1 / 6
第1話
しおりを挟む両腕を掴まれて引き摺り出されたアレグリアは、王族および貴族当主たちの前で跪かされる。
滔々とアレグリアの罪名を告げる宰相の声。
アレグリアだけではない。
ここにいる誰もが……いや、国王以外はそれが冤罪だとわかっている。
しかし、それを訴えたところですでに取り返しのつかないところまで事態は悪化していた。
唯一、アレグリアを信じて無罪を主張していたフォンデン侯爵家は、この時点ですでに処刑されている。
両親だけでなく、アレグリアの兄弟姉妹だけでなく、両親の親族も縁座という形で公開処刑にされたのだ。
主犯は、壇上に立つ王太子および王太子の婚約者。
それに協力したのが王妃。
そして王妃と王太子、未来の王太子妃推しの一派。
一介の貴族が敵う相手ではない。
そして今…………最後の憂いとなるアレグリアの処刑が行われようとしている。
「苦しんでのたうち回って死ぬがいい」
王太子のその言葉から、貴族の前で毒杯をもって死を賜ることとなった。
アレグリアがこの場に引き出される前に、真実の恋人たちは「アレグリアに真実を告げた」という。
…………フォンデン侯爵家一族の処刑を。
そのせいだろうか。
宰相から「何か申し開きはあるか」と聞かれても、アレグリアは頭を左右に往復させたのみだった。
小さく「何を今更」と呟いた声を、両側から腕を押さえていた2人の王宮騎士は聞いたとのちに語っている。
「では毒杯を」
国王の言葉に、ビロードの布をかけられたトレーがアレグリアの前に運ばれる。
押さえられていた両腕が解放されたアレグリアは両の手でゴブレットを掲げて微笑み……何かを呟いて毒杯を呷った。
その声が届いたのは王家や、高位貴族。
そして子息令嬢が『真実の愛』で結ばれた王太子と新たな婚約者のために働いた功績を賜ったばかりの当主数名だ。
この忌まわしい処刑が……その祝宴の締めくくり。
亡骸にワインをかけ、唾を吐いて口々に侮辱しながら足蹴にする。
その行為を許されて誇らしげだった表情は今、ドス黒く恐怖で強張っていた。
誰も…………動こうとはしない。
否、指一本も動かせなかった。
アレグリアは苦しさをまるで耐えるかのように蹲って背中を丸めたまま……静かに事切れていた。
417
あなたにおすすめの小説
因果応報以上の罰を
下菊みこと
ファンタジー
ざまぁというか行き過ぎた報復があります、ご注意下さい。
どこを取っても救いのない話。
ご都合主義の…バッドエンド?ビターエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
え……全て私のせいですか?
#Daki-Makura
ファンタジー
ある国の王太子は、婚約者へ婚約破棄を叩きつけた。それが幸せなどない未来へ続いているとは知らずに。
※AI校正を使用させていただいています。
※ゆるい設定です。ゆるく読んでください。
※誤字脱字失礼
裏切者には神罰を
夜桜
恋愛
幸せな生活は途端に終わりを告げた。
辺境伯令嬢フィリス・クラインは毒殺、暗殺、撲殺、絞殺、刺殺――あらゆる方法で婚約者の伯爵ハンスから命を狙われた。
けれど、フィリスは全てをある能力で神回避していた。
あまりの殺意に復讐を決め、ハンスを逆に地獄へ送る。
黒の聖女、白の聖女に復讐したい
夜桜
恋愛
婚約破棄だ。
その言葉を口にした瞬間、婚約者は死ぬ。
黒の聖女・エイトは伯爵と婚約していた。
だが、伯爵は白の聖女として有名なエイトの妹と関係をもっていた。
だから、言ってはならない“あの言葉”を口にした瞬間、伯爵は罰を受けるのだった。
※イラストは登場人物の『アインス』です
【完結】傲慢にも程がある~淑女は愛と誇りを賭けて勘違い夫に復讐する~
Ao
恋愛
由緒ある伯爵家の令嬢エレノアは、愛する夫アルベールと結婚して三年。幸せな日々を送る彼女だったが、ある日、夫に長年の愛人セシルがいることを知ってしまう。
さらに、アルベールは自身が伯爵位を継いだことで傲慢になり、愛人を邸宅に迎え入れ、エレノアの部屋を与える暴挙に出る。
挙句の果てに、エレノアには「お飾り」として伯爵家の実務をこなさせ、愛人のセシルを実質の伯爵夫人として扱おうとする始末。
深い悲しみと激しい屈辱に震えるエレノアだが、淑女としての誇りが彼女を立ち上がらせる。
彼女は社交界での人脈と、持ち前の知略を駆使し、アルベールとセシルを追い詰める貴族らしい復讐を誓うのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる