223 / 245
隣国エテルカールトン
黒幕
「調子はどうだ、レイナード」
「予定通り。全ては順調に進んでおります」
私の今の状況はかなり良くない。
息子はあの建国祭の件以来、当然だが他国からの評価は著しく下がり、何とか評価を上げようと思ったが、相変わらずの無能で将来は見込めない。
それも、ただの馬鹿なら貴族たちには操りやすい無能王子としての姿を見せて対面構図を演出しながら、その裏から私が操るという完璧な構図が出来ていたはずだった。
だが、あれば馬鹿を通り越した無能だった。
この世界は何もかもが自分の望むままに動くと思っている。だから、自分の理解の範囲から外れたものは見えない、いや、見えないふりをする。そして、見えていないから指摘を受けても自分のせいではないと思い込む。
物が分からないのではない、分かろうとしない。学習しようとしない。己の無能を理解していないから、どんな酷い評価を受けているのかも理解できない。これではもう救い用がない。
お陰で娘ーアルベルティーナに王妃まで丸め込まれ、ミカエルにしてやられる始末。
このままでは私の国が奴らに乗っ取られてしまう。
だが、このまま手を拱いているつもりはない。
次の作戦は必ず成功するだろう。
その為の準備はもうほぼ整った。
「奴らを警戒してお前をエテルカールトンへ送っていなければ、今頃私の地位は盤石のものとなっていただろう。それは悔やまれてならないが、寧ろそのお陰でこの作戦が上手くいくというもの。何も心配する事はない。そうだろう?」
「はい、陛下」
「見せてくれて」
レイナードによって持ち込まれたのは何処にでもありそうな、しかし作りはとても丁寧な大量の革の鞄。
だが、これが此度のダンジョン攻略、引いてはモンスターハウス攻略に一役買っていると言う。
「防具類は今とある冒険者にこちらの名は伏せて依頼を出しております。時期にでも手に入るかと」
「ふん、もしかしたらこちらの作戦の方が先になるかもしれないなぁ?そうなれば防具など無くとも問題ない」
「出来るだけ早く進めます」
「あぁ、頼んだぞ」
…阿呆どもめ。自分達は逃げたつもりでいるようだが、それが己の首を縛りに行く事になるとはつゆ程も思っていないのだろうな…!
まさに滑稽!それで私の気も少しは晴れると言うもの。
「…しかし、良くあの男を動かせたな。アイツは警戒心が強い。金だけで簡単に動くとは思えんがな」
「それはとても簡単な事です。警戒心が強いのならそれを利用するまで。あの男は常に元国王一派を恐れております。その情報をチラつかせて自らやる様に誘導したのですよ」
「ハハハ!全くお前は優秀な奴だ!だか、まだ足りない。これではまだまだ足りないのだ!」
まずは冒険者共がこれ以上ダンジョン攻略を進めて勢い付くのを止める。そして、この魔道具を使って我々が攻略してやるのだ。
だが、それだけでは私の気が済まない。
奴らの大切なものを奪い取り、更なる絶望を与える!そして奴らは涙ながらに地を這いつくばり、己の愚かさを悔いて私にこう懇願するのだ。
———助けてください お願いします
と!
アイツらはそれはそれは必死に私に命乞いをする事だろう。私は奴らのその姿を見るまでは決してこの怒りを収めることは出来ないし、私の気が晴れることも決してないだろう。
「おい、レイナード。例の“アレ”の手配も終わったんだろうな?」
「はい、陛下。…此方でございます」
「こ、これが…あの…!…実験も済んだんだろうな?」
「もちろんで御座います」
「…ふ、ふふふ、ふはははは!これさえ有れば…これさえッ!……あー、実に楽しみ過ぎて今夜は眠れなさそうだ…。目を閉じれば瞼の裏にアイツらのツラが醜く歪んで行く様が目に浮かんでくるからなぁ…!」
あなたにおすすめの小説
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった
よっしぃ
ファンタジー
【祝!3/22~25 ホットランキング第1位獲得!】
皆様の熱い応援、本当にありがとうございます!
ファンタジー部門6位獲得しました!感謝です!
【書籍化作家の本気作。まず1話、読んでください】
電車でマナー違反を注意したら、逆ギレされて殴られた。
気がついたら異世界召喚。
だが能力鑑定は「なし」。魔力適性も「なし」。
52歳のおっさんに、異世界は容赦ない。
結論――王都の地下下水道に「廃棄」。
玄湊康太郎。職業、設備管理。趣味、健康管理。
血管年齢は実年齢マイナス20歳。
そんな自慢も、汚物まみれの下水道じゃ何の役にも立たない。
だが、転んだ拍子に起きた「偶然の浄化」が、すべてを変えた。
下水には、地上の連中が気づかない「資源」が眠っている。
捨てられた魔道具。
長年魔素を吸い続けた高純度魔石。
そして、同じく捨てられた元聖女、セシリア。
チート能力なし。異能なし。魔法も使えない。
あるのは、52年分の知識と経験、そして設備屋としてのプロ意識だけ。
汚物を「資源」に変え、捨てられた者たちと共に成り上がる。
スラムから始まる、おっさんの本気の逆転劇。
この作品には、現代の「病気」と「健康」に対する、作者の本気のメッセージが込められています。
魔力は毒である。代謝こそが命である。
軽い気持ちで読み飛ばせる作品ではありません。
でも、だからこそ――まず1話、読んでください。
【最新情報&著者プロフィール】
代表作『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』(オリコンライトノベル部門18位記録)の著者が贈る最新作!
◆ 2月に待望の【第2巻】刊行!
◆ 現在、怒涛の展開となる【第3巻】を鋭意執筆中!
◆ 【コミカライズ企画進行中】!
すでにキャラデザが完成し、3巻発売と同時に連載スタート予定です。絶対的な勢いで駆け上がる本作に、ぜひご期待ください!
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。