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私、異世界に行きました。

私、絶体絶命です。

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私とスイミンは、今、絶体絶命になっている。

あの後、私たちは歩いて街に向かっていた。その途中で何度か少し強そうなモンスターを見つけたが、ばれずに逃げ切った。
それで、少し気がぬけていたのかもしれない。でも、こんな事になるなんて、思わなかったんだ。
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「それにしても、あの神様どんだけミスしているんだ?おっちょこちょいすぎだろ。」
「僕のときは、しっかりしてたんですけどね。」
「本当、神木といい、神様の同僚といい、神様ってあんなのしかいないのか?」
「ご、ご主人様、後ろ!!」
「へ、………うっ、うわーーー!!」

後ろには、超巨大なトロールがいた。
基本的なトロールとは違い、赤色をしていて、表情が凶悪な犯罪者の様な感じだ。
トロールは、まるで私たちをなぶる様にゆっくり歩いてくる。
ゆっくりとはいえ、体がでかいので私たちの走る速さと大して変わらない。
私は、運動音痴の中2なのですぐに体力が尽きてきた。

「はぁはぁ、も、もう無理だ。」

私は、最後の気力を振り絞って、叫んだ。

「誰か、た、たすけてーー」
「応。」
ブシャ、グジッ、ブシュー

聞こえるはずのない音が聞こえ、私が振り向くと、そこにはとんでもない光景が広がっていた。
トロールが倒れていて、その首元に血だらけの美人が立っていたのだ。

「大丈夫か?ガキ」
「…………………!?」
「ああ、びっくりして声がでねぇのか。」
「仕方がないだろう。俺だって、目の前に血だらけの女がいたら声が出なくなるわ。」
「そんなもんか?」
「当たり前だろ。」

血だらけの美人のインパクトで気づかなかったが、後ろの方に、いかにも魔術師という様な風貌の男がいて、
今、血だらけの美人と呆れながら、会話をしている。

「あ、あの助けてくれてありがとうございます。」
「いいってもんよ、ガキを見殺しにしちゃあ、目覚めが悪りぃからな」
「子供なのに言葉遣いがいいな、貴族か?」

子供、子供って、確かに私は、14歳だけど、そう何回も言われなくともいいじゃないか。
あんたらがでかいからって。

「あのそう何回も子供って言われると、傷つくんですが。」
「一丁前に、ガキが傷つくだなんて言ってんじゃねえよ。」

ひでえよ、この美人。

「それにしても、14、5歳のガキをこのまま置いていけねぇな。
…………おいガキ、俺たちについてくるか?」

どうするか、どうしよう。
うん、ついていこう。騙されていたとしても、その時は、その時だ。
自分でも、流されやすいとは思うが、仕方がない。今は、私はこの世界の常識を知らないのだ。
この世界の常識を知っている、知り合いが欲しい。そのためには、自分が動くしかない。

「ついてこなくてもいいんだぞ?まあその後、どうするのかは知らないが。」
「いいえ。よろしくお願いします。」
「よし、じゃあへばるなよ。疲れたとしても、休憩はしねえぞ。」

こうして、私は、保護者を手に入れました。





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