Finale Love

卯月 桜🍒

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♪強固たる徹透♪

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「私こそ、よろしくお願いします」

そんな矢先、弥生のスマホが鳴った。
弥生は少し慌てるように誰もいない寝室へと向かった。
弥生の行動を見てた遥樹は何も言わずに見ていた。

「はい。もしもし?」
「弥生。元気にしてるか?」
「お兄ちゃん」
「おっかさんの命日だけど、くるの?」
「お姉ちゃんは、くるって言ってた?」
「ねえは、旦那さんとくるよ」
「そうー・・・」
「オマエ、今、何処にいるんだよ?」
「福岡にいる」
「はぁ?! また、なんで福岡におるの?!」
「まぁー・・・いろいろとあって・・・」
「ふんー・・・。生活出来てるの?」
「うん」
「なら、いいけど。ねえは知ってるの?」
「ねえには言ってない」
「ふんー・・・。オマエももうー大人だから口うるさくは言わないけど、たまには顔見せにこいよ」
「うん・・・」
「まぁーそうゆうことだから、電話切るよ」
「あっ、お兄ちゃん」
「ん?」
「今、付き合ってる人がいる」
「結婚するのか?」
「まだ、そこまではいってないけど、同棲はしてる」
「むこうの両親には会ったのか?」
「いちよね」
「そうかー・・・。同棲もいいけど、早く結婚しろよ。36歳なんだから」
「うんー・・・。わかってる」
「まぁーそうゆうことだから、命日にくるだったら、早めに電話してこいよ」
「わかった」

お母さんの命日かー・・・。
もうーそんな時期かー・・・。
早いなー・・・。
福岡にきてから1回も実家に帰ってない。
1度は帰らなきゃいけない。
遥のこと、話さなきゃいけない。
話したらどうなるんだろう?
お兄ちゃんには話せても、ねえには話しにくい。
きっと、ねえに話したら言われることはわかる。
その前に、お兄ちゃんと、ねえに遥を会わせていいものなのか・・・?
今の遥じゃ会わせてもムリかも。
先が思いやれるけど、遥と付き合っていけばこうなることはわかっていた。
今回は私1人で帰ったほうがいいかも。

戻ってことない弥生を気にした遥樹は寝室へと行った。

「弥生どうした?」
「あー・・・。遥」
「さっきの電話、誰?」
「お兄ちゃんから」
「そうー・・・」
「うん・・・。そんなことより、みんなのところに戻ろう」
「うん」

弥生と遥樹はメンバーがいるリビングへと戻った。
メンバーのあべっちはニヤつきながら遥樹を見ていた。

「何? あベっち、ニヤついてんだよ?!」
「いや・・・別に・・・」
「そのニヤつきやめろよ?」
「哲やん。俺、ニヤついてた?」
「俺にフルわけ???」
「えっ・・・???」
「腹減らない?」
「そっすよね? 聖さん。俺も減りましたよ」
「何か作りますか?」
「弥生ちゃん作ってくれると?」
「簡単な物なら作れますよ。聖さん」
「じゃー作ってもらえるかな?」
「いいですよ。みなさんも食べますか?」
「弥生ちゃんの手作り食べてみたい」
「いいですよ。あべっちさん」
「じゃ俺もいっすか?」
「いいですよ。慧さん」
「ラッキ」
「哲也さんもよかったらみなさんと一緒に食べます?」
「じゃ行為に甘えていただきます」
「遥もみんなと一緒に食べるよね?」
「うん」

弥生はキチッチンに入り手料理を振舞った。
メンバーは美味しそうに食べ遥樹宅をあとにした。
弥生は後片付けを終えリビングのソファーで一息ついていた。

「なー弥生」
「ん?」
「昼間の電話のことなんやけどー・・・」
「うん」
「お兄さん、なんだって?」
「もうーすぐお母さんの命日だから、たまには帰ってこいよって電話」
「そうーなんだー・・・」
「うん」
「お母さんの命日って、いつ?」
「6月28日」
「そっかー・・・」
「私、1人で帰るからいいよ。遥もライブがあるでしょう?」
「うんー・・・」
「ムリしなくていいから」
「うんー・・・」
「明日も忙しい思うからお風呂に入って寝たら?」
「そうーするわー・・・」
「うん」

遥樹はお風呂に入り寝室のベッドで横になっていた。

やっぱ、俺も一緒に行ったほうがいいのか?
1度も弥生の家族に会ったことがない。
弥生のことだから、家族には俺のこと言ってないと思うし。
ヘンに俺が弥生と一緒に行くのもなー・・・。
悩むなー・・・。
普通に考えたら一緒に帰るのが当たり前だよな。
でも、いざ弥生の家族に会うこと考えたらこんなに悩むもんかー?
弥生の家族に会う時なんて、もっと緊張するんだろうな?
こんな俺で大丈夫か?
ヘンに自分が心配になってきた。
俺は弥生と一緒になるつもりだけど・・・。
本当にこんな俺でいいのか?
ヘンに意識してきた。
31歳でミュージシャでインディーズなんて言ったら許されない。
弥生の家族にもまったく挨拶もしてねえーしなー・・・。
そんなんで結婚したいなんて言っても『はい、そうですか』って訳にもいかねーよな。

そんな時に弥生が寝室に入ってきた。

「遥、まだ起きてたの?」
「寝れなくてね・・・」
「そうー・・・」
「やっぱ、俺も一緒に行ったほうがいいかな?」
「遥はライブあるじゃん」
「そーなんだけど・・・」
「何?」
「俺、1度も弥生の家族に会ったこともないし、ましては挨拶もしないやん」
「うんー・・・」
「やっぱ・・・挨拶ぐらいはしなきゃまずくない?」
「たしかにそうーなんだけど・・・」
「何?」
「まだちゃんと、家族に遥のこと、私から話してないから。突然、私と一緒に行っても、兄も姉もどう対処したらいいか、わからないと思う」
「でも、今日の電話でお兄さんには福岡にいることは言ったんでしょう?」
「うんー・・・。今、付き合ってる人と同棲してるってことはね」
「そっかー・・・」
「うん」
「あのさー・・・」
「ん?」
「ほかに、お兄さん、言ってた?」
「『同棲することはいいけど、オマエも36歳なんだから、早く結婚しろよ』ってことは言ってたよ」
「そうーなんだ・・・」
「うん」
「やっぱ、俺も、弥生と一緒に行こうか?」
「遥の気持ちは嬉しいけど、今回は私1人で帰るから。ちゃんと兄と姉には私から話すから」
「そうか・・・」
「それなら遥も安心でしょう?」
「安心は安心だけどな・・・」
「今、遥は目の前にあることをちゃんとやらなきゃ。
じゃなきゃ、メジャーにもなれなし煌也さんに胸張って会うことも出来ないよ。それでもいいの?」
「たしかに・・・そーだけど・・・」
「だったら遥はやらなきゃいけないことが山程あるでしょう? こんな私の実家に一緒に帰る時間があるなら」
「弥生ー・・・」
「遥にはこうあってほしいと、私は思ってるし願ってる」
「何?」
「遥には何があっても、歌い続けてほしい。私はそのためなら、なんだってなれるし、乗り越えられる。私の夢は、遥が歌い続けてくれることだから。それが、私に出来る精一杯の遥への思い」
「弥生ー・・・」
「だから遥は心配しないで、遥のステージを精一杯、謳歌して」
「弥生がそこまで言うなら、わかった」
「ならもうー寝よ」
「うん」

