バルファ旅行記

はるば草花

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バルファ旅行記すりー前編

すりー前編6

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「悪い。速度はほどほどにしてたから問題ないかと思ったんだが…」

「そうか。森は抜けたし、いくらでも休め」


俺も隣に座る。目の前に広がるバルファの平原を眺めつつ、リュックを漁る。


「ほら、これ。体力を回復したほうがいい」


非常用チョコレートを渡す。誠那が受け取って食べだした。


「のどかだな。こんな状況でなきゃ、しばらく旅行したいもんだ」

「…どれくらい?」

「そうだな…。1年くらい?」


あれとかこれとかしたいし。だけど少し遠慮してそれくらいかな。


「フッ。そのうち、な」

「そうだな。で、この後は? 見たとこまだ人が近くにはいなさそうだが」

「あそこに見える山の麓に村があるらしい。そこで旅の準備をしよう。さすがに用意したものでは無理だ」

「わかった」


用意したのは2、3日想定だからな。となるとこれから1週間とかかかるのか? 車とかないならそれくらいかかるかもしれないな。

それから道を進み暗くなり始めた頃になんとか村に到着。腹は減ったし疲れた。


「村だな。物とか手に入るのか? 宿とかはないか? あ、金が…」


疲れてなければ観察しまくるところだが、今はメシはないかと目が探す。


「金はないが、何か売る。店は…、もう閉まってるようだな。少しそこで休んでいてくれ」

「頼んだ。頑張れ」


誠那は村人に交渉しにいった。疲れてなければついていったんだがな。

誠那の言葉に甘え、邪魔にならないだろう場所に座る。

少し休めば落ち着いて、村を眺められる。村は村って感じだ。素朴で家がまばらに建っている。数10軒くらいしかなさそうだ。

お、牛っぽいのがいるし、犬とか鳥とか、村っぽいな。

村人も素朴そうな服で、女の人は赤色が少し目立つ。

余所人は珍しいのだろう。たくさんの視線が俺達に向いている。そんなに人は出ていないようだけど。


「オミ」

「おう。どうだった?」

「宿はないそうだが、旅人をよく泊めているっていう家に泊めてもらえることになった」

「本当か。助かる。できれば野宿はさけたいしな」


冒険者としては野宿の1回や2回くらいできなくてどうするであるが、できれば、な。


「こういう場所だから、時々旅人が来て
、泊まって物を買っていくのは普通らしい。明日、物も用意してくれるそうだ」

「あー、ホントありがたい」


誠那の案内でやってきた家は村の中では少し大きい家だった。そうでないと泊められないか。


「お世話になります」


家の前で俺達を待っていたのであろう女性に誠那が挨拶した。


「まあまあ、うちの人がまた旅人を泊めるなんていうからこんな時期に、なんて思ってたけど、いい男2人連れなんて大歓迎だよ。料理は腕を奮うわ。さ、入って」


口をはさませない怒濤の言葉が続き、促されたので素直に中に入る。


「ここを使ってちょうだい。料理ができるまで休憩しとくといいよ。そうだ。料理のリクエストとかあるかい?」

「えっと…」


こっちの料理がそもそも知らない。


「遠慮なんてしないでおくれ」


俺は困って誠那を見る。理解しただろう誠那が答えてくれた。


「料理は奥さんの一番得意なもので。それと、今日は長く食べてないので、少し多めにしてもらえるとありがたい」

「まあ! わかったわ。たくさん作るわね」


爽やか笑顔の誠那に機嫌をよくして女性は出ていった。


「…どこで女性の扱いを習ったんだ?」


かなり自然に慣れた対応だった。俺も家の関係である程度は勉強しているが、なにせうちの学校、男子校だから普段の練習がほとんどない。


「別に。普通のことだろ?」

「天然たらしか!」

「声に出てるぞ」

「当然。声に出した。物語の主人公はよくこういうふうに突っ込まれるんだ」

「そうか…」


微妙な、どう返せばいいか分からないという顔だな。誠那はあまり娯楽物とかは見なさそうだしな。しかし実際どうなのか。今度、いや…。


「セイナは普段どんな本を読んだり、映像見たりするんだ?」

「なんだ。突然」

「親友だろ。それと待つ間の暇つぶし?」


部屋にはシンプルにベッドが2つに小さな台があるだけで、ベッドの上に乗って話をする。


「親友、な。それも悪くはないな」


誠那は娯楽小説や映像もそれなりには見てるつもりだそうだ。ファンタジーはどうかというと普通だとか。本物知ってればそうなるものかもな。

疲れていても会話は弾み、気づけばさきほどの女性が呼びにきてくれた。
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