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第三章 バルトフェル奪還戦
第37話 貴族殺し『至宝の殺戮者』
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「小竜。」
ルーデウスもまた、この霧が転移のために仕掛けられたエフェクトだと見てとった。
「油断するな? この地形そのものが転移陣だ。どこに転移させられるのか。」
「たぶん、問題にならないよ。」
童女の姿をした竜は答えた。いくら見かけがそうであっても、知性のある竜は、齢は千年を超えてることも珍しくない。
「どこに、転移させられても。その先に何がまちかまえていても。」
「なるほど、心配なのはロウさまと、ルウエンと、アデルの方だったかもしれないな。」
「真祖プラス、ルウエンに、アデルだ、伯爵。」
ラウレスは、嬉しそうに言った。
「“災厄の女神”自ら光臨あそばされても問題にならないと、思うよ。」
「二人か? ガキに女。直ぐに信じまうんじゃつまらねえな。」
「油断はするなよ。女の方は“貴族”だ。」
現れたのは、ククルセウ連合に正規部隊の士官服に身を包んだ二人の男。
呆れたことに、正式な催事に着用する、いわゆる、第二種礼装だった。
勲章らしきものまで、身につけている。
「おまえたちが、わたしたちの相手をする運の悪い奴らか?」
ルーデウスは、どこかだらけきった態度とは裏腹に、男たちがかなりの手練であることに、気づいた。
人間にまじり、冒険者稼業の長い彼女にはそれが可能であった。
「ラウレス。背の高い方は“竜人”だ。竜の血を引く・・・かどうかは眉唾だかまら、普通の人間よりも体力
・魔力ともに大幅に上回る。竜のもつ能力を受け継いでいる場合もある。」
ばっこーーーーんっ!
派手で。
間抜けな音が響いた。
ラウレスの小さな手の一撃は、数メトル離れた太い木をへし折るほどの勢いで、男の体を吹き飛ばしていた。
ルーデウスの掌が持ち上がり、その指の間に、達成の投擲武器がハサミ止まられていた。
「チビの方は、“貴族”か。男爵級だな?」
時計の針に似た金属片を、ルーデウス“伯爵”の怪力が、ぐにゃりと曲げた。
「よく止めたな、ルーデウス閣下。」
チビが、にやりとわらった。
「ほう? わたしを知っているのか?」
「お宝探しにかけちゃあ、あんたか、冒険者界隈じゃ第一人者だろう。
俺は、“クロノス”のスカルド。一応、男爵ってことになってるんだが」
小男のククルセウ士官は、ニヤニヤお笑った。
「人間どもが勝手にきめた通称だ。
あんまり、当てにしないほうがいいかもよ?」
「俺は“不破”のウツツ。」
折れた木の幹を押し上げて、背の高い男も立ち上がる。
振り返ったルーデウスに、ラウレスはいましがらウツツを打ち倒した自分の拳を見せた。
指が数本、折れていた。
「たいした馬鹿力だな、小娘。」
カラカラと笑いながら、ウツツは言った。
「“竜鱗”が間に合わなければ、危なかったかもしれねえ。だが、俺の竜鱗は、常時展開できるんだ。それこそ・・・あの“竜”がそうだったように、な。」
「“貴族殺し”ブテフパのパーティ『至宝の殺戮者』が、総出でおまえさん方をおで迎えってことだ。
万が一、億がひとつにも逃げられるとは思うなよ?」
■■■■■
霧は唐突に晴れた。
そこは、すでに、別の場所。
「どこなのだ、ここは?」
アデルが周りの匂いをかぐような仕草で、あたりを見回した。
「どこでも無さそうだ。」
ルウエンは、背伸びをするようにあたりを見回した。
景色そのものは、いままでと違いは無い。
山中の急斜面。
木々はまばらで、枝のかさなりを通した陽の光はまだ充分に、明るい。
「いや、“意外に近場”だと、思ったらさ」
こっちから、滝の音がする、と言って、歩き出しながら、言い訳をするように、アデルが言った。
「見かけだけ、そう作った全然別のところみたいなんだ、ここって。」
「そっちのカンのほうが正しいよ。」
出来のいい生徒を見る目で、ルウエン言った。
「ここは、術者の作った異界だ。閉鎖空間とか、色んな言い方はあるけど、元いた山の中とは、まったく別のところだ。」
程なく、三人は、木々の開けた水場に辿りついた。
正面には、小さな滝があり、済んだ水泉を作っていた。
その中央にある大岩のうえで、頭を剃った若い男が、座禅を組んでいた。
「なんで、わざわざそんなことしたのかな?」
それを無視して会話を続けるアデルである。
「それって、迷宮構築とかと基本は一緒でしょ? 別の世界を作り出すんだから。
複雑な呪文や術式は、積層型の魔法陣で代用できるとしても、必要な魔力量はとんでもないよ?」
「それは、正しいけど、正解じゃない。」
ルウエンは、言葉を探している。
「そうだな。エアコンは電気で動くけど、別段、勝者が電力を供給しなくてもいい。まして、自分で設計して作りたますことが出来なくても、『使う』ことはできる。
迷宮を作成するための、魔法理論は千年前にすでに、かの大賢者ウィルニアが構築している。魔力は前もって、蓄積して置けばいい。
つまりは、閉鎖空間の構築は、とんでもなく高価だけど、買えなくは無い高級エアコンみたいなもんだな。」
「わかったような、わからないような。」
アデルは顔を顰めた。
「そもそも、『エアコン』ってなによ?