弥生が実家、愛知県に帰る当日の朝を迎えた。
遥樹はライブリハのためスタジオへと向かった。

「おはようございまーす」
「おはよう。遥樹」
「相変わらずスタジオ入り早いっすね。哲也さん」
「弥生ちゃんは?」
「今日、実家の愛知県に帰ってます」
「なんで?」
「母親の命日で・・・」
「そっか」
「はい」
「一緒に行かなくてよかったのか?」
「俺も弥生に言ったんですけど。どうしても1人で帰るって言ったんで・・・」
「そっかー・・・。オマエまだ弥生ちゃんの家族と会ったこと、ねえんだよな?」
「はい・・・」
「弥生ちゃんの家族は遥樹と付き合ってることは知ってんの?」
「いちよ、お兄さんには弥生が言ったみたいっすよ」
「そうかー・・・」
「はい」
「今日のセットリストだけど、こんな感じでいいか?」
「いっすよ」
「頼むから本番でミスルなよ」
「わかってますって」
「本番のステージに立った時、テンション上げてミスリそうな時があるからな」
「はい・・・」
「いちよ、このセットリスで一通りリハやってみるから」
「はい」

残りのメンバーもスタジオ入りしてリハが始まった。
その頃、弥生は実家へと着いていた。

「ただいま」
「やっと顔見せにきやがったな」
「お姉ちゃんは?」
「リビングにる」
「そうー・・・」

弥生はリビングへと入った。
姉の旦那さんが弥生に声をかけた。

「弥生ちゃん。久しぶりだね」
「お久しぶりです」
「お兄さんから聞いたど、今、福岡にいるんだって?」
「あっはい」
「いい人でも出来た?」
「まぁー・・・」
「そうーなんだ・・・」
「はい」
「弥生」
「何? お姉ちゃん」
「ヘンなチャラチャラした男じゃないだろうね?」
「チャラチャラはしてないと思うよ・・・」
「仕事何してる人なの?」
「仕事?!」
「うん」

ここって・・・正直に言うべき?
イヤだけど。

「音楽関係の仕事してる」
「音楽関係?!」
「うん」
「まさか、ミュージシャンとか言わないでしょうね?」
「その・・・まさかなんだけど・・・」
「はぁ?! 売れてないミュージシャとかじゃないよね?」
「福岡の地元じゃ人気があるみたい」
「地元ね・・・。年いくつなの?」
「今年31歳になった」
「31でミュージシャンね。何、考えてんの? そいつ」
「恵美もあんま弥生を攻めるな。久しぶりに弥生が帰ってきたんだからさー。弥生の話しもちゃんと聞いてやれ。オマエは」
「兄が言うこともわかるけどさー・・・」

兄はそれとなく言った。

「31歳のミュージシャンの男はどうなん? 弥生」
「たぶん・・・一緒になることは考えてるんじゃないのかな?」
「そうかー・・・」
「うん」
「兄が許しても、私はその男、許さないからね。普通に考えたら、弥生と一緒に挨拶くるのが普通なんじゃないの?」
「ねえーが言うこともわかるけど、相手だって予定がある。そこはわかってよ」
「お寺さんがくるから、その話しはあとで」

お坊さんがきてお経をあげていた。
福岡のライブハウスでは遥たちがライブをしていた。
弥生の母親の年忌参りが終わりお寺さんは帰った。
姉がそれとなく言った。

「ミュージシャンの男と付き合ってどれぐらいなの?」
「2年目」
「向こうの両親とは会ったの?」
「会ったよ」
「今、その男と一緒に生活してるの?」
「うん」
「まさか、男の実家で生活してる訳じゃないよね?」
「最初のころはそうだった」
「はぁ?! 今は?!」
「マンション買って住んでる」
「誰がお金だしたの? まさか、アンタが出した訳じゃないだら?!」
「向こうの両親がどーしてもってことで、買ったみたいだよ」
「そうー・・・」
「うん」
「とにかく、2人揃って私と兄ちゃんのところに挨拶にきなさい」
「わかった」
「その男は、今、何処で何してるの?」
「地元の福岡でライブしてる」
「ライブ?!」
「うん」
「その男バンド組んでるの?!」
「うん」
「31で今だそんなことやってる?」
「うん」
「その男、ホント、大丈夫?!」
「大丈夫だと思うよ・・・」
「はぁー・・・」

兄は会話に割り込むように言った。

「バンドで何やってるの?」
「Ⅴo」 
「歌うまいだな」
「福岡の地元じゃ人気があるロックバンドでインディーズでプロのバスケットチームの応援ソング手がけたみたいだよ」
「そうーなんか」
「マネージメントは自分たちでやってるみたい」
「これから大変だと思うけど、頑張れよ」
「ありがとう。お兄ちゃん」

ライブを終えた遥樹たちは打ち上げを終え各自の家路へ帰宅した。
遥樹は弥生が少し気になり電話をした。

「はい。もしもし?」
「俺だけど・・・」
「遥。ライブ終わったの?」
「うん」
「お疲れさま」
「そっちはどう?」
「今ちょうど雄のこと話してたよ」
「お兄さんとお姉さんなんて言ってた?」
「さぁー・・・」
「あまり、俺のこと、いいよに、言ってなかったんじゃない?」
「最初はね」
「やっぱそうかー・・・」
「でもちゃんと話したら、とにかく2人で挨拶にきなさいとのことでした」
「マジで?!」
「遥!! 声が大きい。耳がちょっと痛い」
「ごめん。あまりにも嬉しくてさ」

電話をしてる弥生に姉、恵美は声をかけた。

「れいの彼氏?」

弥生はうなづいた。

「ちょっと変わってよ」
「変わるの?!」
「何、弥生?!」
「あっ、遥ごめん」
「何?」
「私の姉がね、遥と話したいみたいなんだけど」
「えっ?!」
「いいかな?」
「今?!」
「うん」
「弥生」
「何? お姉ちゃん」
「彼、名前なんて言うの?」
「遥樹」

遥樹は少し戸惑いながらも言った。

「挨拶ぐらいしか出来ないけど、それでもいいの?」
「いんじゃないかな。私の姉がどーも話してみたいらしー・・・」
「じゃ変わってくれる?」

弥生は自分のスマホを姉、恵美に手渡した。

「突然で申し訳ないねー」
「いえ」
「弥生の姉の恵美です」
「始めまして。遥樹です」
「妹の弥生がいつもお世話になってます」
「いえ。こちらこそ。お世話になってます」
「妹の弥生から遥樹君のお話は聞かせていただきました」
「そうですかー・・・」
「時間がある時に是非2人でこちらに遊びに来てくださいね」
「ありがとうございます」
「じゃ妹の弥生に変わりますね」
「あっはい」

姉の恵美はスマホを弥生に手渡した。
 
「突然ごめんね」
「いいよ。でも、ちょっと緊張したけど」
「だよね。ごめんね」
「でも、弥生のお姉さんに電話だけど挨拶できてよかった。本当は会って挨拶するのが普通なんやけどな」
「うんー・・・」
「今度、行く時は必ず俺も一緒に行くから」
「うん」
「ゆっくりしてこいよ」
「うん。ありがとう」

お姉ちゃんが電話変わるって言った時は、ホント、ドギマギした。
でもこれで、ほんの少しでも遥のこと、わかってもらえたからいい。
これから先、大変なんだろうな。
大丈夫かな?

