207 / 245
隣国エテルカールトン
ご注文(3)
「こんなに色々選べるなんてね~」
「冒険に行くのにお洒落ができるとは夢にも思わなかったです」
「常識はずれなのよ、リザは」
エニシャさんのは褒め言葉と思っておこう。
「じゃあ、これ貰っていくわ!」
「それで良いんですか?」
「良いも何もないじゃない」
「ヘルマさんみたいにご希望があれば作りますけども…?」
三人は顔を見合わせてから大笑いする。
「ヘルマみたいにってここにレースつけろ、とか長さ変えろとか言わないわよ」
「アンタ達何言ってるの?リザの凄さはそこじゃないでしょ?」
「ヘルマ、どう言うことですか?」
そうか、三人は“防具”を付けてないから“防具”として見れてないだけじゃなくて《付与》の事も知らないんだ。
同じくその事に気付いたヘルマさんはニヤニヤしながらファルマさんに持参していた『ドレスアーマー』を押し付ける。
「ファルマ、アンタ着てみなさい」
「面倒くさいんだけど」
「良いから!はい!着る!」
文句を言いながら隣の部屋へ試着しに行く。
「ふざけんなぁーーーー!」
そして遅れる事1分後、建物の外まで響いたのでないかと思うほどの怒号が聞こえてきたかと思えば、私はいつの間にかファルマさんに首根っこ掴まれる様な状態になっていた。
「ど、どうしたのよ」
「ファルマ、落ち着いて下さい」
二人の説得も虚しくフンフン、と呼吸を荒立てながら私は猛烈に詰め寄られている。
「何をどうすればこんな物出来るのよ!」
暫くそんな感じで怒りながらも、エニシャさんとカテシャさんに『ドレスアーマー』には《変質》が《付与》されていない事、なのに《変質》は機能していること、そしてその他に三つの《付与》が付いていることを説明しつつ、私に文句も言う。
「これまでどんな事があっても王都近郊でしか仕事をしなかったヘルマが突然フローネに行くなんて言い出して頭沸いたのかと思ったけど」
「仕方がないじゃない!ダンジョンの中では大した物食べれないから、出てきた時は思う存分美味しい物食べたいじゃない!」
「こっちには新作ケーキもなければ、大好物ランプステーキもないのに、異常なまでに執着してた理由がよく分かったわ」
「ヘルマに感謝する日が来るとは思いませんでした」
「皆んなして何よ!」
「…今度ケーキお作りしますね」
「本当?楽しみだわ!」
「リザ、ケーキも作れるの!?」
「アンタ、何者よ!」
それから更なる質問攻めにあった。とりあえず、《付与》の種類やレベル、効果などなど時にはウンディーネ助けて貰い、“防具”に何を《付与》するのか相談した。
『やっとリザの凄さを理解したか」
「なぁ~」
「お礼は新しい酒で良いぞ」
お酒の力は偉大です、はい。
「それにしてもリザがいて良かったわ」
「はい、明後日からは少し遠出することになってましたから良かったです」
「エテルカールトンだっけ?って事はお供えするのね」
「はい、ちょっと問題になってしまってるので…」
「まぁ、私達ほど強かったから何も問題はないのだけども、新人や中堅あたりは一生懸命に貯めたお金でやっと揃えた冒険道具を取られればたまったものじゃないものね」
本当にその通りで冒険者にとって冒険道具は自分の命を守る為に必要なもの。少しでも生存率を上げ、依頼の達成率を上げ、実力をつけて上のランクを目指す。
その為のお金なら惜しまない人は多い。時には借金する人もいるそう。そして良いものを揃えて次の冒険へと臨むのだ。
それを盗まれたとなれば悔しいとかの次元の話ではなくなってくる。
このままでは無理して冒険をして命を落とす人、冒険者を辞めなくてはならない人も出てくるだろう。
それは何としても阻止したい。
私が商会を始めたのは勿論、お金を稼いで生計を立てる為でもあるけど、一番はこの街に冒険者を集めてダンジョン攻略を進めるためだ。
他の街に比べて圧倒的にダンジョン攻略が進んでいないフローネは皆んなは気付いていないが実は未曾有の危機に面している。
先日やっと【金色の獅子】によって森林ダンジョンの50階層が32年ぶりに攻略されて、更に各地のダンジョンでモンスターハウスが出来てしまったのきっかけに攻略が一気に進み、お陰で少しはその危機を脱したけど、まだまだ危険なのは変わらない。
森林ダンジョンはあれから更に攻略が進んだと聞いたし、深海ダンジョンはウンディーネが主人だから、いざと言う時はお酒で交渉すれば
何とかなるかも知れないけど、現状、煉獄ダンジョンは対策のしようもない。
『アイツは我と違ってアホだからな」
「んなぁ~」
お酒に釣られるウンディーネもどうかと思うけど、とは言わないでおこう。
あなたにおすすめの小説
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった
よっしぃ
ファンタジー
【祝!3/22~25 ホットランキング第1位獲得!】
皆様の熱い応援、本当にありがとうございます!
ファンタジー部門6位獲得しました!感謝です!
【書籍化作家の本気作。まず1話、読んでください】
電車でマナー違反を注意したら、逆ギレされて殴られた。
気がついたら異世界召喚。
だが能力鑑定は「なし」。魔力適性も「なし」。
52歳のおっさんに、異世界は容赦ない。
結論――王都の地下下水道に「廃棄」。
玄湊康太郎。職業、設備管理。趣味、健康管理。
血管年齢は実年齢マイナス20歳。
そんな自慢も、汚物まみれの下水道じゃ何の役にも立たない。
だが、転んだ拍子に起きた「偶然の浄化」が、すべてを変えた。
下水には、地上の連中が気づかない「資源」が眠っている。
捨てられた魔道具。
長年魔素を吸い続けた高純度魔石。
そして、同じく捨てられた元聖女、セシリア。
チート能力なし。異能なし。魔法も使えない。
あるのは、52年分の知識と経験、そして設備屋としてのプロ意識だけ。
汚物を「資源」に変え、捨てられた者たちと共に成り上がる。
スラムから始まる、おっさんの本気の逆転劇。
この作品には、現代の「病気」と「健康」に対する、作者の本気のメッセージが込められています。
魔力は毒である。代謝こそが命である。
軽い気持ちで読み飛ばせる作品ではありません。
でも、だからこそ――まず1話、読んでください。
【最新情報&著者プロフィール】
代表作『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』(オリコンライトノベル部門18位記録)の著者が贈る最新作!
◆ 2月に待望の【第2巻】刊行!
◆ 現在、怒涛の展開となる【第3巻】を鋭意執筆中!
◆ 【コミカライズ企画進行中】!
すでにキャラデザが完成し、3巻発売と同時に連載スタート予定です。絶対的な勢いで駆け上がる本作に、ぜひご期待ください!