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傷みはあの日に色をつけた
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三十年くらい昔の話だ。
中学生だった僕には片思いの女の子がいた。僕たちは同じ道場に通う少年剣士というやつだった。ちなみに今はどうかは知らないが、当時は「少年剣士」はあっても「少女剣士」という呼び名はなかったと思う。
僕とその子――仮にアスカと呼ぶことにする――は、実は同じクラスだった。それどころか、小学校三年生から中学校三年生のその時に至るまで、僕たちはずっと同級生だった。だけど僕らは道場以外ではほとんど会話をしなかった。同じ体育委員になった時ですら、必要最低限の会話しかしなかった。
アスカは僕とは違ってとても練習熱心だった。僕たちは中学二年で初段をとったが、アスカは道場でも、剣道部の活動の中でも、間違いなく最強だった。どういうわけか全市大会で優勝したにも関わらず、全道大会を辞退したりもしていたが。
中学三年の半ばで、僕らは部活動を終えた。塾の高校入試対策が本格的になり、道場とも次第に疎遠になっていく。必然、僕はアスカと話す機会をどんどんと失っていった。
その時になって、僕はようやく、今まで自分は何をしていたんだと思った。英語の問題集を解いていたのに、僕は何度も集中力を途切れさせてしまった。
僕はアスカのことが好きだったのだと、愚かにも僕はその時ようやく気が付いた。これはさながら天啓のようなものだったと今の僕は思う。
ああ、そうそう。当時は今とは違って、スマートフォンはおろか、携帯電話もなかった。ポケベルでさえなかったし、もしあったとしても僕たち中学生が持てる代物ではなかった。思い立ったらすぐ連絡――なんてことはできなかった。電話をしても、使うのはいわゆる家電だ。本人が出てくれることを祈りながら掛ける……そんな勇気は僕にはなかった。きっとアスカのお母さんが出るだろうし、だとしたらなんていうか気恥ずかしいじゃないか。
そんなわけで、僕がアスカと連絡を取れる可能性があるのは、明日の道場だった。しばらく顔を出していなかったが「勉強の気分転換」といえば道理は通るはずだと、当時の僕は考えた。それになにより、あの練習熱心なアスカが道場をサボるとは考えにくかった。もし土曜日を逃したら、次に会えるのは月曜日なんてことになる。それまで僕はこの浮ついた気持ちのまま過ごすハメになる。それは避けたかった。
その夜、僕は寝付けなかった。
というか、そもそもアスカに会ってどうするっていうんだろう。道場なんて耳目の多い場所で、僕たちは何か特別な会話をするのか? そもそもアスカはそんなことを望んでいないんじゃないか。アスカにとっては、練習が一番だ。練習していないときは勉強している。僕のこの一方通行になり得る気持ちは、アスカには騒音になってしまうかもしれない。
僕はアスカのことを尊敬している。当時の僕には「好き」という語彙しかなかったが、今となってはそれは尊敬とか憧憬に近い感情だったのかもしれない。
文武両道、容姿端麗、公明正大。僕にとってはアスカは完璧な人間だった。口数は少なく、誰かとつるんでいることもないが、やるべきことはやるし、言うべきことは言う人だった。
そして土曜日の午後。久しぶりに竹刀と防具をかついで、秋風の中道場に向かった僕は、颯爽と自転車に乗ってきたアスカと玄関近くで鉢合わせた。
「アスカ」
「こんにちは」
アスカは僕に小さく頭を下げた。僕もつられて頭を下げる。アスカはとても礼儀正しい。それは僕に対しても、彼女の友人たちに対しても同様だ。食事のときは必ず手を合わせて「いただきます」と言うことも僕は知っていた。
「あのさ――」
「練習始まっちゃうよ」
僕の言葉は、練習開始時間の壁に阻まれようとしていた。僕は幼馴染の特権を活かして――その特権を初めて使ったが――アスカと並んで靴を脱ぎながら言った。
「アスカ、ちょっといい?」
「なに、白鳥くん」