ちょうど遥樹も同じことを思っていた。

こんな形で弥生のお姉さんと電話で話すとは思わなかった。
いっきに疲れがでた感じ。
こんなんで、大丈夫か?
弥生のお姉さんだけで、ビビリまくってるっちゅうに。
これで、お兄さんときたらどーなるんだ?
正直、考えたくもない。
こんな俺が・・・太刀打ち出来るのか?
弥生があれだけしっかりしてるってことは、お兄さんもお姉さんも相当しっかりしてる人で出来た人ってこと。
きっと・・・こんな俺よりも人間が出来てる人。
弥生の家族に俺・・・かなわないかもしれない。
弱音吐く俺イヤだけど、現実の俺を思いしらせられる。
これを超えないと弥生とは一緒になれない。
弥生と一緒になるってことはこうゆうこと。
とにかく今は、弥生との付き合いを認めてもらわなきゃいけない。
そのために今、俺がやってることを見てもらわなきゃいけない。
こんな俺に出来るかわからないけれど、やらなきゃ前に進まない。

遥樹は気持ちを1つに据え弥生との未来に向き始めた。 
弥生もまた同じように遥樹との未来に気持ちを1つに据えた。
これから先、まだ見えぬ強敵の壁にぶつかることも知らずに。
半年の月日が流れ、弥生と遥樹は順調に2人の未来へと向かっていた。
普段と変わらない日々をすごしていたが、突然、崩れ始めた。
遥樹は毎日の日課のように自分の呟きをしてた。
たまたまほかの人の呟きを見てた時に弥生のことが呟かれてた。

「そう言えば前にT.ZのⅤoの遥樹さん女の人と親しく買い物してた」
「私も前に見かけたことある」
「たしかその子ってさ、人気ボーカリスの煌也と噂があった子だよね?!」
「そうそう」
「でも、遥樹さんの彼女って言う噂もあるみたい」
「マジで? 最低な女」
「遥樹さんも、よくそんな女と付き合ってるよねー」
「ホントそうだよねー」
「でも、遥樹さんって、彼女いないってよく言ってるよ」
「そんなの誤魔化しでしょう?」
「絶対、彼女いても、いないって言うでしょう?」
「まーねー・・・」
「でも、遥樹さんに彼女がいるのなら幻滅しちゃうよねー」
「それはあるかも?」
「だってあれだけファンに高感度あるのに彼女がいるってファンが知ったらかわいそうだよねー」
「たしかにそうだよねー」
「でも遥樹さんってさー案外チャライのかもしれないね」
「あーそれは言える」
「ライブ行った子から聞いた話なんだけど、結講、遥樹さんって、女の子には愛想いらしいよ」
「でも、遥樹さんってそんな感じするよねー」

なんでこんなこと書かれてんだよ?!
何処で見られたんだ?!
こんなの弥生に見せれねえよ?!

そんな時、弥生が声をかけてきた。

「遥ーどうしたの?」
「べっべつに・・・」
「なんか呟きにへんなこと書かれてあった?」
「書かれてないよ」
「そうー・・・」

まさか弥生が・・・?
なわけねえよな。
弥生が呟きするはずねえーし。
この状況どうにかしなきゃまず。
とにかく・・・このことは弥生に伏せなきゃ。

「用事あるから出かけてくるわ」
「いってらっしゃい」

遥樹はノートPCをリビングのテーブルに置きぱっなしなまま出かけてしまった。

弥生がPCを片付けようとした時、ふいに電源を触ってしまい遥樹が見ていた呟きを見てしまった。

遥が見てた、呟き。
何!? これ!?
なんで私と遥のことが呟かれてるの?
煌也さんとのことも呟かれてる。
なんで?! 私のことはいいけど・・・。
遥のことまで悪く呟かなくてもいいのに。
なんでこんなことするの?!
これじゃ・・・遥が傷つく。
なんで人はこんなことするの?
ファンのことを思えばそう思われてもしかたな。
でも・・・遥のことまで言わなくてもいいのに。
この世の中、理不尽なことばっかり。
それが、今の現代社会であり世の中。
誰しも人の不幸は面白がる。
それが当たり前の世の中。
人の同情や愛をお金で汚すことが出来る時代。
人を思うことも人を愛することもお金で汚すことなんて出来ない。 
なんで人はわからない?
何が自分にとって大切か?
何が相手にとって大切か?
こんな世の中・・・悲しい過ぎる・・・。
誰もが多くの傷を胸に抱えながら生きてる。
なんでわかり合おと努力しないんだろう?
たかが噂かもしれない。
その噂で傷ついてる人がいる。
なんで・・・それがわからない?
わからないのが、今の、世の中なのかもしれない。

遥樹は用事をすまして帰宅した。

「遥ー」
「ん?」
「別れよ」

遥樹は何も言えずにいた。

「そのほうがいいと思う」
「何言ってんだよ?」

弥生は顔色1つ変えずにあっさりと言った。

「あきた」
「あきたって・・・どうゆうことだよ?!」
「言葉、そのままの意味!!」

「今更、何、言ってんだよ?! 俺は、弥生との未来のために」
「そうゆう、遥の思いや気持ちが、重いしもうイヤなの!!」
「弥生・・・」
「だから私、このマンション出ていく」

弥生は自分の私物をまとめ家を出て行った。

遥、ごめんね・・・。
こんな形で別れるなんて・・・。
こうしなきゃ、遥の夢を守ることができなかったから。
こんな私を遥は怒るのかな?
遥に怒られてもしかたない。
遥も私と一緒で人の思いを大事に出来る人。
だから遥には歌い続けてほしい。
こんな私だけのために歌うことをやめないでほしい。
私が遥に出来ることは、こんなことぐらい。
私自身のことを考えれば辛いかもしれない。
でも遥の夢が失われることを思えば、私の辛さなんて、ちっぽけ。
私にとって遥が傷つくことは同じように傷つくこと。
『愛』はそれをちゃんと教えてくれる。
その度に2人を強い絆で結んでくれる。
それが2人の『愛』の形。
それに気づけた2人だけがまだ見ぬ未来を共に一緒に歩んでゆける。
遥とはそうなれなかったけど、遥と過ごした時間は大切な時間。
私の思い出の1ページに追加される。

弥生は福岡のビジネスホテルで1泊し翌日の朝、実家がある愛知県へと帰った。
福岡のマンションで1人になった遥樹は抜け殻のようにソファーに座っていた。
遥樹は気持ちを紛らわすため自棄酒を飲んでいた。

あきたって、どうゆうことだよ?
今更になって言うなよ。
結局、俺は、弥生のなんだった?
俺は弥生のためだけに夢を叶えようとしてたのに。
なのに・・・なんでだよ?!
俺の何があきたんだよ?
俺の何に不満があったんだよ?
俺の何に傷ついたんだよ?
今の俺にどうしろって言うんだよ?!
こんな自分が腹立たしいし悔しい。
なのに今の俺は・・・何もやる気が起こらねえー。

