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魔女の薬 (5) とんでもない事態
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ドカン!
いい気分で夢とうつつの間をさまよっていたネリスは、突然の爆発音で目を覚まします。
「何?なに、なに、何?」
新米魔女は辺りを見回します。別に異常はありません。「何だ、夢か」と思ったのも束の間、もしかしたら調合室の装置に何かあったのかも知れないと気がづき、急いでそちらへ向かいます。万が一、そうであったなら、コリス師匠の大目玉は確実です。下手をすれば、工場をクビになってもおかしくありません。
流石のネリスも顔を青くしながら、”現場”へと走りました。
「ヤッバァ……」
調合室へ到着したネリスの口から、その一言がこぼれ落ちました。楽観主義者の彼女らしからぬ言葉です。
しかしそれもそのはず、大きな机いっぱいに配置した装置は見る影もなく壊れておりました。ただ不思議な事に薬剤の臭いは、まるでしません。それなりに特徴のある香りがあるのですが、ネリスの鼻には何も感じませんでした。
彼女の目には、大きく開け放った窓が映ります。大量の、しかも濃縮した薬が爆発によって気化し、それが窓から外へと放出された事をネリスはすぐに悟りました。
「でも、ま、いっか。毒薬が外へまき散らされたんなら問題だけど、たかが気つけ薬。むしろみんながシャッキリした気分になるわけだから、かえって感謝されるかも」
新米魔女は、能天気に考えます。
「さてと、あとはこれをどう誤魔化すかよね」
ネリスは辺りに散乱した装置の残骸を見て呟きました。でも彼女は、大きな勘違いをしていたのです。その事が、今まさに大きな事件に発展しようとしていました。
「オーナー。シャウト牛のステーキ・ゴラゾンソース掛け、三人前お願いします」
レストラン”美牛亭”のウエイター、ソランがシェフ兼オーナーのジェイドに伝えます。お昼時ともあって、店はお客さんで一杯です。特にソランが注文を受けた料理はこの店の看板メニューで、ジェイドが長年の苦労の末に開発したレシピによって作られていました。
「おう、三人前な!」
シェフが、元気に答えます。調理場の熱気は既に最高潮に達し、ムンムンとした空気が滞留しています。開け放った窓も何ひとつ役には立ちませんでした。
ジェイドは良質な脂身が多いシャウト牛のロースを取り出して、早速調理にかかります。ほどなく最高の珍味が客の前へと運ばれました。みな揃って舌鼓をうっています。そんな光景がどれだけ続いたでしょうか、慌ただしいランチタイムも終わり、店に一時の静けさが訪れました。
「ふぅ、今日の昼も忙しかったなぁ。よし、ディナータイムに向けて、追加でソースの仕込みを始めるか」
ジェイドが一人、呟きます。
店の看板メニューの牛ステーキ。肉の品質や焼き具合もさることながら、一番の肝は、それにかけるソースです。秘伝中の秘伝とあって、その作り方はジェイドの頭の中にシッカリと仕舞い込まれておりました。下手に書き記せば、それを盗まれる恐れがあるからです。
ジェイドは早速、鍋をかまどの上に置きました。そしていつものように材料を……。そこで異変が起きました。
いい気分で夢とうつつの間をさまよっていたネリスは、突然の爆発音で目を覚まします。
「何?なに、なに、何?」
新米魔女は辺りを見回します。別に異常はありません。「何だ、夢か」と思ったのも束の間、もしかしたら調合室の装置に何かあったのかも知れないと気がづき、急いでそちらへ向かいます。万が一、そうであったなら、コリス師匠の大目玉は確実です。下手をすれば、工場をクビになってもおかしくありません。
流石のネリスも顔を青くしながら、”現場”へと走りました。
「ヤッバァ……」
調合室へ到着したネリスの口から、その一言がこぼれ落ちました。楽観主義者の彼女らしからぬ言葉です。
しかしそれもそのはず、大きな机いっぱいに配置した装置は見る影もなく壊れておりました。ただ不思議な事に薬剤の臭いは、まるでしません。それなりに特徴のある香りがあるのですが、ネリスの鼻には何も感じませんでした。
彼女の目には、大きく開け放った窓が映ります。大量の、しかも濃縮した薬が爆発によって気化し、それが窓から外へと放出された事をネリスはすぐに悟りました。
「でも、ま、いっか。毒薬が外へまき散らされたんなら問題だけど、たかが気つけ薬。むしろみんながシャッキリした気分になるわけだから、かえって感謝されるかも」
新米魔女は、能天気に考えます。
「さてと、あとはこれをどう誤魔化すかよね」
ネリスは辺りに散乱した装置の残骸を見て呟きました。でも彼女は、大きな勘違いをしていたのです。その事が、今まさに大きな事件に発展しようとしていました。
「オーナー。シャウト牛のステーキ・ゴラゾンソース掛け、三人前お願いします」
レストラン”美牛亭”のウエイター、ソランがシェフ兼オーナーのジェイドに伝えます。お昼時ともあって、店はお客さんで一杯です。特にソランが注文を受けた料理はこの店の看板メニューで、ジェイドが長年の苦労の末に開発したレシピによって作られていました。
「おう、三人前な!」
シェフが、元気に答えます。調理場の熱気は既に最高潮に達し、ムンムンとした空気が滞留しています。開け放った窓も何ひとつ役には立ちませんでした。
ジェイドは良質な脂身が多いシャウト牛のロースを取り出して、早速調理にかかります。ほどなく最高の珍味が客の前へと運ばれました。みな揃って舌鼓をうっています。そんな光景がどれだけ続いたでしょうか、慌ただしいランチタイムも終わり、店に一時の静けさが訪れました。
「ふぅ、今日の昼も忙しかったなぁ。よし、ディナータイムに向けて、追加でソースの仕込みを始めるか」
ジェイドが一人、呟きます。
店の看板メニューの牛ステーキ。肉の品質や焼き具合もさることながら、一番の肝は、それにかけるソースです。秘伝中の秘伝とあって、その作り方はジェイドの頭の中にシッカリと仕舞い込まれておりました。下手に書き記せば、それを盗まれる恐れがあるからです。
ジェイドは早速、鍋をかまどの上に置きました。そしていつものように材料を……。そこで異変が起きました。
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