私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル

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第七章

第197話


《 というわけで。ちゃんと悪意を持って寄ってきた連中には『妖精の罰』を与えたし、二度と手出ししないように脅しもしてきたよ 》
「な~にが『というわけで』なのよ」

妖精たちからのアゴール護衛報告は頭をかかえるものだった。……妖精たちに対してではなく、アゴールの周囲に対してだ。
やはり「子供ができなければ」という連中もいたが、中には「アゴール様が妊娠なんて!」と嘆く女性職員が思っていた以上に多かったのだ。だが、思うだけならタダだ。
手を出した時点で妖精たちに叩き潰されたが。

《 酷かったよー。ダイバを好きな女とかアゴールを好きな男たちは、階段から突き落としてらアゴールも死ぬって思っているんだもん 》
《 ちゃんとアゴールとお腹の赤ちゃんを守った! 》

そう。妖精たちは二人を守っただけだ。
妖精たちがしたことはただアゴールに風を送り、ちょっと横へずらしたり立ち止まらせただけだ。あとは連中がバランスを崩して階段を落ちるなど自滅していった。その数三十九人。内、女性二十三人。アゴールを好きな男の場合、「アゴールが死ねば、ダイバも他の男にも二度と触られることはできない」という身勝手な者までいた。

「良かったね。そいつ、二度とアゴールを見ることも触れることもできなくなって」

彼ら三十九人の中に『別の理由』を含んでいた者もいた。そう、竜人ダイバの案件だ。彼らには『雲隠れ』してもらった。妖精たちには『別の空間を作る』能力がある。ただし、これには多大な妖力チカラを必要とする。しかし、聖魔師テイマーと契約して妖力チカラが増幅された上、難しい空間のコントロールを得意とするくらやみの妖精がいるため難なくできる。……私に隠れて、涙石の中に広がる空間に別の空間を作って、『拾ってきた武器などが安全だと確認できるまで保管している』ことがバレていないと思っているようだ。みんなの妖力チカラだけでは足りず、私の魔力も使われたため、空間の存在はわかっている。ただ、保管庫代わりに使ってるだけなので見逃している。……ことは、ピピンは知っているし、そちらの管理もしてくれている。
今回は、そこに雲隠れした連中が入っているのだろう。

「ところで、外周部に向かったダイバの方はどう?」
《 あっちはほとんど片付いたよ 》
《 やっぱり、呪いをかけた二人が死んだことが大きかったみたい 》

宿で一人が突然死、一人も一時間後に死に。外周部といえど、もちろん不審死として届け出る必要がある。
そこからサクッと身元が判明していった。何より、死人ほどお喋りな者はいない。故意に隠すこともなく、すべてさらけ出すからだ。鑑定にはエリーさんが協力してくれたらしい。

「連中は何が目当てだったの?」
《 大したことじゃなかったよ 》

彼らが求めたのは『ダンジョン都市シティの全権』だった。悪事を働く者たちにとって、独自の自治権を持つこの都市は隠れ蓑にもってこいだろう。ただし、ここで大きな問題が一つ。

「犯罪者はダンジョン都市シティに入れないって知らないの?」
《 うん。ダイバがそれを指摘したら驚いてたよ 》

もう呆れてため息も出ない……

《 すでに組織全体を潰してきたから、連中は二度と日の目は拝めないよ 》
「何をしてきたの?」
《 何にもしてないよ。連中は罰で地下水路に入れられることになっただけ 》

各地に点在する仲間たちは妖精たちがきた。誰が見ても『妖精の罰』だとわかるように。
彼らは牢屋に入れられ、ここダンジョン都市シティに確認の連絡が届いた。その上で証拠や証言を開示して罪を暴き、王都でサクッと有罪の上地下水路の作業が決定した。

…………あとは、庁舎で行われてきた犯罪を暴くだけとなった。

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