遥樹のスマホが何度も鳴り響いてるが出ることはなかった。
電話をかけ続けた哲也は気になり自宅へと向かった。
チャイムがなり遥樹はしかたなく玄関をあけた。

「遥樹、オマエ何やってんだよ?!」
「哲也さん・・」
「酒くせーぞ?!」
「昨日の夜から飲んでるんで・・・」
「今日、オマエ、スタジオ入りって、わかってただろ?」
「すみません・・・」
「みんな、スタジオで待ってんだからさー。それぐらい守れよ。とにかく、シャワー浴びてからスタジオ行くぞ」
「はい・・・」

遥樹はシャワーを浴びて哲也と共にメンバーがいるスタジオへと入った。

「来週は主催ライブだから気合入れて音あわせしてくぞ」

リーダー哲也の一言で気合の入った音あわせが始まった。
遥樹は自分の感情を吐き出すように歌い続けた。
けれど・・・『Answer』だけは歌えなかった。
遥樹の異変に気づいたメンバーは演奏を止めた。

「遥樹?」
「哲也さん。すみませんけど、セットリスからAnswerはずしてくれませんか?」
「遥樹?! 何言ってんだよ?!」
「そっすよ?! 遥樹さん」
「まー君と慧が言うこともわかるけど、遥樹の言い分もきこうや」
「なんで、はずしてほしいん?」

あべっちの問いかけに遥樹は何も言わずにいた。
遥樹は手にしてるマイクをスタンドにさしてスタジオを出て行った。
リーダー哲也は遥樹のあとを追った。

「遥樹!!」

哲也の呼び止める声にも耳をかさず遥樹は歩みを止めなかった。
哲也は強引に遥樹の腕を捕まえた。
遥樹はうつむきながら雫を堪えた。

「遥樹、何があった?」
「別に何もないっす」
「何もねえー訳ねえーだろう?」
「哲也さんには、関係ねえーことっす」
「オマエ、本当にそれでいいと思ってんの?!」
「哲也さんに俺の何がわかるって言うんですか?!」
「何もわかんねえーから、こうやって聞いてんじゃねえか?! なのに、オマエはなんだよ?! そんな自分から逃げて?! なんで、何もかも自分で抱えこもうとすんだよ?!」
「哲也さんー・・・」
「俺だってな、1人の人間。人のために今の自分が何が出来るか必死になって考えてんだよ?! オマエだけが辛いなんて思うな!! 俺だって、ほかのメンバーだっていろんなもの抱えてんだよ!! 俺たち以上にいろんなものを抱えて生きてる人なんてこの世の中沢山いんだよ!! それでも人は生きることや夢を追うことや人を思い愛することを、やめたり、あきらめたりしないんだよ!! それが人の強さなんじゃねえーのか?!」
「哲也さんー・・・」
「オマエ、弥生ちゃん見ててわかんなかったのかよ?! 弥生ちゃんがどれだけオマエのことを思ってたか? そんなことも、オマエは、わかってなかったのかよ?」
「俺はただ・・・自分にも弥生にも甘えてただけ」
「遥樹ー・・・」
「哲也さん。すみませんけど、主催ライブまで俺のこと、そっとしといてくれませんか?」
「遥樹ー・・・」

遥樹は哲也の腕を優しく振り払い1人の自宅へと帰った。
スタジオに帰った哲也はメンバーに遥樹のことを話した。
その時、メンバーの慧がたまたま呟かれていた遥樹と弥生のことを目にした。

「哲也さん?!」
「ん?」
「これ見てください?!」

慧は自分のスマホを哲也に手渡しメンバーみんなで見てた。

「なんだこれ?!」
「これじゃー遥樹も弥生ちゃんも傷つくわ」
「そっすよねー・・・」
「今、弥生ちゃんは?!」
「そーだよ。あべっちの言うとおりだよ。哲やん、遥樹からなんも聞いてないと?」
「なんも聞いてねえ」
「だからアイツ・・・歌えなかったんじゃねえーの?」
「まー君の言うとおりかも?」
「弥生ちゃんと遥樹さんって、別れたんすね?」
「哲やんがマンションに遥樹迎えに行った時って、弥生ちゃん、いたん?」
「いなかった」
「そん時の遥樹の状態って、どんなんやった?」
「自棄酒飲んでた」
「弥生ちゃんとなんかあったか、別れたか」
「たしかに、あべっちの言うとおり。じゃなきゃ遥樹がこうーなることはねえ」
「でもさー・・・」
「なんだよ? まー君」
「このこと、遥樹も弥生ちゃんも知ってたら、弥生ちゃんの行動が見えてこねぇー」
「見えてくるって?」
「だからあべっち。弥生ちゃんの行動だよ」
「弥生ちゃんの行動?」
「うん」
「聖さんが言いたいことってこうゆうことっすよね?」
「わかるなら慧、言え」
「なんで弥生ちゃんが遥樹さんから離れたか? ですよね?」
「そうそう」
「弥生ちゃんが離れた意味を遥樹さんがわかってないってことっすよね?」
「それもある」
「弥生ちゃんが、なんでそんな行動をとったか? どんな意味があるか? ですよね?」
「そう?!」
「そうゆうことねー」
「哲やん。なんかわかったと?」
「まーな・・・。今の遥樹には荒寺領かもしれないけど、それをやらなきゃ、アイツは気づけない。だから弥生ちゃんは、あえて、自分を悪者にしてマンションから出ていった。遥樹の夢を守りたいから」
「じゃ弥生ちゃんは遥樹をキライで出ていったんじゃねえんだ」
「あべっちの言うとおり」
「けど、遥樹本人のバカタレはそれがわかってねえんだよな」
「まー君の言うとおり」
「哲也さん。どーすんですか?」
「そこが悩みどころ。慧ー・・・」
「考えてなかったんすか?! 哲也さん」
「うん」
「なんすかそれ???」
「でも1つ言えることは、ムリにでもアイツに歌わせなきゃいけない。俺たちメンバーで。今まで遥樹は弥生ちゃんだけのために歌ってきた。それは遥樹にとっての甘え。今、遥樹はそれに気づいてる。だから歌うことが出来ない。今の俺たちメンバーが遥樹に出来ることは、遥樹を信じてとことん遥樹と向き合うこと。
それが出来ないのならT.Zは解散になる。俺は遥樹以外のⅤoは考えられない。遥樹だから今までやってこれたと思う」
「哲也さんー・・・」
「でも哲やん」
「なんだよ、あべっち?」
「俺たちが遥樹を支えることが出来るんかな?」
「出来るかなんて、俺にもわかんねえ。でも、俺はそうありたいと思ってる」
「俺もリーダー哲也と一緒やな」
「まー君」
「そっすよね。今、遥樹さんの側にいるのは俺たちなんすよね」
「うちのⅤo遥樹は困ったヤツやなー。それでもって、頑固で融通きかんしな。でも、T.ZのⅤoが出来るのは遥樹しかおらん」
「あべっちの言うとおり。遥樹しかおらん」
「こうーなったら、何がなんでも、アイツに歌わせな気がすまん」
「聖さん、言いますね」
「当たり前やろう!! ガキのワガママはもうーきーとれんからな!! 遥樹だって、それぐらいわかっとるんじゃないと」
「まー君のゆうとり」

