バルファ旅行記

はるば草花

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バルファ旅行記

バルファ旅行記1

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やっと終わった…。生徒会の仕事を全て終えたぞ!

この全寮制男子校高等部の生徒会長をしているのが俺だが、人気投票で選ばれて拒否権はないという鬼畜なものによって会長になっている。

だからといって仕事をさぼるとか、そんなことはしていない。

なのにこんなに遅くまで生徒会室にこもって仕事をしていたのは、期限に余裕のあるものまで全て終わらせていたからだ。

こうすれば学園を離れても問題ないだろうから。何故、離れるかというと…。

抽選に当たって異世界に行けるからなんだ!

それが平日なもんだから、仕事の心配をした。平日に遊びに行くなんて駄目だとか言うなよ?

誰だって家族旅行とか休むだろ。ちなみに俺の休みの理由は家のことで、とか言えば皆勝手に想像してくれた。


「よし、次は準備だな」


行くのは明日だ。入念に準備せねば!

異世界というのは、ニ十年くらい前に地球と繋がった世界、バルファのことだ。

最初は関係者のみ行き来を許されていたが、今は人数制限で一般人も行くことができるようになった。しかし狭き門だ。

いかに自分はバルファに行きたいかなどを原稿用紙に書いて、その熱意と身辺の審査を経て、最後に抽選で選ばれる。

俺は、もとはファンタジーな世界に興味なんてなかったんだが、ある日出会った不思議な生き物を見てから考えが変わり、今ではファンタジーが好きすぎて、本どころか漫画やアニメ、ゲームまでするくらいなんだ!

普通逆なんだろうが、俺はファンタジー好きじゃなかったら、縁のなかったものだ。

あー、しかし、準備ったってどんなものすればいいんだ?一応手引きは来たけど、後悔なく満喫したい。

想像力を働かすんだ俺!

とか真剣に集中してたらほとんど寝ずに朝がきた…。子供か俺は…。


そして、指定の時刻になった。

どうやって行くのかと言うと、ファンタジーらしさを損なわない為か、ファンタジー的に行くことができる。

政府公認の旅行会社から送られてきた大きめのカードがある。高級そうな紙で凝った作りだ。

きっと魔力とかあるんじゃないかと思う。で、それを俺の部屋のクローゼットの扉に張り付ける。

張り付け方は、接着剤とかでなく、ケルファとか言いながらカードを扉に接触させるとカードがぼんやり光って勝手にくっついた。

すでに感動で泣きそうだ!

そして、すでに鼓動がやばい状態で、手が尋常でなく震えていたが、長年の夢の為に、俺は扉を開く。



「うおおおっ」


ついつい声が出る。まだ行ってもいなくてこれはやばいので自重せねば。

扉を開けたら、中は目映く光り、先が見えない。

…こんなの物語の主人公達は前置きなくよく入れるもんだな。入ったとたん地獄行きでも文句言えないだろ。

俺の場合…。物語の主人公じゃないし、せいぜいエキストラの1人にしかすぎないんだから大丈夫だ。

意を決し、中へと入る。眩しくて目を瞑ったが、すぐにどこかに着いたのか分かったので、目を開ける。


「おお…」


真っ白な空間だった。演出かな?

淡く光る白だけの四角い空間。こんな場所は地球には、…たぶんない。


「お名前お聞かせいただけますか?」

「あ、はい。香方こうかた緒深おみです」


きれいな女性が声をかけてきた。制服を着ているので旅行会社の人かもしれない。


「はい。コウカタ様ですね。受けたまわっております。石を持ってきましたか?」

「はい」


政府公認旅行会社から、青緑色の透き通った豆大の石が送られてきている。


「お預かりします」


渡した石を女性は手のひら大の金の装飾品のようなものにはめる。すると光った!

今度はさすがに声には出してないぞ。

すぐに石は俺の手に戻ってきたが、石の色は淡いピンク色になっていた。


「確認がすみましたので、全員がそろうまでお待ちください」

「ああ」


白い空間の中にはすでに何人かの人がいて、思い思いの場所に立ってたり座ってたりする。

当然だが、皆普通の現代の格好だ。それが現実っぽくて少し幻滅した。

しかしバルファの服に似せた服を自己流に作って着てるよりはましか。

バルファの文化は、少ないが本が出ていて知ることができる。とくに一冊しか出てないが写真集は世界的大ベストセラーとなった。

俺も10冊買って、2冊はぼろぼろになるまで見た。

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