その時のアスカの表情はいまいち思い出せない。さっぱりとしたショートカットと、くっきりした目。今の僕は情けないことにそんな漠然とした姿しか思い出せないんんだけど、とにかくアスカは僕にとっては世界一美しい人だった。
「アスカはこれからも剣道続けるの?」
「ううん。高校ではやらないよ」
「えっ?」
「高校入ったら色々やりたいこともあるし」
「色々?」
「友達作りたいんだ」
その言葉に、僕は驚いた。
「剣道と勉強頑張ってたら、友達作る余裕なんてなくて。私、不器用だから」
「あの、俺さ」
「白鳥くんは幼馴染ポジだからね。ちょっと特別」
アスカがここまで喋るのは少し意外だった。一年分くらいは言葉を交わしたかもしれない。
「私さ」
「う、うん」
「来月転校するんだよね」
「え……!?」
僕は僕の言葉を見失った。
「お父さんの仕事でね。イギリス」
「い、いぎりす!?」
途方もない話に、僕の目は回る。
「ごめんね」
「ごめんって……」
「白鳥くんさ」
アスカは僕の肩に触れた。身長差は実はほとんどなかった。
「私のこと、好きでしょ」
「な、う、えっと」
「道場で出会ってもう十年だよ。そのくらいわかるって」
アスカは笑った。
「今日、最後なんだ、道場。だからここで会えてよかった。学校でも会えるけどね、まだ」
「そんなの……」
あんまりじゃないか。
僕は首を振った。頭が痛くなるくらい奥歯を噛み締めていた。
「今日、私と試合して、白鳥くんが勝ったら。私、泣きながらお父さんに駄々こねてみようと思うよ」
「そんなの」
「無駄かもしれない。たぶん、無駄だと思う。でも、だからって何もしなかったら、きっと私は後悔するし、白鳥くんだって悔しいと思う。違う?」
「でも……」
「さ、試合試合。やることやってから考えよ」
アスカは僕の背中を叩きながら、「急いで着替えなきゃ」と道場へと入っていった。
師範に頼んで僕とアスカは試合をした。二本先取で勝ちといういつもの試合だ。
最初の一本は開始五秒で取られた。アスカの得意とする速攻だ。こちらが腕を動かす前に面を打たれた。毎度のことながら、何が起きたのかわからない一撃だ。
次の一本は奇跡的に僕が取った。アスカが面を狙ってきたところを死物狂いで小手を打った。アスカの手が振り上がり切る前に、僕の一撃が決まっていた。我ながら神速だった。こんな一撃は出したことがなくて、僕が誰よりも驚いたに違いない。
三本目はなかなか決着がつかなかった。延長二回目で、お互いにスタミナが尽きてくる。延長三回目ともなると、運動不足だった僕は竹刀を持ち上げるのも億劫になってくる。足取りも重い。アスカにはまだ余力はあるようだったが、防御に全力を注いでいる僕を打ち崩すには至らない。
アスカの打ち込みを僕は竹刀を叩きつけるようにして防ぐ。その時、僕は頬に鋭い痛みを覚えて右手を上げた。いわゆる「タイム」だ。
「どうしたの?」
アスカが心配そうに僕を追ってくる。僕は場外に出て面を外して、アスカに「ここ、なんかなってない?」と訊いた。
「うわ」
アスカが声を上げて、師範を振り返る。師範は落ち着いた声で「うむ」と頷いた。
「ささくれが刺さってるな」
「げぇ……」
僕はげんなりする。ささくれというのは、竹刀の破片のようなものだ。今と違ってカーボン素材ではなかった竹刀は本当に竹で出来ていた。ということはつまり、衝撃によって繊維の方向に裂けるのだ。それが細かい針のようになって飛んでくることが稀にある。
「でも目に刺さらなくてよかった」
僕はアスカにそう強がった。アスカは「ほんとだね」と頷いた。その間に、師範がピンセットで慎重にささくれを抜き、消毒してくれた。
アスカは僕の肩に手を置いて、かすれた声で言った。
「試合は引き分けだね」
「悔しいな」
僕の言葉に、アスカは笑った。
―――――
結果としてアスカはイギリスに行ってしまった。泣いて駄々をこねてくれたのかどうかは、結局のところ、今でもわからない。
そんな僕は、今、ロンドンに住んでいる。
目の下の怪我なんて三日も経つ頃には跡形もなく消えてしまったけど――。でも、あの時のささくれには僕は感謝している。そのおかげで、あの日は僕たちにとって忘れられない日になったからだ。
