ツクチホ短編まとめ

はるば草花

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その後に7

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「…それは、どうしようもないだろう。避けても会ったしな。出現の多そうな食堂にあえて行く。そこが一番多くの生徒が見れるしな」

「わかった。それなら夕食の混雑する少し前に行くか」

「ああ」


そうして放課後の混雑がピークになる少し前に、2人は食堂にやってきた。

とても広い食堂で、すでに多くの生徒で賑わっていたが、入り口に2人が入ったところで大きな騒ぎとなった。

それは毎度のことなので気にせず2人は役員専用席に向かう。


「んー、前と変わらないような感じもするけど、少し雰囲気が悪いのは確かか?」


熱狂的な声は変わらないが、その中にわずかであるが悪口とも言える言葉が混ざっている。

2人は無事に席に着けた。


「おお、転校生に会わなかった」

「これから来るかもしれない。体力つけておけ」

「体力というか精神力じゃ…。…まだあんま食える気がしない。んー、もっさり野菜炒め単品で」

「野菜好きだな。今度から野菜増やすか?」

「いや、他の物も美味しくいただけるから、今までのままでいい」

「そうか」


注文を終えるとのんびり話をする2人で、そんな2人を見て親衛隊の生徒はうっとりしている。

なかなか料理がこないなと思っていたら騒ぎが起きた。

来たか。と思った2人だったが、どうも転校生でなく何かあったようで、2人はその騒ぎのもとに向かう。


「なにをしている」

倉見が騒ぐ集団に声をかけた。


「あ、会長様!」


振り返って驚く生徒。その生徒に再度なにがあったのか尋ねると、どうやらただの喧嘩らしい。ただ、本来仲がよくて喧嘩なんてしない2人なので驚いているのだとか。


「前から気に入らなかったんだよ!」

「それはこっちのセリフだ!」


取っ組み合いの喧嘩で相手を罵っている。

そこを仲樹が間に入って止めた。さすがに風紀委員長に掴みかかるわけにもいかない2人だったが、口喧嘩は止まらない。

倉見も間に入って喧嘩を止めようと近づく。そこで喧嘩する2人にあの黒いモヤがあるのに気づいた。

そう思ったら視界がぶれる。


「倉見!」


仲樹の叫びを聞きながら、倉見の意識は遠くなった。


意識が戻ってきたと思ったら変な部屋にいた。

これは絶対、学園内でないと倉見は感じた。

部屋は明治か大正といった雰囲気の部屋で、窓の外は雲のような浮いてるものとピンク色が見える。倉見自身はソファーの上にいた。


「また、天国にでも来たのか」

「大丈夫。そこまでじゃない」


倉見の前には椅子に腰掛けた死神と名乗った男。

前はファンタジーな格好だったが、今は部屋に合わせてか、紳士を思わせる姿だ。眼鏡とか絶対趣味だ。


「なら、どこだ」

「んー、夢の中に近いかな? ちょっと危なかったのは確か。でもそこまでじゃない。だけど、こんなの何度も続いたら困るよー」

「困るのはこっちだが、もしかして俺の体調が悪いのは、あの黒いモヤせいか」

「…えー、もう少しゆっくりしない? 例えば、なんでこんなことに…、え、黒いモヤとか見えなかったか、って? そういえばそんなものが…、それがどうかしたのか? な! あれが原因だったのか! びっくり。みたいな流れがほしい」

「ドラマの見すぎだ。つまりはあれが原因なのは確かか、なんとかしろ」

「物語とは読者に親切にしないと駄目だろ。はい、この紅茶美味しいよ」


自称死神はカップに入った紅茶を出現させた。


「自由だな。ま、いい。それで、俺になにか忠告する為に夢に出てきたのか。…お前が探偵役か?」

「そっちも十分ドラマ知ってるよね? 探偵役は無理だね。なにかよく分からないし。といってもモヤ自体は簡単で、悪い思念だね。イチカゼちゃんはそれにたいし元々敏感だったんじゃないかな? それで影響を受けやすくて体調を崩し、さらに敏感さに磨きがかって見えるようにまでなったんだよ」

「ほぼ、想定内の話だな。他に情報は? 祓い師とか学園にひそかに通ってないか」

「ひどい…。物語クラッシャーだよ。そこまでの設定はないよ」


死神の立場がない。倉見としては何がひどいのかと思う。この時代なら誰でも推測できるレベルだ。
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