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私、異世界に行きました。

私、死にました。

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バァーン、ドサッ。
これが、私が生きている内に聞いた最後の音になった。

うん、その筈だよね。おかしい、おかしいよ。
なんで私は生きているの。そして一面真っ白なここは何処。
嘘です、すいません、だいたい予想ついてます。
これ、あれですよね、よくある異世界転生の冒頭パターンですよねー。
犬を助けてトラックに轢かれるとか完全によくあるやつですね。
しかし、それが本当だとして冒頭に出てくる神様がまだ出てこないんですけど。
ここに来てから、20分位待たされているんですけど、早くしてくれないかな。
ここ真っ白すぎて不安になる。

バタン、ガチャ。「こんにちは~、私神を務めております、神木と申します。
あなた様でしょうか。今回死亡なされた鈴木桜様は。」

うわっ、なんかこの神様?、神様でとても綺麗なのにすごく丁寧な口調なんだけど。

「あの、そんな褒められると照れるんですが(てれっ」
「え、あの私今喋りましたか?」
「一応神なので、心の声は聞けます。というか、聞こえます。」
「へえ、そうなんですか。」
「それは置いといて、あなた様が鈴木桜様ですね。」
「はい、そうですが。」
「あなた方の世界の死亡時の魂回収システムがバグを起こしてしまって間違えて鈴木様が死亡してしまったので、
私が謝罪に参りました。謝罪と言ってはなんですが、これからトリップしてもらう世界では経験値を1000倍にさせて
いただきます。」

ど、どういうことなんだ。経験値1000倍って!?

「あ、説明していませんでしたね。
まず、あなたを生き返らせる事は出来ません。予約が一杯あるので。
それで、いわゆる剣と魔法のファンタジー世界にトリップしてもらいます。
そこは、レベルもスキルも経験値もあります。それで、経験値1000倍という事です。」

なるほど、ということはとんでもなくチート!?でも帰れないのか。

「そうなりますね。帰れないのはどうしようもありません。すいません。」
「それなら、いいです。もともと天涯孤独ですしね。」
「それなら、そこの門からどうぞ。異世界はそこから続いています。」

いつ間に出したのか知らんが、確かに門がある。よし、行くか。

「じゃ、ありがとうございました。」
「良い人生を~、さようなら。」

こうして、私は異世界に行きました。
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