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決着は如何に
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「何をトチ狂ってるんですの!」
アリシアは勝利を確信した。しかし、これは薄氷の勝利である。何故ならば、戦いで疲弊していた状態で最大魔力を使用したアリシアは、もうこれ以上、一歩も動く事はかなわない。
だが次の瞬間、結界内に異様な音が響いた。メルの神速ともいえるダッシュに加え、全力で振り降ろされた剣が音速を越えたのだ。ソニックブームがうなり、その衝撃波が特大の暗黒火球を切り裂いた。
真っ二つとなった火球は一気に安定性を失って、結界の両側へ激しくぶつかり大爆発を起こす。
これがメルの狙いだった。アリシアは、スピードではメルにかなわない。結界の端に追い詰めた後に、全速力で彼女へ突進すれば、アリシアは全方位をカバーする暗黒火球を撃たざるを得ないだろう。そして戦いの状況を考えれば、それがアリシアの最後の攻撃となるのは明らかだった。
だが火球をただ切り裂くだけなら、メルも爆発に巻き込まれ、タダで済むはずがない。そこで音速を越えた衝撃波を繰り出して、火球とまだ距離がある内にそれを崩壊させたのだ。
「何? いったい……」
アリシアは、まだ目の前で起きた事が理解できないでいる。だがそんな彼女の瞳には、剣を上段に振りかざしたメルの姿が映し出されていた。
逃げなくては……!
心の中でそうは叫んで見たものの、アリシアの体力は既に尽き、背中の翼も淡い光と共に消滅している。戦いの序盤、アリシアにまんまと罠にかけられたメルであったが、今度は彼女が敵を罠にかけたのだった。
死を覚悟した魔王の娘アリシア。だが、ここで、またもや思いがけない事が起きる。
「あっ!」
メルの口から、素っ頓狂な声が発せられた。アリシアにとどめの一撃を放つ刹那、無理に無理を重ねていた両脚が限界を迎え、物の見事に絡み合った。バランスを崩したメルは剣を振るう事が出来ず、そのままアリシアに激突する。
二人は背後にある結界に激しくぶつかり、その勢いで度重なる衝撃で弱っていた結界が砕け散った。それをきっかけに、全ての結界が消え去っていく。
そして後ろの草むらに投げ出された二人。だが壊れた結界がクッションとなり、深刻な衝撃を受ける事を免れた。
「あいたたた……、ちょっとあなた、何、無茶苦茶な事してくれるんですの……」
アリシアが四つん這いになり、腰をさする。
「それはこっちのセリフでしょ。あんな大火球、下手をすれば結界を砕け散らせた上に、ネッドの店まで被害が及ぶとか、考えなかったの?」
立て膝をついたメルが、後頭部をさすりながら文句を言う。
「はぁ~? そもそも特大火球を撃たせるのが、あなたの狙いだったんじゃないの!? それを、いけしゃあしゃぁと……!」
物理的に戦う力を使い果たした二人が、今度は言葉で合戦を始めた。
「だいたいねぇ……!」
メルが反論しようとすると、遠くから聞き覚えのある声が響いてきた。
「おおい! 二人とも大丈夫か――!?」
「ネッド!」
「ネッド!」
メルとアリシアが同時に叫ぶ。奇しくも二人の声は、素晴らしいハーモニーを奏でていた。
アリシアは勝利を確信した。しかし、これは薄氷の勝利である。何故ならば、戦いで疲弊していた状態で最大魔力を使用したアリシアは、もうこれ以上、一歩も動く事はかなわない。
だが次の瞬間、結界内に異様な音が響いた。メルの神速ともいえるダッシュに加え、全力で振り降ろされた剣が音速を越えたのだ。ソニックブームがうなり、その衝撃波が特大の暗黒火球を切り裂いた。
真っ二つとなった火球は一気に安定性を失って、結界の両側へ激しくぶつかり大爆発を起こす。
これがメルの狙いだった。アリシアは、スピードではメルにかなわない。結界の端に追い詰めた後に、全速力で彼女へ突進すれば、アリシアは全方位をカバーする暗黒火球を撃たざるを得ないだろう。そして戦いの状況を考えれば、それがアリシアの最後の攻撃となるのは明らかだった。
だが火球をただ切り裂くだけなら、メルも爆発に巻き込まれ、タダで済むはずがない。そこで音速を越えた衝撃波を繰り出して、火球とまだ距離がある内にそれを崩壊させたのだ。
「何? いったい……」
アリシアは、まだ目の前で起きた事が理解できないでいる。だがそんな彼女の瞳には、剣を上段に振りかざしたメルの姿が映し出されていた。
逃げなくては……!
心の中でそうは叫んで見たものの、アリシアの体力は既に尽き、背中の翼も淡い光と共に消滅している。戦いの序盤、アリシアにまんまと罠にかけられたメルであったが、今度は彼女が敵を罠にかけたのだった。
死を覚悟した魔王の娘アリシア。だが、ここで、またもや思いがけない事が起きる。
「あっ!」
メルの口から、素っ頓狂な声が発せられた。アリシアにとどめの一撃を放つ刹那、無理に無理を重ねていた両脚が限界を迎え、物の見事に絡み合った。バランスを崩したメルは剣を振るう事が出来ず、そのままアリシアに激突する。
二人は背後にある結界に激しくぶつかり、その勢いで度重なる衝撃で弱っていた結界が砕け散った。それをきっかけに、全ての結界が消え去っていく。
そして後ろの草むらに投げ出された二人。だが壊れた結界がクッションとなり、深刻な衝撃を受ける事を免れた。
「あいたたた……、ちょっとあなた、何、無茶苦茶な事してくれるんですの……」
アリシアが四つん這いになり、腰をさする。
「それはこっちのセリフでしょ。あんな大火球、下手をすれば結界を砕け散らせた上に、ネッドの店まで被害が及ぶとか、考えなかったの?」
立て膝をついたメルが、後頭部をさすりながら文句を言う。
「はぁ~? そもそも特大火球を撃たせるのが、あなたの狙いだったんじゃないの!? それを、いけしゃあしゃぁと……!」
物理的に戦う力を使い果たした二人が、今度は言葉で合戦を始めた。
「だいたいねぇ……!」
メルが反論しようとすると、遠くから聞き覚えのある声が響いてきた。
「おおい! 二人とも大丈夫か――!?」
「ネッド!」
「ネッド!」
メルとアリシアが同時に叫ぶ。奇しくも二人の声は、素晴らしいハーモニーを奏でていた。
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