あなた、異世界人なの?」
「いや、バリバリのこの世界の人間だよ。用事があって異世界にいってたのは、事実だけど。」
「初耳!
どんな異世界なの?」
「一番、よく聞くあれ、だよ。劇や詩や小説なんかで語られる、人間がうじゃうじゃいて、魔法がなくて、技術文明がやたらに発達してる世界。」
僧形の男は、ゆっくりと目を開けた。
まだ、若い。
身に纏うのは、1枚布を身体に巻き付けたような衣のみ。
体つきも顔つきも。
全ての無駄をそぎおとしたような風防だった。
「挨拶させてもらってもよいか?」
声は平坦だったが、僅かな苛立ちが感じられた。
「お待たせしてしまい、すいません。」
ルウエンは、自分から頭を下げた。
「わざわざ、こんな所にご招待いただくとは・・・光栄の極みです。」
「そ、そういうものなの?」
アデルが、ルウエンを睨んだ。
「そうだよ。いろんな準備が必要なのにこんなところを用意したのは、ぼくらが、逃げにくくするため、と。」
ルウエンの瞳が、僧形の青年こ瞳を真っ直ぐに捉えた。
「戦いで、周りに被害が拡大しないための配慮だからね。
たぶん。これからの戦いは地形を変えるほどのものになるだろうって。そうしたら、鉄道設備にも被害が及ぶかもしれないって。そこまで、考慮してくれているんだよ!」
ルーデウスもまた、この霧が転移のために仕掛けられたエフェクトだと見てとった。
「油断するな? この地形そのものが転移陣だ。どこに転移させられるのか。」
「たぶん、問題にならないよ。」
童女の姿をした竜は答えた。いくら見かけがそうであっても、知性のある竜は、齢は千年を超えてることも珍しくない。
「どこに、転移させられても。その先に何がまちかまえていても。」
「なるほど、心配なのはロウさまと、ルウエンと、アデルの方だったかもしれないな。」
「真祖プラス、ルウエンに、アデルだ、伯爵。」
ラウレスは、嬉しそうに言った。
「“災厄の女神”自ら光臨あそばされても問題にならないと、思うよ。」
「二人か? ガキに女。直ぐに信じまうんじゃつまらねえな。」
「油断はするなよ。女の方は“貴族”だ。」
現れたのは、ククルセウ連合に正規部隊の士官服に身を包んだ二人の男。
呆れたことに、正式な催事に着用する、いわゆる、第二種礼装だった。
勲章らしきものまで、身につけている。
「おまえたちが、わたしたちの相手をする運の悪い奴らか?」
ルーデウスは、どこかだらけきった態度とは裏腹に、男たちがかなりの手練であることに、気づいた。
人間にまじり、冒険者稼業の長い彼女にはそれが可能であった。
「ラウレス。背の高い方は“竜人”だ。竜の血を引く・・・かどうかは眉唾だかまら、普通の人間よりも体力
・魔力ともに大幅に上回る。竜のもつ能力を受け継いでいる場合もある。」
ばっこーーーーんっ!
