1 / 7
もう何もかも手遅れです
しおりを挟む「王子、婚約破棄してくださいね」
王子と婚約させられてから窮屈すぎる日々を過ごしてきた。
そんな日々から自由になりたい。
そんな私は我慢の限度を超えていた。
「えっ……? あ、ちょっとまって」
「何故ですか?」
「何故って……そんなこと私は認めない」
「そんなことって? 婚約破棄にあなたの意見なんか関係ないんですよ」
私が婚約の際にひとつだけ望んだこと。
それは『正当な理由がある場合、下位である私から婚約破棄ができる』というもの。
この国では同じ人と再婚約は結べない。
私が婚約破棄を申し出た時点で縁は切れている。
昨日の時点で陛下に申し出て認められたのだから。
切れた赤い糸は二度と結ばれない。
「正当な理由……そんなものはない」
「本気でそんなこと仰っているのですか?」
「……何が理由だ。私が直せることなら」
まだやり直せると思っているのだろうか?
「王子。…………もう何もかも手遅れです」
*:,.:.,.*:,.:.,.*:,.:.,.。*:,.:.,.。*:,.:.,.。*:,.:.,.。*:,.:.,.*:,.:.,.*:,.:.,.*:,.:.,.。*:,.:.,.。*:,.:.,.。*:,.:.,.。
私は自室で謹慎させられていた。
婚約者からつきつけられた婚約破棄が信じられず、学園を抜け出して父に理由を聞き出そうとした。
しかし父は理由を教えてはくれず。
「自分の罪と向き合え!」
そのひと言で私は自室に謹慎させられることに。
その日からすでに5日。
いくら考えても自分の罪に心当たりはない。
「私が何をしたというのだ」
いくら考えても思い当たることはない。
しかし、私の有責による婚約破棄は成立されている。
では何が悪かったというのか。
「アントニオ王子、食事をお持ちいたしました」
私の従者だったグレン。
今の私には従者はいない。
「王族でいる資格はない」として外されたからだ。
「グレン。私は一体何が悪かったというのだ?」
「それはご自分でお考えください」
今まで親身になってくれていたグレン。
彼の様子は何故かよそよそしい。
部屋から出してもらえず、食事も部屋に運ばれるようになった。
隣に風呂とトイレがあるから食事さえ運ばれれば生きてはいける。
しかし、誰からの世話も受けられない。
グレンも食事を乗せたカートを持ってきただけで去っていった。
「私がいったい何をしたというのだ……」
独り言つ。
それに返る声はない。
158
あなたにおすすめの小説
完 これが何か、お分かりになりますか?〜リスカ令嬢の華麗なる復讐劇〜
水鳥楓椛
恋愛
バージンロード、それは花嫁が通る美しき華道。
しかし、本日行われる王太子夫妻の結婚式は、どうやら少し異なっている様子。
「ジュリアンヌ・ネモフィエラ!王太子妃にあるまじき陰湿な女め!今この瞬間を以て、僕、いいや、王太子レアンドル・ハイリーの名に誓い、貴様との婚約を破棄する!!」
不穏な言葉から始まる結婚式の行き着く先は———?
【改稿版】婚約破棄は私から
どくりんご
恋愛
ある日、婚約者である殿下が妹へ愛を語っている所を目撃したニナ。ここが乙女ゲームの世界であり、自分が悪役令嬢、妹がヒロインだということを知っていたけれど、好きな人が妹に愛を語る所を見ていると流石にショックを受けた。
乙女ゲームである死亡エンドは絶対に嫌だし、殿下から婚約破棄を告げられるのも嫌だ。そんな辛いことは耐えられない!
婚約破棄は私から!
※大幅な修正が入っています。登場人物の立ち位置変更など。
◆3/20 恋愛ランキング、人気ランキング7位
◆3/20 HOT6位
短編&拙い私の作品でここまでいけるなんて…!読んでくれた皆さん、感謝感激雨あられです〜!!(´;ω;`)
婚約破棄、されたほうです。
みけねこ
恋愛
社交パーティーの会場のど真ん中で突然言い渡された婚約破棄。
目の前で婚約者は肩を抱き寄せられ、得意げに弟はこちらにそう突きつけた。
婚約破棄、されたのはどうやらこちらのようです。
婚約破棄したいって言いだしたのは、あなたのほうでしょ?【完結】
小平ニコ
恋愛
父親同士が親友であるというだけで、相性が合わないゴードリックと婚約を結ばされたキャシール。何かにつけて女性を見下し、あまつさえ自分の目の前で他の女を口説いたゴードリックに対し、キャシールもついに愛想が尽きた。
しかしこの国では制度上、女性の方から婚約を破棄することはできない。そのためキャシールは、ゴードリックの方から婚約破棄を言いだすように、一計を案じるのだった……
悪役令嬢の私が転校生をイジメたといわれて断罪されそうです
白雨あめ
恋愛
「君との婚約を破棄する! この学園から去れ!」
国の第一王子であるシルヴァの婚約者である伯爵令嬢アリン。彼女は転校生をイジメたという理由から、突然王子に婚約破棄を告げられてしまう。
目の前が真っ暗になり、立ち尽くす彼女の傍に歩み寄ってきたのは王子の側近、公爵令息クリスだった。
※2話完結。
婚約って契約ですのよ、婚約者様。
よもぎ
恋愛
とある貴族家の令嬢を、婚約者は訪ねてきた。理由は婚約破棄の要求だ。先触れのなかったせいか待たされたが、令嬢は現れてくれた。何時も通りの静かな微笑みを受けながら婚約者は用件を話し出すのだが――
不貞の罪でっち上げで次期王妃の座を奪われましたが、自らの手を下さずとも奪い返してみせますわ。そしてあっさり捨てて差し上げましょう
松ノ木るな
恋愛
カンテミール侯爵家の娘ノエルは理知的で高潔な令嬢と広く認められた次期王妃。その隠れたもうひとつの顔は、ご令嬢方のあいだで大人気の、恋愛小説の作者であった。
ある時彼女を陥れようと画策した令嬢に、物語の原稿を盗まれた上、不貞の日記だとでっち上げの告発をされ、王太子に婚約破棄されてしまう。
そこに彼女の無実を信じると言い切った、麗しき黒衣裳の騎士が現れる。そして彼は言う。
「私があなたをこの窮地から救いあげる。これであなたへの愛の証としよう」
令嬢ノエルが最後に選んだものは…… 地位? それとも愛?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる