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扉の奥の秘宝 (18) 膠着状態
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さぁ、今日はゾルウッドの二回目のチャレンジです。もうすっかりおなじみの光景が繰り広げられますが、フューイにとって、少し予想外の出来事がありました。
一昨日と同じく、ゾルウッドは午後の早い時間で仕事を切り上げ、これまた同じく、気晴らしと称して森へと出かけて行ったのです。やる気があるのでしょうかね。
片や、翌日のフューイの挑戦。これも上手くは行きませんでした。既に習慣になりつつあると言って良い、同じルーティーンが繰り返されます。宿舎へ戻り、今日の成果を書き記す。そして夕食を取りに一階へという具合にです。
今日のメニューは川魚のソテーです。いつものように、そっけない顔で折角の料理を頂き、今日は食後のデザートまで食べてからゆっくりと自室へ戻ります。そうして部屋の中へ入ったフューイは、部屋の中を調べニヤリと笑いました。
そのあとも、それぞれが秘宝への扉に挑戦しましたが、お互いに錠前を突破する事が出来ません。しかしフューイは確かな手ごたえを感じていましたし、ゾルウッドの仕事時間も段々と伸びていきました。
「あら、珍しいアイテムですね」
食事を終えてコーヒーを飲んでいたフューイに、レネフィルが声をかけてきました。彼女はフューイとゾルウッド、二人の接客係なのでこうして若い細工師にも気を使います。決して、ゾルウッドだけにかまっているわけではないのです。もっともフューイは、彼女に対して面倒そうなオーラを放っていましたけどね。
「あぁ、これか」
いつもとは違い、夕食を終えた後も食堂でゆったりとしていたフューイの傍らには、直径三センチほどのレンズが組み込まれた小さなアイテムがありました。
「なんですの?」
レネフィルが、興味深そうに尋ねます。
「鍵開けに使うアイテムだ。これで鍵穴をのぞくと、構造がある程度見えるんだ。だが、錠前にも魔法が掛かっている場合、相性によってはこのレンズは壊れてしまう。
これは、大変貴重な品物なんでな。替えがないんだ。だから今回の挑戦には使って来なかったが、もうそんな事を言っている余裕はなくなってしまった」
フューイはアイテムを取り上げ、それを覗く仕草をしました。
「私は立場上、フューイさんとゾルウッドさんのどちらかを贔屓にするのは禁じられていますが、明日の最終日、頑張って下さいね」
レネフィルはそう言うと、食堂の奥へと消えて行きました。
さぁ、運命の十日目です。
「今日が最後。全力で挑んで行こう」
フューイが、五回目の挑戦を前に気合を入れます。今日、鍵開けに失敗すれば、彼の挑戦権は消滅するのです。泣いても笑っても、数時間後には結果が出ます。
「話は、いよいよクライマックスだ」
骨董屋「エンシャント・ケイブ」のオーナー・ゼペックが、二杯目のコーヒーを飲み干しました。この先の話次第で、目の前に座っている、少年の心を宿した大人二人のどちらかから、高いお金をふんだくる……、いえ支払っていただけるかが決まるのです。
「いやぁ、オーナー、話を引きますねぇ。もう結末を聞かないで、帰るわけには行かなくなっちゃいましたよ」
カウンターの前では、指先をクッキーでベタベタにしたマルロンがはしゃぎます。
一昨日と同じく、ゾルウッドは午後の早い時間で仕事を切り上げ、これまた同じく、気晴らしと称して森へと出かけて行ったのです。やる気があるのでしょうかね。
片や、翌日のフューイの挑戦。これも上手くは行きませんでした。既に習慣になりつつあると言って良い、同じルーティーンが繰り返されます。宿舎へ戻り、今日の成果を書き記す。そして夕食を取りに一階へという具合にです。
今日のメニューは川魚のソテーです。いつものように、そっけない顔で折角の料理を頂き、今日は食後のデザートまで食べてからゆっくりと自室へ戻ります。そうして部屋の中へ入ったフューイは、部屋の中を調べニヤリと笑いました。
そのあとも、それぞれが秘宝への扉に挑戦しましたが、お互いに錠前を突破する事が出来ません。しかしフューイは確かな手ごたえを感じていましたし、ゾルウッドの仕事時間も段々と伸びていきました。
「あら、珍しいアイテムですね」
食事を終えてコーヒーを飲んでいたフューイに、レネフィルが声をかけてきました。彼女はフューイとゾルウッド、二人の接客係なのでこうして若い細工師にも気を使います。決して、ゾルウッドだけにかまっているわけではないのです。もっともフューイは、彼女に対して面倒そうなオーラを放っていましたけどね。
「あぁ、これか」
いつもとは違い、夕食を終えた後も食堂でゆったりとしていたフューイの傍らには、直径三センチほどのレンズが組み込まれた小さなアイテムがありました。
「なんですの?」
レネフィルが、興味深そうに尋ねます。
「鍵開けに使うアイテムだ。これで鍵穴をのぞくと、構造がある程度見えるんだ。だが、錠前にも魔法が掛かっている場合、相性によってはこのレンズは壊れてしまう。
これは、大変貴重な品物なんでな。替えがないんだ。だから今回の挑戦には使って来なかったが、もうそんな事を言っている余裕はなくなってしまった」
フューイはアイテムを取り上げ、それを覗く仕草をしました。
「私は立場上、フューイさんとゾルウッドさんのどちらかを贔屓にするのは禁じられていますが、明日の最終日、頑張って下さいね」
レネフィルはそう言うと、食堂の奥へと消えて行きました。
さぁ、運命の十日目です。
「今日が最後。全力で挑んで行こう」
フューイが、五回目の挑戦を前に気合を入れます。今日、鍵開けに失敗すれば、彼の挑戦権は消滅するのです。泣いても笑っても、数時間後には結果が出ます。
「話は、いよいよクライマックスだ」
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「いやぁ、オーナー、話を引きますねぇ。もう結末を聞かないで、帰るわけには行かなくなっちゃいましたよ」
カウンターの前では、指先をクッキーでベタベタにしたマルロンがはしゃぎます。
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