翌日の日から各メンバーは遥樹の自宅を訪れた。
遥樹は相変わらず何もしないまま家にいた。
何度もチャイムがなり遥樹はしかたなく出た。

「はい・・・」
「なんだ?! その無精ヒゲ?!」
「まー君・・・」

聖は買い物袋片手に自宅にズカズカと上が勝手にキッチンで料理を始めた。

「メシちゃんと食うとるか? オマエのことだから食うってねえんじゃねえーの? そんな顔してるとファンに幻滅されるぞ。それでもいいのか?」
「俺は・・・」
「オマエの愚痴なんか、聞きたくない。いつまでガキみたいに拗ねてんだよ? 今、オマエがやるべきことは歌うことだろう? そんなことも、わかんねえーのかよ? オマエは? 俺たちはオマエがいねえーと演奏もできねえんだよ?! ライブもできねえーんだよ?! いい加減スタジオに来い!!」
「まー君・・・」
「俺だって、こんなこと言いたかねえーよ!! でもなーT.ZのⅤoはオマエしかいねえーんだよ!! オマエじゃなきゃダメなんだよ!! とにかく・・・今は俺が作ったメシ食えよ!! わかったな!! 俺もうー行くから」

聖は料理を作り遥樹のマンションをあとにした。
翌日の朝もチャイムが鳴り響き遥樹は出た。

「はい」
「遥樹さん、何やってるんすか?」
「慧ー・・・」
「とにかく中に上がらしてくださいよ」

慧は部屋の中へと勝手に入り掃除を始めた。

「遥樹さん、相変わらず散らかってますね。カーテンも閉めっぱなしだし・・・。これじゃ健康に害が及びますよ。それでもいいんすか?」
「慧ー・・・」
「とにかく、脱ぎっぱなしの服、洗濯機に入れて回してきてください。わかりましたか? 俺、リビングの掃除してますから」

遥樹は言われたとおりにしリビングへと戻った。

「遥樹さん」
「ん・・・」
「シンクの中においてある食器、洗い上げしてくださいね。じゃないとカビが入りますよ」
「慧?」
「くだらない遥樹さんの言い分なんて、俺、ききたくないっすから!! 遥樹さんは何があっても歌わなきゃいけなっす!! T.ZのⅤoは遥樹さんなんすよ!! 遥樹さんから歌うこと、とったら、何が残るんですか?! 俺は遥樹さんだったからこそ、一緒にやってきたんすよ!! なのに、今の遥樹さんはなんすか?! 子供みたいにわがまま言って!! そんな遥樹さん、みそこないました。俺そんな遥樹さんについてきたわけじゃないっすから!! 俺が知ってる遥樹さんは、何があっても歌うことを辞めずあきらめず楽しく歌ってる遥樹さんの姿っす!!」

慧はある程度の掃除を済まし遥樹の自宅をあとにした。
またも翌日の朝チャイムが鳴った。

「よっ。遥樹」
「あべっち・・・」
「オマエ、ずーっと家にいるだろう?」
「まあー・・・」
「ちょっと俺に付き合え」
「えっ・・・?」

あべっちは遥樹を自分の車に乗せ海に向かいドライブしてた。

「何処行くと?」
「俺がいきたい場所。なー遥樹」
「ん・・・」
「オマエ、今までなんのために歌ってきたと?」
「それは・・・」
「オマエを待ってるファンは、オマエが知らないところで、オマエが歌ってくれることを信じて待ってんだぞ。それがどうゆう意味か、わかるか? オマエが歌わない限り、俺たちメンバーも待ってるファンも何も出来ない。オマエはもうー1人のアーティストになってんだぞ。オマエのちょっとしたつまずきでファンを悲しませるな。それがアーティストってもんじゃねえーの?」
「あべっち・・・」
「オマエだって、ファンの前、ステージの上で歌ってる自分が好きなんだろう? だったら、歌うことから逃げるな!! それが今、オマエがやるべきことなんじゃねえーの?」
「俺は・・・」
「遥樹の気持ちなんて、ききたかねえよ。俺は絶対に今の遥樹を認めねえーからな!! こんなことでオマエが逃げるなんて、俺、思いたくねえーから!!」
「あべっち・・・」
「今度の主催ライブ、何がなんでも、オマエに歌ってもらうからな!! じゃなきゃ俺はオマエを認めねえーかな!! わかったな?!」

あべっちは海岸沿いを一回りして遥樹を自宅へと送った。
主催ライブ当日、遥樹がいないままメンバーはライブハウスでリハをしていた。
開演まじかになっても遥樹の姿はなく本番を迎えた。
ステージ上に遥樹の姿がなく客席やファンはざわめいた。
自宅にいた遥樹はふいにPCの電源を入れ呟きを見てた。

「今度のT.Zの主催ライブ、初めて見にいきます」
「遥樹さんの『Answer』生で聞けるのを楽しみにしてます」
「遥樹さんの歌声大好きです」
「T.Zの曲にいつでも励まされています」
「T.Zの曲でいつも元気もらってます」
「パワフルな遥樹さんが大好きです」

数々の呟きを見た遥樹は弥生の言葉を思い出した。

たしかー・・・弥生が言ってた。
『何があっても雄は歌うことをやめないで歌い続けてほしい』って・・・。
でも俺は・・・弥生がいないと歌うことも出来ない。
それでも俺のことを・・・待ってくれてるファンがこんなにいる。
なのに俺は・・・ファンに答えることをしてない。
こんな俺が・・・弥生との未来を描けるはずがない。
俺は・・・俺のやるべきことを今。
やらなきゃいけない。
そのために弥生は・・・。

遥樹は逸る気持ちのままライブハウスへと向かった。
ライブハウスでは遥樹がくるのをみんな待っていた。
遥樹は息をきらしながら客席の中を歩きステージ上にあがりマイクスタンドを手にして話し始めた。

「みんな待たせてごめん。こんな俺の歌を聴きにきてくれる人や、こんな俺の歌声を好きって言ってくれる人やT.Zの曲で励まされたり元気をもらってる人がこんなにいるなんて、俺、思わなかった。こんな俺でもファンは待っててくれた。たしかに俺は歌うことしか出来ない。でも、それが俺なんだってメンバーやファンから教えられた。今、その思いに気づけた俺はT.ZのⅤo遥樹としてこのステージでまた歌いたい。こんな俺だけど、これからも応援よろしくな」

遥樹たちの主催ライブは無事終えることが出来た。
メンバーだけで打ち上げをするために焼肉屋へと行った。
ある程度の注文をしたメンバーみんなでウーロン茶で乾杯をした。

