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隣国エテルカールトン
挑戦状
彼、ダルマさんは以前は親から引き継いだ洋食店を兄弟三人で切り盛りしていたそう。彼らの作る看板メニューのハンバーグはとても人気で、お店はとても順調で寧ろ忙しくて休みがないくらいだったそう。
そんな忙しくしていたある日、お店の倉庫に忙しいからとついつい放置してしまっていた樽があった。中身は両親が残した液体。両親はコレを常々“隠し味”と言って兄弟達には触らせなかったそう。
両親が突然死んでしまって、お店を続ける事に注力してした兄弟達はその存在をすっかり忘れていたのだとか。
それが『美酒』の始まり。
お店に残っていたのはこのたった一樽だけ。
両親が大切にしていた物だから、出来れば復活させたい。それだけの思いでこれまで両親がどのようにしてその樽の中身を作っていたのか、兄弟達の途切れ途切れの記憶を繋ぎ合わせいった。
初めて完成したそれは両親が残したそれとは比べるまでもなく美味しくはなかったらしい。
そこから何としても美味しいものを作ろうと、お金も時間も沢山かけて必死になって研究し、ついぞ美味しいと思える『美酒』を完成させた。
そこまで至るのに3年が経っていた。
彼らはついに完成させたそれを意気揚々とお供えして、そしてそれは一気に人気になった。
その後誰が呼んだか、『美酒』と呼ばれるようになり、瞬く間に手に入りづらない幻のお酒となった。
彼らは三人必死になって洋食店も続けながら『美酒』を作り続けていたある年。その『美酒』がこれまでに無いほど良い出来の年があった。
三兄弟は喜び、それを最高の出来との謳い文句で売り出した。仕込んだ量はおよそ10トン。並々ならぬ時間と労力とお金を費やして満足のいく量の酒が提供出来るとお互いを讃えていた矢先に事件が起こった。
一夜にしてその10トンの『美酒』がなくなってしまったのだ。
酒を作る為に貯金は使い果たしていた彼らは必死になってお金の工面をしようと懇意にしていた店や商人達にお願いしたが、約束分の『美酒』を卸せなかったことで信用を失っていた事もあり、瞬く間に手のヒラを返され、両親の形見である洋食店もすぐに立ち行かなくなり手放すほかなかった。
そして、その直後に教会がその彼らが手放した店を買い取ったことを知る。
そして信じられない事に店を買い取った次の日から『美酒』の販売を始めたんだとか。それも、彼らが売っていた金額よりも高く。
またお酒がらみか、とは私も流石に思ったよ?
でも、そうなると人一倍やる気になる方々がいるからね。その方がいいのかも。
ね、ノアさん。ウンディーネさん。
「僕らは間違えたのだよ~。両親はあれを外に出さなかったのだよ~。きっと分かってたんだよ~」
「分かってた?」
「教会が悪い事をしてるってことにだよ…」
「ダルマ、具体的どんな事をしてるのか分かるか?」
「うん、僕らは調べたのだよ~。今教会のトップにいるのがグウジ様っていうのだよ~。その人は皆んなから“料理の神様”と呼ばれていて世界各国のありとあらゆる料理を神様にお供えしているのだよ~」
「グウジって人がダルマさんの『美酒』を盗んだって事?」
「盗まれたのは僕らだけじゃないんだよ~。世界中の料理を抑えてるんだよ~」
「抑えてるって?」
「お供えした物は、認められれば神様との契約で悪いことした人に天罰与えるだよ~。でも、それと同時にお供えした人が望めばその人の元へ戻っていくのだよ~」
「ん?それは家紋の承認の事か?」
「家紋じゃなくても戻るだよ~。料理にしても物にしても1番良い物をお供えした人にその権利が与えられるだよ~。僕らのお酒も出来の良い年に盗まれたのだよ~」
「…精霊様の話しと辻褄は合うな」
「…当初よりも問題は大きくなったけどね」
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