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第一話 人間から恋の神に
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ある町の美術館にて、「人魚姫」という作品の展示会が盛大に開催されていた。本日は、それを鑑賞しに行く日だ。
今年高校生に進級したばかりの主人公、天聖真理(てんせいまこと)は、幼い頃から「人魚姫」の世界に強い憧れを抱いていた。しかし、小学校の頃、友達には「男の子が女の子向けの人魚姫の絵本を読むなんて恥ずかしいよ」とバカにされたことがあった。しかし真理にとって、そんなことはまったく問題ではなかった。人はそれぞれ個性や興味を持っていて、女の子でも男の子向けのサッカーが好きな人もいれば、逆に男の子でも女の子向けのスイーツが好きな人もいるのだから。
そんな考えをしながら、美術館に到着した真理は中に入り、目に飛び込んできたのは「人魚姫」の名作が展示された一品だ。デンマークで有名な人魚姫の像や他の作家によって生み出された人魚姫のアートなど、およそ人魚に関連する作品が所狭しと展示されていたのである。真理は心躍りながら、その作品たちをじっくりと楽しんだ。
鑑賞を終え、美術館を出ようとする途中、突如として真理の胃からゴォゴォと音が鳴り響いた。お腹が空いていることに仕方がなく、真理は周辺を探索し始めた。
「あぁ、お腹が空いてきたな。近くにレストランやカフェがあるかな?」
「?」
真理がレストランを探していると、なんと道路を飛び出した女の子が目の前に現れる。その直後、車が激速でその女の子に向かって突っ込んできた。
「あっ!危ない!」
真理は一瞬で反射的に駆け出し、女の子を守るために歩道に押しやった。しかし、その激しい衝撃で真理の頭と身体が激突し、道路には大量の血が広がっていった。
「あっ、あぁ...」
「お兄ちゃん、大丈夫!」
「おい!誰か救急車を呼んでくれ!」
意識が遠のいていく中、真理は心の奥で思った。
(あの女の子、助かって本当に良かった...)
これが、天聖真理としての人生の終焉だったのである。
「..........」
「あの娘を助けた人間よ、目覚めるが良い」
突如として、闇から響く男の声が聞こえた。真理は目を開けると、まるで夢か幻想のような場所が広がっていた。ギリシャのような柱が立ち並ぶ神秘的な空間で、まるで天国の世界だ。
「あれ?」
「ここは天国なのか?」
「俺は死んだのか?」
「おー目覚めたか。」
目の前に立つのは、20代の金髪でイケメンな青年だ。引き締まった体に褐色の肌、神々しさを感じさせる古代ギリシャの服に身を包んでいる。
「あの、あなたは?」
「おー俺のことか?」
「俺の名はゼウス」
「このオリュンポスを支配する最高神だ。」
「オリュンポス?」
「じゃあ、ここは天国ってこと?」
「んー、厳密に言えば、ここは神々の国」
「まあ、人間も死後には、楽園(エリュシオン)に行くんだがな」
「まあ、ともかくお前は、あの人間の娘を助けた大義により」
「魂となったお前を復活させる」
「お前をオリュンポスの神々の仲間にする」
「え...?」
真理は驚きを隠せなかった。なぜ自分が神々の仲間になるのか、疑問に思ってしまった。
「あの、僕は何も大したことなんてしていないんですけど...」
「何を言う、お前のような人間が自分の命を犠牲にして、あの娘を助けたんだぞ。それが十分だ」
「はっはい...」
ゼウスとの会話の間に、彼は真理に手を差し伸べてきた。
「では改めて、天聖 真理よ」
「ゼウスの名において、お前をオリュンポスの神々の一員とする」
その言葉と共に、眩い光が手から放たれ、真理を包み込んだ。
そして、光が収まると、真理の姿が変わっていた。
「さあ、この鏡を見るが良い」
そう言いながら、ゼウスは真理の前に鏡を見せた。真理はその鏡に映った自分の姿を見た。
ピンクの短髪と黄金の月桂冠の頭飾り、穏やかな青い目を持つ姿。イケメンで健康的な体躯に、褐色の肌を露出するギリシャ風の服装。更には背中には純白の翼が生えていた。まるで神々しい存在となったことを自覚したのである。
「これからは俺の息子として、エロスと呼ばれる」
「息子?」
「そうだ、お前は俺の息子になるのだ」
「今日からお前は、人間の恋愛を促進する仕事を任される」
ゼウスはエロスに黄金の弓矢を手渡した。
「さあ、これでお前も我々神々の仲間入りだ」
言葉を残し、ゼウスはエロスを抱きしめた。
「あ、あのゼウスさん」
「だからゼウスじゃなくて、父さんって呼べよ」
「あ、はい、お父さん」
そう言うと、エロスはにっこりと笑った。
「親父、何してるの?」
その時、背後から男の声がした。
「おーヘルメス」
「紹介しよう」
「これが俺の息子、エロスだ」
「あ、あのよろしくお願いします...」
ヘルメスはエロスをじっと見つめ、納得したように頷いた。
「なるほど、俺の弟なんだ」
「ということで、これからもよろしくな、エロス♥」