「遥樹がくるか、ヒヤヒヤもんだったぜ」
「ホント、そっすよね。聖さん」
「けど、きたから、いんじゃねえーの」
「たしかにあべっちの言うとおり。これからはこうゆうことがないようにしてほしいもんだね。遥樹君」
「すみません・・・。哲也さん」
「哲やんも、あんま、遥樹をイジメんなよ」
「俺はイジメてねえーよ。ただ俺は忠告しただけだよ。まー君」
「哲やんの言い方がネチっこいんだよ」
「そうかー? あべっち」
「いや・・・。リーダーとして当然なこと言ってんじゃねえーの?」
「話しわかるよな。あべっち」
「そんなことよりさー・・・」
「なんすか? 聖さん」
「注文した肉、遅くねえ?」
「そっすか?」
「俺、腹減って限界なんだけど・・・」
「出たよ。まー君の限界宣言」
「なんだよ? そのあべっちの嫌味な言い方は?! 
いかにも、俺が、食に飢えてる野獣みたいじゃねえーか?!」
「えっ・・・?! まー君・・・。そうじゃないの?!」
「何テメーは女みたいな素振りしてんだよ?! 白クマのブタ!!」
「まー君。それ酷くない?」
「まんま言っただけやん!!」
「ちょっと哲也さん聞いた?」
「聞いた」
「哲也さんまで冷たいのね?」
「本当の女だったら冷たくないんやけどね」
「哲也さんの言うとおりっすよね」
「慧まで同じこと言うのかよ?」
「だって、そーじゃないっすか? あべさん」

そんな光景を見てた遥樹はふいに笑顔を見せてた。
気づいた哲也はほがらかに言った。

「ようやく、自然と笑えるようになれたな。遥樹」
「哲也さんー・・・」
「今のオマエ、むちゃくちゃいいぞ。ステージの上にあがってみんなの目の前で自分の気持ち言ってたオマエ、めっちゃカッコよくて、男の俺でもシビレタ。
あんなライブは2度とない」
「哲也さんー・・・」
「そーや、俺たちじゃなかったら、なかった」
「まー君・・・」
「遥樹だから、出来たんだよな」
「あべっち・・・」
「俺も見てて、シビレました。遥樹さん」
「慧ー・・・」
「これで遥樹、大丈夫だよな?」
「はい。哲也さん。こんな俺でこれから先も迷惑かけるかもしれねえーけど、よろしくお願いします!!
俺、このメンバーに出会えて、一緒に音楽が出来て、ライブが出来て、本当によかったと思ってます!!
俺、このメンバーで必ずメジャーになりたいです!!」
「遥樹ー・・・」
「哲やん。遥樹の言うとおりやな」
「そーだな。まー君」
「おかたいことはここまでにして、肉もきたことだし、食べますかね?」
「そっすね。あべさん」

焼肉を食べ終わり哲也と遥樹以外のメンバーは店の前で別れ、2人になっていた。

「遥樹」
「なんすか?」
「今日、オマエのマンションに泊まっていくわ」
「はい?!」
「別にいいよな?」
「構わないですけど・・・」
「じゃ決まり。コンビニで酒買って行こう」
「マジっすか?! 哲也さん?!」
「うん」

遥樹と哲也はコンビニでお酒を買い遥樹のマンションへと行きリビングのソファーに座りツマミながらお酒を飲んでいた。
少しほろ酔いになった哲也は遥樹に聞いた。

「なー遥樹・・・」
「なんすか?」
「弥生ちゃんと、連絡とってるのか?」
「まったくとってないっすね」
「そうかー」
「はい」
「遥樹は弥生ちゃんのこと、どーすんだよ? オマエだってこのままじゃよくないって、わかってんだろう?」
「まぁー・・・」
「オマエにズバリ聞くけどさー・・・」
「なんすか?」
「弥生ちゃんとの結婚、真面目に考えてたんか?」
「はい」
「じゃなきゃマンションも買わないしなー」
「はい」
「今、弥生ちゃんって、愛知県の実家に帰ってんだよな?」
「だと思いますよ」
「オマエって、弥生ちゃんの実家の住所って知らねえーの?」
「実家の住所はわからないですけど、弥生が愛知県で住んでたアパートの住所はわかりますよ」
「たしか、オマエを迎えに行ったアパートだよな?」
「はい」
「弥生ちゃんの携帯の番号って、変わってねえーよな?」
「たぶん・・・」
「弥生ちゃんの番号教えてくれる? 俺が今からかけるから」
「はぁっ?!」
「とにかく、遥樹のスマホかせ?」

遥樹はシブシブ自分のスマホを哲也に手渡した。
哲也は電話帳から弥生の番号を出し自分の電話帳に登録してその場で非通知で電話した。
着信に気づいた弥生は電話に出た。

「もしもし?」
「・・・」
「悪戯電話ならやめてください」

弥生は電話を切った。

さっきの無言電話何?
それも非通知で。
気にしたってしょうがないから寝よ。

弥生は眠りについた。
哲也は耳元からスマホを離した。

「遥樹、この番号まだ弥生ちゃん使ってる」
「そのためだけにかけたんすか?!」
「うん。それにな・・・」
「なんすか?」
「俺が久しぶりに弥生ちゃんの声、聞きたかったから」
「はい・・・???」
「そんな冗談はいいとして」
「冗談なんすか?」
「たしか、バンドのスケージュールって、今週1週間オフだったよな?」
「はい」
「プライベートのほうもみんなオフだったよな?」
「はい」
「よし!! 決めた!!」
「えっ?! 何がですか?」
「遥樹」
「はい?」
「明日の朝9時に残りのメンバーここに呼べ」
「ここにですか?!」
「うん」
「わかりました」
「俺、眠くなったから寝るわ」
「構わないっすけど・・・」
「あっそうそう」
「なんすか?」
「明日の朝8時ぐらいに俺のこと起こして」
「わかりました」

哲也は寝息をたてながらソファーで寝てしまった。
遥樹は寝室から毛布をもってきて寝てる哲也にかけた。

哲也さんが何考えてるか、俺にはわかんねーわ。
でも1つわかることは、弥生のこと。
とにいかく俺も寝なきゃ。

遥樹は寝室へといき眠りについた。
翌日の朝、遥樹は哲也を起こし、哲也に言われたとおり残りのメンバーをマンションに呼んだ。

「みんな集まったよな?」
「はい」
「じゃー行くか」
「何処に?!」
「そーねー・・・。旅行がてら愛知県に。1週間のオフもあることだし」
「マジで言ってんの?! 哲やん?!」
「うん!!」
「なんでまた愛知?!」
「その質問は言わなくても、わかるだろう? あべくん」
「まさか?!」
「そうー遥樹君」
「弥生ちゃんっすか?!」
「慧君。大当たり」
「哲也さん?! ちょっちょっと待ってください」
「何、遥樹君?」
「なんで、みんなで行くんすか?!」
「遥樹君、わかってないねー」
「何がですか?!」
「みんなね、遥樹君の前では言わないけど」
「はい」
「弥生ちゃんに会いたがってんだよ」
「はぁっ・・・?!」
「俺たちの気持ち、わかってくれた? 遥樹君」
「全然わからないし、わかりたくもありません」
「あべ君」
「なんすか?」
「遥樹君、うるさいから、車に乗せちゃって」
「イエッサー」

あべっちは強引に遥樹の腕をひっぱりマンション下にある車へと無理やりに乗せた。
残りのメンバーも車に乗り愛知へと向かった。
名古屋市内に入った哲也たちは観光がてら名古屋を回りエビフライや味噌カツや手羽先を食べ弥生がいる名古屋市外のとある街へとつき、弥生の住んでたアパートの部屋を訪ねた。
哲也がチャイムを鳴らしたら違う女性が出てきた。

