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地球に降り立ってから早くもひと月が経とうとしている。辺りはしんと静まり返り、汚染された空気で太陽の光は遮られ、風も生暖かい。何も無い世界。生きていけない世界。そこに一人佇む。
研究者達の間では、SS(second soldier)と名付けられた。様々なものを試してきたがうまく行ったことはなく、二番目の戦士として地球に送り込まれたSS‐O。O型以外にも数人実験(地球と同じ環境の部屋で数カ月過ごすというもの)はしたもののうまく行ったのはO型だけだった。
「……っ」
時折、頭痛と共に残像が頭の中を駆け巡り、大事な何かを見落としてる気になる。自分がどうしてここに来たかったのか、自分の本当の名前は何だったのか。今、何をすべきなのか。
「本部より、SS‐O型。応答せよ」
「…こちらSS‐O。どうかされましたか」
「地球の表面には恐らく何も生息していないと思われる。そこで、我々が使っていた研究所の地下に行ってほしい」
言葉と同時に脳内に場所情報が通知される。
「そこに我々の研究を進める手がかりが残っているかもしれない。よろしく頼む」
ここからさほど遠くない場所が赤く点滅している。地面を蹴れば、一飛びで行けるが、時間は有り余っている。楽しくもない景色を横目に歩き出す。
途中、宇宙の研究所でよく見たものを見つけた。葬りの時に使われる言わば棺桶。どんな感情も切り離されたはずの心臓が一際大きく跳ねた。
「エイメン」
小さく呟いてから少し蓋をずらしてみる。中は空っぽで何も無かった。安堵のようなため息が漏れる。感情は制御されているはずだが、そんな事を思いつく間もなくあたり一面に同じような箱、そしてよく見る自分の身体にも刻まれたマークが目に飛び込んできた。
「っ…!」
思わず後ずさる。空っぽなのは、恐らく落ちてきた衝撃で中身が飛び出したのだろう。自分と同じように実験が行われ始めたのは数年前。その初期段階で使い物にならないからと葬りと名乗って捨てられた人たちの、残骸。
何かの縁か分からないが、皆地球に帰って来たがったのだろうと思う事にした。この事は本部に伝えないほうが良さそうだ。本部が必要な情報しか集めない主義で、居る場所や生存しているかどうかは確認されてるとはいえ、思考や見たものをすべて管理されているわけでないことは助かった。
「ひどいと思うのは、私が元、人間だからでしょうか」
誰に聞かれるでもないその言葉は湿った空気の中に紛れて消えた。箱や触れると粉々になってしまうような亡くなった人達を目に映る限り丁寧に埋葬した。
気を取り直して指定された場所へ、今度は迷わず地面を蹴って飛び立った。
・next story・
研究者達の間では、SS(second soldier)と名付けられた。様々なものを試してきたがうまく行ったことはなく、二番目の戦士として地球に送り込まれたSS‐O。O型以外にも数人実験(地球と同じ環境の部屋で数カ月過ごすというもの)はしたもののうまく行ったのはO型だけだった。
「……っ」
時折、頭痛と共に残像が頭の中を駆け巡り、大事な何かを見落としてる気になる。自分がどうしてここに来たかったのか、自分の本当の名前は何だったのか。今、何をすべきなのか。
「本部より、SS‐O型。応答せよ」
「…こちらSS‐O。どうかされましたか」
「地球の表面には恐らく何も生息していないと思われる。そこで、我々が使っていた研究所の地下に行ってほしい」
言葉と同時に脳内に場所情報が通知される。
「そこに我々の研究を進める手がかりが残っているかもしれない。よろしく頼む」
ここからさほど遠くない場所が赤く点滅している。地面を蹴れば、一飛びで行けるが、時間は有り余っている。楽しくもない景色を横目に歩き出す。
途中、宇宙の研究所でよく見たものを見つけた。葬りの時に使われる言わば棺桶。どんな感情も切り離されたはずの心臓が一際大きく跳ねた。
「エイメン」
小さく呟いてから少し蓋をずらしてみる。中は空っぽで何も無かった。安堵のようなため息が漏れる。感情は制御されているはずだが、そんな事を思いつく間もなくあたり一面に同じような箱、そしてよく見る自分の身体にも刻まれたマークが目に飛び込んできた。
「っ…!」
思わず後ずさる。空っぽなのは、恐らく落ちてきた衝撃で中身が飛び出したのだろう。自分と同じように実験が行われ始めたのは数年前。その初期段階で使い物にならないからと葬りと名乗って捨てられた人たちの、残骸。
何かの縁か分からないが、皆地球に帰って来たがったのだろうと思う事にした。この事は本部に伝えないほうが良さそうだ。本部が必要な情報しか集めない主義で、居る場所や生存しているかどうかは確認されてるとはいえ、思考や見たものをすべて管理されているわけでないことは助かった。
「ひどいと思うのは、私が元、人間だからでしょうか」
誰に聞かれるでもないその言葉は湿った空気の中に紛れて消えた。箱や触れると粉々になってしまうような亡くなった人達を目に映る限り丁寧に埋葬した。
気を取り直して指定された場所へ、今度は迷わず地面を蹴って飛び立った。
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