任せているだろう」
「それは大丈夫です。もう5日も見張っていますが、そのような気配は一切ありませんでしたから」
「油断をするな。とにかく、お前は追いて来るなよ。俺に追いてダンジョンに来たら、姫に会わせる約束は無しだ」
「いったいいつ迄まてば良いんですか」
「そうだな……。姫が安心できるまでだ」
「……分かりました」
毎日集客活動の場所を変えているというのに、イケメン冒険者はミッツが到着するとすぐに現れる。そして、姫に会わせるようにとせがむ。
それがまた、とにかくしつこい。
ミッツは当然のことながら、イケメン冒険者を姫に会わせる気なんて毛頭ない。
姫に会わせるだけで満足するなら少しは考えてもいいとも思っているのだが、イケメン冒険者の言動を鑑みるにそれだけで終わるなんて考えられない。
姫に仕えたいという懇願が続くのは目に見えている。
だが、人間を雇うなど出来るはずもない。
イケメン冒険者は話を聞かないので、断っても平行線を辿るというのが想像出来てしまう。
なので毎日はぐらかしているのだが、あまりのしつこさにミッツは少し参っていた。
それなのに――
「先輩、こんなところで会うとは偶然ですね。先輩もご一緒しませんか? まだパーティーに空きはありますよ」
ミッツが新規顧客を連れてダンジョンに戻ると、イケメン冒険者と鉢合わせた。
勿論イケメン冒険者が言う通りの偶然なんてものではない。
それが証拠に、イケメン冒険者と一緒にミッツが大阪さんと呼んでいる一般人もいるのだから。
「今日は何処のダンジョンに潜ろうか悩んでいたところ、この御仁にパーティーに誘われたので参加してみたんですよ」
「にーちゃん、この人強いで。今日は地下の奥まで行けそうな気がするわ」
「そうですか、頑張ってください。しかし、お金を稼ぐだけなら1階の跳び掛かる硬貨でもそれほど変わりませんよ」
「そうなんか。ほなちょっと考えてみるわ」
ミッツは男と話し終えると、キッとイケメン冒険者を睨め付ける。
だが、素知らぬ風にそのままパーティーと何処かに行ってしまった。
ミッツも連れてきた一般人と別れて一人になり、地下へと降りていく。
地下1階は、以前は小部屋が一つあるだけの意味のない階層だったが、この数日で稼いだダンジョンエナジーを使用して改装してある。
1階とは違い、壁で入り組んだ迷路を作り、モンスターも【跳び掛かる硬貨】ではなく【直立する狗】を配置。
【直立する狗】は亜人系最弱モンスターだが【跳び掛かる硬貨】よりは遥かに強い。【跳び掛かる硬貨】が弱すぎるだけなのかもしれないが。
それでも、一般人には突破できるような階層ではなくなった
これのお陰で、ミッツが直接戦闘をしなくてもオートでダンジョンエナジーを稼ぎ出す仕組みとして機能している。
普段ならば1階から何組か地下に降りるように働きかけるのだが、今日のミッツはそんな気にならなかった。
そのまま地下2階、玉座の間でイケメン冒険者の始末を考えようと降りていく。
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