中学生だった僕には片思いの女の子がいた。僕たちは同じ道場に通う少年剣士というやつだった。ちなみに今はどうかは知らないが、当時は「少年剣士」はあっても「少女剣士」という呼び名はなかったと思う。
僕とその子――仮にアスカと呼ぶことにする――は、実は同じクラスだった。それどころか、小学校三年生から中学校三年生のその時に至るまで、僕たちはずっと同級生だった。だけど僕らは道場以外ではほとんど会話をしなかった。同じ体育委員になった時ですら、必要最低限の会話しかしなかった。
アスカは僕とは違ってとても練習熱心だった。僕たちは中学二年で初段をとったが、アスカは道場でも、剣道部の活動の中でも、間違いなく最強だった。どういうわけか全市大会で優勝したにも関わらず、全道大会を辞退したりもしていたが。
中学三年の半ばで、僕らは部活動を終えた。塾の高校入試対策が本格的になり、道場とも次第に疎遠になっていく。必然、僕はアスカと話す機会をどんどんと失っていった。
その時になって、僕はようやく、今まで自分は何をしていたんだと思った。英語の問題集を解いていたのに、僕は何度も集中力を途切れさせてしまった。
僕はアスカのことが好きだったのだと、愚かにも僕はその時ようやく気が付いた。これはさながら天啓のようなものだったと今の僕は思う。
ああ、そうそう。当時は今とは違って、スマートフォンはおろか、携帯電話もなかった。ポケベルでさえなかったし、もしあったとしても僕たち中学生が持てる代物ではなかった。思い立ったらすぐ連絡――なんてことはできなかった。電話をしても、使うのはいわゆる家電だ。本人が出てくれることを祈りながら掛ける……そんな勇気は僕にはなかった。きっとアスカのお母さんが出るだろうし、だとしたらなんていうか気恥ずかしいじゃないか。
そんなわけで、僕がアスカと連絡を取れる可能性があるのは、明日の道場だった。しばらく顔を出していなかったが「勉強の気分転換」といえば道理は通るはずだと、当時の僕は考えた。それになにより、あの練習熱心なアスカが道場をサボるとは考えにくかった。もし土曜日を逃したら、次に会えるのは月曜日なんてことになる。それまで僕はこの浮ついた気持ちのまま過ごすハメになる。それは避けたかった。
その夜、僕は寝付けなかった。
というか、そもそもアスカに会ってどうするっていうんだろう。道場なんて耳目の多い場所で、僕たちは何か特別な会話をするのか? そもそもアスカはそんなことを望んでいないんじゃないか。アスカにとっては、練習が一番だ。練習していないときは勉強している。僕のこの一方通行になり得る気持ちは、アスカには騒音になってしまうかもしれない。
僕はアスカのことを尊敬している。当時の僕には「好き」という語彙しかなかったが、今となってはそれは尊敬とか憧憬に近い感情だったのかもしれない。
文武両道、容姿端麗、公明正大。僕にとってはアスカは完璧な人間だった。口数は少なく、誰かとつるんでいることもないが、やるべきことはやるし、言うべきことは言う人だった。
そして土曜日の午後。久しぶりに竹刀と防具をかついで、秋風の中道場に向かった僕は、颯爽と自転車に乗ってきたアスカと玄関近くで鉢合わせた。
「アスカ」
「こんにちは」
アスカは僕に小さく頭を下げた。僕もつられて頭を下げる。アスカはとても礼儀正しい。それは僕に対しても、彼女の友人たちに対しても同様だ。食事のときは必ず手を合わせて「いただきます」と言うことも僕は知っていた。
「あのさ――」
「練習始まっちゃうよ」
僕の言葉は、練習開始時間の壁に阻まれようとしていた。僕は幼馴染の特権を活かして――その特権を初めて使ったが――アスカと並んで靴を脱ぎながら言った。
「アスカ、ちょっといい?」
「なに、白鳥くん」
その時のアスカの表情はいまいち思い出せない。さっぱりとしたショートカットと、くっきりした目。今の僕は情けないことにそんな漠然とした姿しか思い出せないんんだけど、とにかくアスカは僕にとっては世界一美しい人だった。
