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第三章 バルトフェル奪還戦
第44話 作戦会議(下)
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「と、言うわけだ。」
真祖は、隣に少年を座らせると、いままでの会話を語って聞かせた。
鉄道公社アイザック・ファウブルの申し出に対するロウの答えは、「自分のパーティを呼ぶこと」であり、それはただちに実行されたのだ。
冒険者としても名だかいルーデウス伯爵は、そろそろロウの血から作った丸薬の効力が きれるころだったので、追加をのませている。
“至高の殺戮者”との戦いの傷はとうに癒えていた。ルーデウスとしては、本当は血が飲みたかったのだが、赤ワインで済ませている。
高名な竜の名をもらった少女は、食べるものを所望した。両手ともに厚く包帯が巻かれ、片足は脛から石膏のギプスに包まれていたが、それ苦にする様子もない。運ばれてきたサンドイッチを全員分たいらげて、おかわりを要求する。
燃えるオレンジのショートカットのアデルは、それに対抗するように、スペアリブの骨を積み上げている。おとなしく出されたお茶を飲んでいればいいものを。
そもそもラウレスは、欠損した身体を復元するために食べ物を大量に必要としているのだ。こんな所で張り合ってどうする?
と、ルウエンは思うのだがつまらないところでも負けたくないと思うのは、やはり親譲りなのだろうか。
ただし、父、母どちらもそうなので、どちらにより似ているかは、判断に困るところだった。
彼らは、いずれも、ロウ=リンドがひさびさに「仲間」とよべるとっておきのパーティメンバーだったが、彼女が、用事があるのは、とりあえずルウエンだけだ。
「なんでぼくに!?」
少年は困った顔で、ロウを見つめた。
それは、そうだろうな、とアイザック・ファウブルも思ったが、そのまま、少年が手を伸ばして、ロウのほっぺをふにふにし始めたので、驚いた。
西域唯一の真祖は、そんなことをしてはいい存在ではないのだ、決して。
「ぶあにかひぃえをだせ。」
「なにか、知恵を出せ。」
と、真祖は、ルウエンの雑なスキンシップをいやがるわけでもなく、そう言った。
「だから、なんでぼくが。」
ロウは、わりと童顔ではあるのだ。
頬の柔らかな感触を楽しんでから、少年は手を離して、もう一度、そう聞いた。
運命のなんてものはない。
だいたい御歳千年を越える真相たるロウ=リンは、そう思っている。
それは、心の内にある縛りだ。
たとえば、ギャンプルをするものが、ベットが大きくなればなるほどあとには、ひけなくなるような。
いま、ロウは、義勇軍と称して、『城』の冒険者たちを半ば強制的に動かした。
死者もけが人もでていない。そもそも、本隊がぶつかるまえに、決着がついて、ククルセウは撤退をはじめたのだ。だが、人が動けば金はかかる。
かかったコストは、回収したい。
そのような内容のことを、ロウは懸命に話をした。
「あのときだって、うまく解決してくれただろうが。」
「あのときって」
「カザリーム。」
ルウエンは、深いため息をついて、アデルを見やったが、彼女はラウレスとの食べ比べに熱中していた。
「どれのことを言ってるかわかりませんけど。あのとき、ぼくに起こったことは、失敗の連続でした。」
「いいよ。あれを失敗だと言うんなら、同じ程度の失敗でかまわない。アイザック・ブァウブル局長閣下のお望みのとおり、バルトフェルを鉄道公社の直轄領にしてみせてくれ。」
「無理ですって。」
「わたしの知っているルウエンは、不可能を可能にするヤツだったぞ?」
そんなステキな仲間がいたのなら、忘れなければいいのに。
と、ルウエンは、つぶやいた。
「やるだけ、やってみますよ。
でも、忘れてもらっては困るんですけど、ぼくもアデルもただの冒険者見習いですからね。まだ、冒険者学校に在学中の。」
「在学中に“銀級”になることが確定した、な。
たしか、20年振りの快挙のはずだ。」
まず。
と、ルウエンは、鉄道公社の局長を振り返った。
「一介の冒険者であるぼくらが、何を言ってももともとのここの領主であるワルド伯爵は聞く耳をもたないでしょう。
鉄道公社の名前で手紙を書いていただきたいです。」
「かまわんが、無駄だと思うぞ。」
アイザック・ファウブルは言った。
「いくら、理を尽くして、バルトフェルの支配に大して正当性を訴えたところで、ワルド伯爵は聞く耳をもたないだろう。彼は古いタイプの領主だ。少しでも土地が多ければ、それが利益であり、自分の権勢が増すものと思い込んでいる。
いずれ、押し寄せるワルド伯爵の軍勢にひとあたりしてこれを蹴散らさない限り、バルトフェルを放棄することはありえない。」
「別に正当性なんか訴えなくてもいいです。」
ルウエンは、きっぱりと言った。
「ならば脅すか? ふうむ、その方がマシかもしれんが、手紙を持参したものの命が危なくなるかもしれん。」
「それは大丈夫だ。わたしも一緒にいくから!」
アデルはまったく、聞いてないような素振りで、しっかり会話をきいていた。
「いくらよくしゃべるヤツでも、胴体から切り離されると、とたんに無口になるんだ。
なにか、あったらわたしが黙らせる、さ。」
「……という解決は論外として。」
ルウエンは、言った。
「書いて欲しいのは、相手が嫌がる手紙、ってところはあっていますかね。相手によってはどんな糾弾よりもいやがる手紙です。」
真祖は、隣に少年を座らせると、いままでの会話を語って聞かせた。
鉄道公社アイザック・ファウブルの申し出に対するロウの答えは、「自分のパーティを呼ぶこと」であり、それはただちに実行されたのだ。
冒険者としても名だかいルーデウス伯爵は、そろそろロウの血から作った丸薬の効力が きれるころだったので、追加をのませている。
“至高の殺戮者”との戦いの傷はとうに癒えていた。ルーデウスとしては、本当は血が飲みたかったのだが、赤ワインで済ませている。
高名な竜の名をもらった少女は、食べるものを所望した。両手ともに厚く包帯が巻かれ、片足は脛から石膏のギプスに包まれていたが、それ苦にする様子もない。運ばれてきたサンドイッチを全員分たいらげて、おかわりを要求する。
燃えるオレンジのショートカットのアデルは、それに対抗するように、スペアリブの骨を積み上げている。おとなしく出されたお茶を飲んでいればいいものを。
そもそもラウレスは、欠損した身体を復元するために食べ物を大量に必要としているのだ。こんな所で張り合ってどうする?