「は、はい...」
こうして、天聖 真理はエロスとなり、神々としての新たな生活が始まったのである。
今年高校生に進級したばかりの主人公、天聖真理(てんせいまこと)は、幼い頃から「人魚姫」の世界に強い憧れを抱いていた。しかし、小学校の頃、友達には「男の子が女の子向けの人魚姫の絵本を読むなんて恥ずかしいよ」とバカにされたことがあった。しかし真理にとって、そんなことはまったく問題ではなかった。人はそれぞれ個性や興味を持っていて、女の子でも男の子向けのサッカーが好きな人もいれば、逆に男の子でも女の子向けのスイーツが好きな人もいるのだから。
そんな考えをしながら、美術館に到着した真理は中に入り、目に飛び込んできたのは「人魚姫」の名作が展示された一品だ。デンマークで有名な人魚姫の像や他の作家によって生み出された人魚姫のアートなど、およそ人魚に関連する作品が所狭しと展示されていたのである。真理は心躍りながら、その作品たちをじっくりと楽しんだ。
鑑賞を終え、美術館を出ようとする途中、突如として真理の胃からゴォゴォと音が鳴り響いた。お腹が空いていることに仕方がなく、真理は周辺を探索し始めた。
「あぁ、お腹が空いてきたな。近くにレストランやカフェがあるかな?」
「?」
真理がレストランを探していると、なんと道路を飛び出した女の子が目の前に現れる。その直後、車が激速でその女の子に向かって突っ込んできた。
「あっ!危ない!」
真理は一瞬で反射的に駆け出し、女の子を守るために歩道に押しやった。しかし、その激しい衝撃で真理の頭と身体が激突し、道路には大量の血が広がっていった。
「あっ、あぁ...」
「お兄ちゃん、大丈夫!」
「おい!誰か救急車を呼んでくれ!」
意識が遠のいていく中、真理は心の奥で思った。
(あの女の子、助かって本当に良かった...)
これが、天聖真理としての人生の終焉だったのである。
「..........」
「あの娘を助けた人間よ、目覚めるが良い」
突如として、闇から響く男の声が聞こえた。真理は目を開けると、まるで夢か幻想のような場所が広がっていた。ギリシャのような柱が立ち並ぶ神秘的な空間で、まるで天国の世界だ。
「あれ?」
「ここは天国なのか?」
「俺は死んだのか?」
「おー目覚めたか。」
目の前に立つのは、20代の金髪でイケメンな青年だ。引き締まった体に褐色の肌、神々しさを感じさせる古代ギリシャの服に身を包んでいる。
「あの、あなたは?」
「おー俺のことか?」
「俺の名はゼウス」
「このオリュンポスを支配する最高神だ。」
「オリュンポス?」
「じゃあ、ここは天国ってこと?」
「んー、厳密に言えば、ここは神々の国」
「まあ、人間も死後には、楽園(エリュシオン)に行くんだがな」
「まあ、ともかくお前は、あの人間の娘を助けた大義により」
「魂となったお前を復活させる」
「お前をオリュンポスの神々の仲間にする」
「え...?」
真理は驚きを隠せなかった。なぜ自分が神々の仲間になるのか、疑問に思ってしまった。
「あの、僕は何も大したことなんてしていないんですけど...」
「何を言う、お前のような人間が自分の命を犠牲にして、あの娘を助けたんだぞ。それが十分だ」
「はっはい...」
ゼウスとの会話の間に、彼は真理に手を差し伸べてきた。
「では改めて、天聖 真理よ」
「ゼウスの名において、お前をオリュンポスの神々の一員とする」
その言葉と共に、眩い光が手から放たれ、真理を包み込んだ。
そして、光が収まると、真理の姿が変わっていた。
「さあ、この鏡を見るが良い」
そう言いながら、ゼウスは真理の前に鏡を見せた。真理はその鏡に映った自分の姿を見た。
ピンクの短髪と黄金の月桂冠の頭飾り、穏やかな青い目を持つ姿。イケメンで健康的な体躯に、褐色の肌を露出するギリシャ風の服装。更には背中には純白の翼が生えていた。まるで神々しい存在となったことを自覚したのである。
「これからは俺の息子として、エロスと呼ばれる」
「息子?」
「そうだ、お前は俺の息子になるのだ」
「今日からお前は、人間の恋愛を促進する仕事を任される」
ゼウスはエロスに黄金の弓矢を手渡した。
「さあ、これでお前も我々神々の仲間入りだ」
言葉を残し、ゼウスはエロスを抱きしめた。
「あ、あのゼウスさん」
「だからゼウスじゃなくて、父さんって呼べよ」
「あ、はい、お父さん」
そう言うと、エロスはにっこりと笑った。
「親父、何してるの?」
その時、背後から男の声がした。
「おーヘルメス」
「紹介しよう」
「これが俺の息子、エロスだ」
「あ、あのよろしくお願いします...」
ヘルメスはエロスをじっと見つめ、納得したように頷いた。
「なるほど、俺の弟なんだ」
「ということで、これからもよろしくな、エロス♥」
「は、はい...」
こうして、天聖 真理はエロスとなり、神々としての新たな生活が始まったのである。
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