派手で。
間抜けな音が響いた。
ラウレスの小さな手の一撃は、数メトル離れた太い木をへし折るほどの勢いで、男の体を吹き飛ばしていた。
ルーデウスの掌が持ち上がり、その指の間に、達成の投擲武器がハサミ止まられていた。
「チビの方は、“貴族”か。男爵級だな?」
時計の針に似た金属片を、ルーデウス“伯爵”の怪力が、ぐにゃりと曲げた。
「よく止めたな、ルーデウス閣下。」
チビが、にやりとわらった。
「ほう? わたしを知っているのか?」
「お宝探しにかけちゃあ、あんたか、冒険者界隈じゃ第一人者だろう。
俺は、“クロノス”のスカルド。一応、男爵ってことになってるんだが」
小男のククルセウ士官は、ニヤニヤお笑った。
「人間どもが勝手にきめた通称だ。
あんまり、当てにしないほうがいいかもよ?」
「俺は“不破”のウツツ。」
折れた木の幹を押し上げて、背の高い男も立ち上がる。
振り返ったルーデウスに、ラウレスはいましがらウツツを打ち倒した自分の拳を見せた。
指が数本、折れていた。
「たいした馬鹿力だな、小娘。」
カラカラと笑いながら、ウツツは言った。
「“竜鱗”が間に合わなければ、危なかったかもしれねえ。だが、俺の竜鱗は、常時展開できるんだ。それこそ・・・あの“竜”がそうだったように、な。」
「“貴族殺し”ブテフパのパーティ『至宝の殺戮者』が、総出でおまえさん方をおで迎えってことだ。
万が一、億がひとつにも逃げられるとは思うなよ?」
■■■■■
霧は唐突に晴れた。
そこは、すでに、別の場所。
「どこなのだ、ここは?」
アデルが周りの匂いをかぐような仕草で、あたりを見回した。
「どこでも無さそうだ。」
ルウエンは、背伸びをするようにあたりを見回した。
景色そのものは、いままでと違いは無い。
山中の急斜面。
木々はまばらで、枝のかさなりを通した陽の光はまだ充分に、明るい。
「いや、“意外に近場”だと、思ったらさ」
こっちから、滝の音がする、と言って、歩き出しながら、言い訳をするように、アデルが言った。
「見かけだけ、そう作った全然別のところみたいなんだ、ここって。」
「そっちのカンのほうが正しいよ。」
出来のいい生徒を見る目で、ルウエン言った。
「ここは、術者の作った異界だ。閉鎖空間とか、色んな言い方はあるけど、元いた山の中とは、まったく別のところだ。」
程なく、三人は、木々の開けた水場に辿りついた。
正面には、小さな滝があり、済んだ水泉を作っていた。
その中央にある大岩のうえで、頭を剃った若い男が、座禅を組んでいた。
「なんで、わざわざそんなことしたのかな?」
それを無視して会話を続けるアデルである。
「それって、迷宮構築とかと基本は一緒でしょ? 別の世界を作り出すんだから。
複雑な呪文や術式は、積層型の魔法陣で代用できるとしても、必要な魔力量はとんでもないよ?」
「それは、正しいけど、正解じゃない。」
ルウエンは、言葉を探している。
「そうだな。エアコンは電気で動くけど、別段、勝者が電力を供給しなくてもいい。まして、自分で設計して作りたますことが出来なくても、『使う』ことはできる。
迷宮を作成するための、魔法理論は千年前にすでに、かの大賢者ウィルニアが構築している。魔力は前もって、蓄積して置けばいい。
つまりは、閉鎖空間の構築は、とんでもなく高価だけど、買えなくは無い高級エアコンみたいなもんだな。」
「わかったような、わからないような。」
アデルは顔を顰めた。
「そもそも、『エアコン』ってなによ?
あなた、異世界人なの?」
「いや、バリバリのこの世界の人間だよ。用事があって異世界にいってたのは、事実だけど。」
「初耳!
どんな異世界なの?」
「一番、よく聞くあれ、だよ。劇や詩や小説なんかで語られる、人間がうじゃうじゃいて、魔法がなくて、技術文明がやたらに発達してる世界。」
僧形の男は、ゆっくりと目を開けた。
まだ、若い。
身に纏うのは、1枚布を身体に巻き付けたような衣のみ。
体つきも顔つきも。
全ての無駄をそぎおとしたような風防だった。
「挨拶させてもらってもよいか?」
声は平坦だったが、僅かな苛立ちが感じられた。
「お待たせしてしまい、すいません。」
ルウエンは、自分から頭を下げた。
「わざわざ、こんな所にご招待いただくとは・・・光栄の極みです。」
「そ、そういうものなの?」
アデルが、ルウエンを睨んだ。
「そうだよ。いろんな準備が必要なのにこんなところを用意したのは、ぼくらが、逃げにくくするため、と。」
ルウエンの瞳が、僧形の青年こ瞳を真っ直ぐに捉えた。
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