「あの、すみませんけど・・・」
「はい」
「前にここに住んでいた女性って?」
「もうー出ていきましたよ」
「そーですか・・・」
「はい」
「何処に越したかわかりませんよね?」
「はい」
「ありがとうございました」

哲也は車へと戻った。
戻ってきた哲也に聖は聞いた。

「弥生ちゃん、いなかったん?」
「引っ越したみたい」
「じゃどーすんだよ?! リーダー哲也?!」
「どーしますかねー? あべ君?」
「俺にフルってか?!」
「遥樹さんって、弥生ちゃんの友達とかわからないんすか?」
「わかってたら、俺だって言ってよ。慧ー」
「そっすよねー・・・」
「こんな所にいてもしかたねえーから・・・」
「どーすんだよ? 哲やん」
「市内回ってみるか」
「はぁっ?!」
「俺、喉渇いたから、とにかくコンビニな」

弥生が住んでる市内を車で走ること20分、コンビニに立ち寄った。
メンバーはみんな車から降りてコンビニの中へと入り遥樹以外のメンバーはジュースを選んでいた。
だが、遥樹は立ち読みをしていた。
店内のガラス越しの外から遥樹の姿を見てた1人の女性はチラ見をしながら店内に入ってきた。
女性の視線に気づいた遥樹は目線を合わした。
けれど、女性は視線をそらし買い物をしてレジを済まし、遥樹がいる立ち読みコーナーへと来た。
気持ち悪いと思った遥樹は立ち読みコーナーから動こうとしたその時、女性が遥樹に声をかけた。

「もしかして・・・遥樹君かな?」
「はい・・・」
「弥生に会いにきたのかな?」
「そーですけど・・・。弥生のこと、知ってるんですか?!」
「はい」

遥樹は思わず店内で声を張り上げた。

「マジっすか?!」

遥樹の張り上げた声を耳にしたメンバーは何ごとかと思い、立ち読みコーナーへと行った。

「何?! 遥樹でけえー声だしてんだよ?!」
「他のお客さんもいるんだから恥ずかしいだろう?!」
「そっすよ?! 遥樹さん?!」
「遥樹」
「なっなんすか?!  哲也さん」
「この女性って誰・・・???」
「そーだよ。何、逆ナン、受けてんだよ?」
「オマエだけズルイ 」
「あっべちもまー君も違ますって?!」
「何が?!」

その時、美雪が少し困ったように哲也に話しかけた。

「あのー・・・お取り込み中のなか、すみませんけど・・・」
「はい」
「みなさんって、T.Zってバンドですねー?」
「そーですけど・・・」
「弥生に会いに来たんですよね?」
「はい。もしかして、弥生ちゃんの友達ですか?」
「はい」
「今、弥生ちゃんって、何処に住んでますか?!
よければ教えていただきたいんですけど」

美雪は困った素振りを見せた。
哲也はなんとなく悟り美雪に言伝を頼んだ。

「俺たち今週いっぱいこっちにいるから、もし、弥生ちゃんが俺たちに会ってくれるなら、俺に連絡くれるかな?」
「わかりました。私から弥生に話してみます」

哲也と美雪は番号を交換した。
翌日の昼間、美雪は弥生と会い遥樹たちのこと話した。
弥生は少し戸惑いながらも言った。

「遥たち、今こっちにいるんだね」
「弥生にメンバーみんな会いたがってたよ」
「そうー・・・」
「ねぇー弥生」
「ん?」
「まだ、遥樹君のこと、思ってるんじゃないの?」
「うんー・・・」
「なら会わなきゃ」
「そーなんだけどね・・・」
「今でも遥樹君、弥生のこと思ってるよ。なのに、会わないの?」
「会わないほうがいいと思うー・・・」
「なんで?」
「私が遥の側にいたら、遥の本当の思いが叶わないから」
「弥生のその気持ち、わかるけど・・・。でもそれって、弥生が自分の気持ちから逃げてるってことだよ?
弥生だって、遥樹君と一緒になることを1度は真剣に考えたんでしょう? 今でさえ、考えてるんでしょう?」
「美雪ー・・・」
「私は弥生に幸せになってもらいたいと思ってる。
もちろん、弥生のお兄さんもお姉さんも私以上にそう思ってる。だから、遥樹君と2人で挨拶にきなさいって、お姉さんが言ったんじゃないのかな? 弥生のお兄さんも何も言わないけど、弥生が選んだ男と一緒に幸せになってもらいたいと思ってるはずだよ。とくにお兄さんは・・・。弥生だって、その思いはわかるでしょう? 弥生にとって、お兄さんもお姉さんもかけがえのない存在であり親代わりであり家族でり、何よりも大事な兄と姉なんでしょう?」
「うん・・・」
「だったら、弥生が遥樹君と一緒にならきゃ。これ以上、お兄さんにもお姉さんにも、心配かけたらいけない。今まで弥生はみんなの幸せを願ってきたんだから、今度は弥生自身の幸せを願い叶えなきゃ。それを1番に望んで願ってるのは、弥生のお父さんとお母さんじゃないの? 弥生だってもうーわかってるでしょう?」
「うん・・・」
「だったら、遥樹君に会いな。もし、遥樹君に会わないのなら、私は、弥生が思う遥樹君の気持ちを全否定するし2度と認めない」
「美雪ー・・・」
「それがイヤなら、今、遥樹君と会うことを決めて。
じゃなきゃ弥生のためにならない」

弥生は考え込むようにうなづいた。
美雪はその場で哲也に連絡した。

「もしもし?」
「はい」
「コンビニで会った、弥生の友達の美雪ですけどー・・・」
「あっ、美雪ちゃん?!」
「今、弥生と一緒にいるんですけど、今から言う場所に来れますか?」
「うん」

美雪は弥生と一緒にいる場所を教え哲也たちは車でとある店の駐車場へと向かった。
駐車場では美雪と弥生の姿があった。
哲也は車を駐車しエンジンを切った。
車に乗ってたメンバーは弥生と美雪に駆け寄った。

「美雪ちゃん。ありがとうございます」
「いえ。哲也さん」

「弥生ちゃん、元気にしてた? 俺、弥生ちゃんに会いたかったよ」
「哲也さんー・・・」
「俺も会いたかった」
「聖さんー・・・」
「今度、弥生ちゃんには何、作ってもらおかなー?」
「あべさんー・・・」
「俺も弥生ちゃんに会いたかっすよ」
「慧さんー・・・」
「でも、俺たち以上に会いたがってたのは、遥樹さんなんすよ」

慧はそう言いながら遥樹を弥生の前に突き出した。
遥樹は照れくさそうに弥生の前に立った。

「遥ー・・・」
「まぁそうゆうことだから」

慧はそんな遥樹を冷やかした。

「遥樹さん、何、てれてんすか?」
「うるせーよ!!」

慧にのっかるように聖も冷やかした。

「遥樹ー」
「なんすか? まー君」
「オマエな、素直になれよ」
「まー君に、言われたくないっす」
「ホント、オマエって、かわいげがねえーな」
「かわいげ、なくてもいっす」

