果に存在するは何の花

鈴江直央

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6.

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 自己修正能力をなんとか駆使して、やっとの思いで警告音が頭の中から消えた。そんなSS-Oを吹は軽々と抱きかかえ、一度も止まることなく歩を進めている。

「何処へ行くのですか?」
「キミの家族がなぜこういう決断に至ったか分かるところ」

 吹は何でもお見通しかのように語る。そして相手を服従させてしまう。確かに威圧的であるし、時折話すことは理解できないが、不思議と不愉快にはならなかった。

「SS-O型。聞こえるか?」
「こちらSS-O。先程は失礼致しました。ほぼ修復し終わっていますので問題ありません」
「そうか。それならば良かった。ところで、君は今一人なのか?」

 思わず吹を仰ぎ見る。一度気を失ったせいで本部は焦っているのだろう。その間に移動してるのだから尚更だ。

「やぁ。父さん」

 吹は臆することなく話し始めた。

「……お前は…」

 本部の人間が音だけでわかるほど狼狽えた。

「僕を探しに来たんだろ?オウ…を使って」
「長。吹は生命反応がありませんでした、故、報告が遅くなり申し訳ありません」
「いや…いい。君は悪くない」
「そうだよね。全てこの子のせいにするのは良くないよね。悪いのは父さん達だ」

 三人の会話が微妙に噛み合わず、不思議な気分に陥った。

「吹、長を知っているのですか?」
「知ってるよ。僕は何もかも知っている」

 吹はにこりとSS-Oに笑いかけると通信を切るよう言った。SS-Oは一瞬何かを言いかけて、丁寧に挨拶をして通信を切った。

「いいかい?君は思い出すと言った。それに集中して。通信も出なくて良い」
「…分かりました」

 今までどこか余裕のあった吹の顔にちらりと焦りが見える。SS-Oには彼がどうして何を思っているのか分かりようがなく、言われた通り自分の思考に集中する事にした。
 まず何から思い出せばいいのか。名前だろうか。ぼんやりとした映像が浮かび、頭痛が起きるだけでもどかしい。

『お父さん。まずは私を試して。失敗してもいい。お母さんのためよ』

 ふとはっきりと聞こえたその声は、自分のもの。

『私が強くなれば、私の細胞をお母さんに移植することもできる。お願い』

 家族を守るために決めたこと。父も母も失いたくなかったから決めたこと。父が渋い顔をしていた。ステーション内で囁かれる噂話に苦しんでいる事も、知っている。

『絶対に負けないから、お父さんも負けないで。…忘れても思い出す。私は二人の子どもだから』

 頑張って笑って見せた。震えているのを悟られないように強く握りしめた手を隠し。
 私おうか、桜花は冷たいベッドに横になった。

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