「アスカはこれからも剣道続けるの?」
「ううん。高校ではやらないよ」
「えっ?」
「高校入ったら色々やりたいこともあるし」
「色々?」
「友達作りたいんだ」
その言葉に、僕は驚いた。
「剣道と勉強頑張ってたら、友達作る余裕なんてなくて。私、不器用だから」
「あの、俺さ」
「白鳥くんは幼馴染ポジだからね。ちょっと特別」
アスカがここまで喋るのは少し意外だった。一年分くらいは言葉を交わしたかもしれない。
「私さ」
「う、うん」
「来月転校するんだよね」
「え……!?」
僕は僕の言葉を見失った。
「お父さんの仕事でね。イギリス」
「い、いぎりす!?」
途方もない話に、僕の目は回る。
「ごめんね」
「ごめんって……」
「白鳥くんさ」
アスカは僕の肩に触れた。身長差は実はほとんどなかった。
「私のこと、好きでしょ」
「な、う、えっと」
「道場で出会ってもう十年だよ。そのくらいわかるって」
アスカは笑った。
「今日、最後なんだ、道場。だからここで会えてよかった。学校でも会えるけどね、まだ」
「そんなの……」
あんまりじゃないか。
僕は首を振った。頭が痛くなるくらい奥歯を噛み締めていた。
「今日、私と試合して、白鳥くんが勝ったら。私、泣きながらお父さんに駄々こねてみようと思うよ」
「そんなの」
「無駄かもしれない。たぶん、無駄だと思う。でも、だからって何もしなかったら、きっと私は後悔するし、白鳥くんだって悔しいと思う。違う?」
「でも……」
「さ、試合試合。やることやってから考えよ」
アスカは僕の背中を叩きながら、「急いで着替えなきゃ」と道場へと入っていった。
師範に頼んで僕とアスカは試合をした。二本先取で勝ちといういつもの試合だ。
最初の一本は開始五秒で取られた。アスカの得意とする速攻だ。こちらが腕を動かす前に面を打たれた。毎度のことながら、何が起きたのかわからない一撃だ。
次の一本は奇跡的に僕が取った。アスカが面を狙ってきたところを死物狂いで小手を打った。アスカの手が振り上がり切る前に、僕の一撃が決まっていた。我ながら神速だった。こんな一撃は出したことがなくて、僕が誰よりも驚いたに違いない。
三本目はなかなか決着がつかなかった。延長二回目で、お互いにスタミナが尽きてくる。延長三回目ともなると、運動不足だった僕は竹刀を持ち上げるのも億劫になってくる。足取りも重い。アスカにはまだ余力はあるようだったが、防御に全力を注いでいる僕を打ち崩すには至らない。
アスカの打ち込みを僕は竹刀を叩きつけるようにして防ぐ。その時、僕は頬に鋭い痛みを覚えて右手を上げた。いわゆる「タイム」だ。
「どうしたの?」
アスカが心配そうに僕を追ってくる。僕は場外に出て面を外して、アスカに「ここ、なんかなってない?」と訊いた。
「うわ」
アスカが声を上げて、師範を振り返る。師範は落ち着いた声で「うむ」と頷いた。
「ささくれが刺さってるな」
「げぇ……」
僕はげんなりする。ささくれというのは、竹刀の破片のようなものだ。今と違ってカーボン素材ではなかった竹刀は本当に竹で出来ていた。ということはつまり、衝撃によって繊維の方向に裂けるのだ。それが細かい針のようになって飛んでくることが稀にある。
「でも目に刺さらなくてよかった」
僕はアスカにそう強がった。アスカは「ほんとだね」と頷いた。その間に、師範がピンセットで慎重にささくれを抜き、消毒してくれた。
アスカは僕の肩に手を置いて、かすれた声で言った。
「試合は引き分けだね」
「悔しいな」
僕の言葉に、アスカは笑った。
―――――
結果としてアスカはイギリスに行ってしまった。泣いて駄々をこねてくれたのかどうかは、結局のところ、今でもわからない。
そんな僕は、今、ロンドンに住んでいる。
目の下の怪我なんて三日も経つ頃には跡形もなく消えてしまったけど――。でも、あの時のささくれには僕は感謝している。そのおかげで、あの日は僕たちにとって忘れられない日になったからだ。
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