あべっちも聖にのっかるように言った。

「遥樹」
「なんすか? あべっち」
「まー君みたいに、ひねくれるな」
「了解っす」

哲也は遥樹以外のメンバーと美雪を車に乗せエンジンをかけた。
気づいた遥樹は少し焦りを隠せなかった。

「哲也さん?! 何処行くですか?!」
「美雪ちゃんに市内案内してもらうから」
「俺は?!」
「遥樹はウザイから弥生ちゃんと一緒にいな」
「えっ?!」
「じゃーなー」

哲也たちは美雪のガイドで市内を観光しに行った。
店の駐車場で2人きりになった弥生と遥樹は近くの海が見える公園へと行った。
遥樹と弥生は静かにベンチに腰を下ろした。

「夕陽、キレイだな」
「うん・・・」
「弥生」
「ん」
「俺、弥生の気持ち、わかってるようで、わかってなかった」
「遥ー・・・」
「でも、弥生が離れてくれたおかげで、俺自身が強くなれた」
「そうー・・・」
「ありがとうな」
「うん・・・。私も遥にありがとうって言わなきゃね」
「えっ?」
「私ね、遥に教えられたよ。自分が人のことを大切に思えるってこと。今まで、私にとっては当たり前だった。でも、遥を通して、それが出来ない人たちが多いってことを知った。そのことを痛感した時、正直、辛かったし傷ついた。でも、遥の思いがその人たちに伝われば、少なくとも、そう思わなくなるかもしれないって思ってた。でも、それは私だけの思いで甘かった。やっぱり、現実はそんなに甘くない。遥には自分自身の思いをちゃんと叶えてほしいと思ってる。だから、私は、遥の元には戻らないし、戻れない。それが私の正直な気持ち」
「弥生ー・・・」
「遥の思いに答えられなくてごめんね・・・」
「俺は絶対に自分の思いを叶えて弥生との未来を共にきずく!! 俺は何があっても歌い続けて弥生の思いを叶えたい!! それが今の俺に出来ることだから!!」
「遥ー・・・」
「俺は前の俺とは違う。俺だって弥生と離れて、いろんなことを思いしらされた。その度にメンバーやファンが俺のことを必死に思い支えてくれた。その思いに、今、俺は答えられる」
「遥、強くなったね」
「そうーしてくれたのは弥生以外、誰がいるんだよ?
俺は弥生しか愛せない男だから。それ以外なんて俺は考えられない。考えたくもねえー。俺は、弥生じゃないとダメな男。弥生じゃなきゃ、満足することも満たされることも愛されてる実感も感じねえ。感じさせてくれるのは弥生だけ。こんな不器用な俺を愛せる女は世界中何処探しても弥生1人だけ!! 俺は弥生がなんと言おうとも弥生の手をずっと離さず握ってる。弥生がイヤがろうがなんだろうが、俺は弥生と一緒になる!! 俺は弥生に何を言われようがどう思われよが、俺の気持ちは貫く!! それが今の俺」
「遥ー・・・」
「俺はどんなことがあっても弥生をあきらめない!!」
「遥ー・・・」

はっきりと自分の気持ちを伝えた遥樹は1人で店の駐車場へと戻り哲也に連絡した。
連絡を受けた哲也は店の駐車場へと向かった。
駐車場についた車から美雪が降りてきて遥樹に駆け寄った。

「遥樹君、弥生は?」
「近くの公園にいるよ」
「そうー・・・」
「美雪ちゃん、メンバーに市内案内してくれてありがとう」
「うん・・・」
「俺たちこれで福岡に帰るから」
「わかった。きょうつけて帰ってね」
「うん」

遥樹はメンバーがいる車へと乗り福岡へと帰った。
美雪は弥生の元へと行った。
1人ベンチに座ってる弥生に美雪は優しく声をかけた。

「弥生?」
「美雪ー・・・」
「遥樹君とはちゃんと話した?」
「うん・・・」
「遥樹君、なんて言ってた?」
「何がなんでも、私のこと、あきらめないって」
「遥樹君らしいねー」
「うん・・・」
「弥生・・・」
「ん・・・」
「もうー自分を許してあげてもいんじゃない? 弥生が本当に心の中でひっかかってることはあの人の子供を中絶したことなんでしょう? そんな自分が今だ許せてないんでしょう?」
「美雪は全部お見通しだね」
「当たり前でしょう。弥生のことをずーっと見てきてるんだから」
「弥生だって、私のこと、わかるでしょう?」
「まーね・・・」
「だったら、私が言わなくてもわかるでしょう?」
「うん」
「遥樹君もこんな弥生と付き合って一緒になるなんて、大変だわ」
「うんー・・・」
「でもさー・・・」
「何?」
「弥生は最初からこうーなることわかってたんでしょう? 煌也さんのことも遥樹君のことも?」
「全てわかってたって言ったら嘘になるけど、ここまで遥が変わって強くなるとは思わなかった。久しぶりに遥に会って痛感したんだけどさー・・・」
「何?」
「遥の目、見た時、男の中の男になってた」
「そっかー・・・。弥生が思ってた以上に、遥樹君はいい男になってたんじゃないの?」
「だね・・・」
「きっと、弥生が遥樹君を蹴っても拒んでも、遥樹君は何度も這い上がって、弥生にぶつかってくる。もしかしたら、それを超えてくるかもよ? 弥生はそれでもいいの?」
「どーだろうね・・・。でも、もしかしたら、私が遥に望んでることかもしれない。遥にはそう合ってほしいと思うから・・・」
「そっかー・・・」
「うん・・・」

弥生と美雪は各自の自宅へと帰った。
その頃、東京にいる煌也はある女プロデューサーとツアーの打ち合わせを事務所でしてた。

「今回の東京、名古屋、福岡のツアーを総合プロデュースをさせていただきます、佐々木真里です。よろしくお願いします」

真里の紹介を終えたあと念入りの打ち合わせが始まった。
夜10時ぐらいに打ち合わせを終え煌也は会議室から出ようとしてた。
その時、真里が声をかけた。

「煌也さん、ちょっといいですか?」
「ええけど」

真里と煌也は人目のつきにく事務所奥の会議室へと入った。

「こんな人目のつかない場所での話しって、なんなん?」
「煌也さんって、水無月弥生さんって、知ってますよね?」
「佐々木さんはなんで、知ってんや?」
「煌也さんにだけに話しますけど・・・」
「うん」

真里は弥生との関係を全て煌也に話した。

「ほな、佐々木さんにとって、弥生は姉さんなんやね?」
「はい。でも、実の姉じゃないんで・・・」
「それはわかってるからいいんよ」
「今、姉さんって、煌也さんと一緒にいるんですよね?」
「そのことなんやけどー・・・」
「はい」
「インディーズバンドのT.ZのⅤoの遥樹って、佐々木さんも知ってるよね?」
「姉さんから話しは聞いてますよ」
「遥樹の元に戻ったんや」
「いつですか?!」
「もうーかれこれ1年前ぐらいやったと思うけどなー・・・」
「それいらい、姉さんとも遥樹さんとも連絡とってないんですか?」
「とってねえーなー・・・」
「そーですか・・・」
「佐々木さんのほうは弥生と連絡とってるん?」
「私も忙しくて、なかなかとっていませんね」
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