と、ルウエンは思うのだがつまらないところでも負けたくないと思うのは、やはり親譲りなのだろうか。
ただし、父、母どちらもそうなので、どちらにより似ているかは、判断に困るところだった。
彼らは、いずれも、ロウ=リンドがひさびさに「仲間」とよべるとっておきのパーティメンバーだったが、彼女が、用事があるのは、とりあえずルウエンだけだ。
「なんでぼくに!?」
少年は困った顔で、ロウを見つめた。
それは、そうだろうな、とアイザック・ファウブルも思ったが、そのまま、少年が手を伸ばして、ロウのほっぺをふにふにし始めたので、驚いた。
西域唯一の真祖は、そんなことをしてはいい存在ではないのだ、決して。
「ぶあにかひぃえをだせ。」
「なにか、知恵を出せ。」
と、真祖は、ルウエンの雑なスキンシップをいやがるわけでもなく、そう言った。
「だから、なんでぼくが。」
ロウは、わりと童顔ではあるのだ。
頬の柔らかな感触を楽しんでから、少年は手を離して、もう一度、そう聞いた。
運命のなんてものはない。
だいたい御歳千年を越える真相たるロウ=リンは、そう思っている。
それは、心の内にある縛りだ。
たとえば、ギャンプルをするものが、ベットが大きくなればなるほどあとには、ひけなくなるような。
いま、ロウは、義勇軍と称して、『城』の冒険者たちを半ば強制的に動かした。
死者もけが人もでていない。そもそも、本隊がぶつかるまえに、決着がついて、ククルセウは撤退をはじめたのだ。だが、人が動けば金はかかる。
かかったコストは、回収したい。
そのような内容のことを、ロウは懸命に話をした。
「あのときだって、うまく解決してくれただろうが。」
「あのときって」
「カザリーム。」
ルウエンは、深いため息をついて、アデルを見やったが、彼女はラウレスとの食べ比べに熱中していた。
「どれのことを言ってるかわかりませんけど。あのとき、ぼくに起こったことは、失敗の連続でした。」
「いいよ。あれを失敗だと言うんなら、同じ程度の失敗でかまわない。アイザック・ブァウブル局長閣下のお望みのとおり、バルトフェルを鉄道公社の直轄領にしてみせてくれ。」
「無理ですって。」
「わたしの知っているルウエンは、不可能を可能にするヤツだったぞ?」
そんなステキな仲間がいたのなら、忘れなければいいのに。
と、ルウエンは、つぶやいた。
「やるだけ、やってみますよ。
でも、忘れてもらっては困るんですけど、ぼくもアデルもただの冒険者見習いですからね。まだ、冒険者学校に在学中の。」
「在学中に“銀級”になることが確定した、な。
たしか、20年振りの快挙のはずだ。」
まず。
と、ルウエンは、鉄道公社の局長を振り返った。
「一介の冒険者であるぼくらが、何を言ってももともとのここの領主であるワルド伯爵は聞く耳をもたないでしょう。
鉄道公社の名前で手紙を書いていただきたいです。」
「かまわんが、無駄だと思うぞ。」
アイザック・ファウブルは言った。
「いくら、理を尽くして、バルトフェルの支配に大して正当性を訴えたところで、ワルド伯爵は聞く耳をもたないだろう。彼は古いタイプの領主だ。少しでも土地が多ければ、それが利益であり、自分の権勢が増すものと思い込んでいる。
いずれ、押し寄せるワルド伯爵の軍勢にひとあたりしてこれを蹴散らさない限り、バルトフェルを放棄することはありえない。」
「別に正当性なんか訴えなくてもいいです。」
ルウエンは、きっぱりと言った。
「ならば脅すか? ふうむ、その方がマシかもしれんが、手紙を持参したものの命が危なくなるかもしれん。」
「それは大丈夫だ。わたしも一緒にいくから!」
アデルはまったく、聞いてないような素振りで、しっかり会話をきいていた。
「いくらよくしゃべるヤツでも、胴体から切り離されると、とたんに無口になるんだ。
なにか、あったらわたしが黙らせる、さ。」
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ルウエンは、言った。
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