回復魔法が不要になった最強パーティーから俺は離脱して町の治療師として世界を救う

紡識かなめ

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第18話 王家の病

隣国の陰謀から解放され、ルシエルは再び下町での穏やかな日常を取り戻していた。ナミとエレナと共に、彼は毎日、診療所に訪れる患者たちの治療に励んでいた。

そんなある日、王宮から再び使者が訪れた。しかし、今回の使者の表情は、以前の威圧的なものではなく、深い悲しみと焦燥の色を帯びていた。

「ルシエル様、大変なことが起こりました。どうか、至急王宮までお越しください!」

使者の言葉に、ルシエルは嫌な予感を覚えた。

王宮に到着したルシエルが目にしたのは、憔悴しきった王国の重臣たちの姿だった。そして、国王の寝室へと案内されたルシエルは、そこで、信じられない光景を目の当たりにする。

豪華な寝台には、やつれた国王が横たわっていた。その傍らには、同じように顔色の悪い王妃と、まだ幼い王女が眠っている。三人は皆、高熱にうなされ、苦しそうな呼吸を繰り返していた。

「ルシエル殿、どうかお助けください!三人が同時に、このような奇妙な病に…」

重臣の一人が、悲痛な声でルシエルに懇願した。

ルシエルは、すぐに三人の状態を一人ずつ丁寧に診察した。しかし、その症状は、以前街で流行した病とは明らかに異質だった。熱はあるものの、吐き気や下痢といった症状は見られない。それよりも、三人の体からは、微かにだが、禍々しい黒い魔力が漂っているのを感じた。

「これは…病ではありません。複雑な呪いです」

ルシエルは、断言した。その言葉に、周囲の重臣たちは息を呑んだ。

「呪い…とは、一体…?」

国王の側近が、震える声で問いかけた。

「はい。強力な悪意を持った者が、王家の方々にかけた呪いです。通常の回復魔法では、完全に打ち消すことは難しいでしょう」

ルシエルは、そう告げると、まずは国王の治療を試みた。彼の指先から、温かい光が溢れ出し、国王の体を優しく包み込む。しかし、その光が呪いの黒い魔力に触れた瞬間、まるで水が染み込むように、すぐに吸収されてしまう。

ルシエルは、さらに強力な回復魔法を試みたが、結果は同じだった。呪いは、まるで生きているかのように、常に回復の力を上書きしているのだ。

「やはり…容易には解けない呪いです」

ルシエルは、額に汗を滲ませながら呟いた。これほど強力で、巧妙に仕組まれた呪いは、彼も初めてだった。

王妃と王女の状態も、国王と全く同じだった。ルシエルが回復魔法を施しても、その効果は一時的なものに過ぎず、すぐに呪いの力が勝ってしまう。

王宮には、これまでにも多くの高名な魔法使いや聖職者が呼ばれ、治療を試みたという。しかし、誰もこの呪いを解くことができずに、途方に暮れていた。

「ルシエル殿、何か手立てはないのでしょうか?このままでは、陛下たちが…!」

重臣たちの焦りは、限界に達していた。

ルシエルは、寝台に横たわる三人の姿を注意深く源を突き止め、それを断ち切る必要がある。

しかし、その手がかりは、まだ何も見つかっていない。

王国の命運を左右するかもしれない、王家の危機。ルシエルは、かつてないほどの重圧を感じながら、この難題に立ち向かうことを決意した。彼の知識と経験、そして、何よりも強い意志が、この強力な呪いに立ち向かうための唯一の希望だった。
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