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112章
元魔王様と新たなる国宝 12
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アルティンに連られて皆の視線もジルに向く。
「その条件にジルが関係しているのか?」
「そうだ。」
ダングスの言葉を肯定しながら大きく頷く。
「我が?面倒事は御免だぞ?」
「一瞬で終わる。真剣を手に取ってくれればいいだけだ。」
「手に取るとどうなるの?」
「真剣がジルを主と認めればその者以外には強化を与えなくなる。ただの重たい剣ならクライが起こした様な事をしてまで欲しがる者もいないだろう?」
「成る程。」
真剣の主であるエンペラーナは既にこの世にいない。
真剣が新しい主としてジルを選べば、他の者に強化を施さなくなる。
そうなれば国宝として飾っていて盗まれたりしても、逆に扱いに困る剣となるのだ。
「何故我が真剣に選ばれると思っているんだ?」
「アルティンがわしに言ったのだ。自分よりも強そうだと感じた者が現れた時に真剣を持たせてくれと。真剣は真の強者しか認めないらしいからな。」
「それでジルか。」
エンペラーナは最初のSランク冒険者になった男だ。
真剣による強化も大きかったかもしれないが、エンペラーナ自身もそれなりに実力はあった筈である。
それを上回る程の実力者となるとかなり絞られるが、アルティンはジルならば超えていると確信したらしい。
「それってジルの前に他の人が持っても大丈夫?」
せっかくエンペラーナの真剣とご対面出来るのだ。
主に選ばれるかどうかは置いておいて触れてみたい。
「問題無いぞ。嬢ちゃんも試してみるといい。」
「やった!エンペラーナの真剣を直接触れるなんて感激!」
「だが振り回すのは止めてくれよ?真剣が主を決めるまでは誰でも強化してしまうからな。」
そこは偽物と同じだ。
しかし強化具合で言えば偽物を遥かに上回る。
強化対象も素人のクライと高ランク冒険者と同等の実力を持つルルネットでは雲泥の差だ。
間違い無くSランク相当の実力となるだろう。
「それなら俺も試させてもらうぞ。ジルが認められなくても俺が認められれば問題無いだろう?」
「そうなるな。」
「アバント公爵家の現当主として認められてみせる。」
ダングスが気合いを入れている。
国宝として飾る予定なのでアバント公国にずっと滞在しているダングスが認められるのが一番ではある。
しかしエンペラーナと同等以上の実力を持っていて、真剣に認められるかは分からない。
「その真剣に誰かが認められれば偽物の様に国宝として飾れると言うか。」
「そうだ、真剣はエンペラーナと言う主を失っているからな。同等以上の実力者で無ければ真剣は認めさせられない。わしがこの長い年月で見てきた中でジルが最も可能性があると思った。」
イストール戦武祭でSランク冒険者達を薙ぎ倒して優勝した実力も見事なものだった。
他にも強化されたSランク達やファントムリーパーをも上回る実力にジルしかいないと思わされたのである。
「ならばジャミール王国に帰る前に試してみるとするか。」
真剣を握る程度であれば大した時間も掛からないだろう。
「真剣はどこに隠されているんだ?」
「首都の近くにある湖だ。」
「湖って私達にお勧めしてくれた場所?」
「そうだ。」
なんと真剣は意外にも近くに隠されていた。
その湖と言えばジル達も直接訪れて釣りをしている。
「まさかそんなところに隠してあるなんて。」
「全然気付かなかったのう。」
「湖の底に沈められているからな。」
「早速向かうぞ。」
ジル達は真剣が隠されている湖へと向かった。
この話しが公になって人が押し寄せても困るので、外ではあまり話さずに移動して湖に到着した。
「この湖にエンペラーナの真剣があるのね!」
「どうやって取り出すんだ?」
湖はかなり広くて深い。
そんな湖の中から剣一本を探し出すなんて至難の業だ。
「誰か潜って探して取ってこれないか?」
「こんな深い湖に潜れるか!」
「正確な場所だった分からないじゃない!」
「そんな事をいわれてもな。昔の事だからわしもどの辺りに沈めたかは覚えていない。」
ダングスとルルネットに責められるも悪びれた様子も無くアルティンが言う。
「仕方無い、我が取ってやろう。」
ジルは溜め息を吐きつつ目を瞑る。
「これは何をしているんだ?」
「魔法を使っているのよ。」
「ジル殿は複数の魔法適性を持っておるからのう。湖の底にある剣であろうと簡単に引き上げられるのじゃ。」
「さすがだな。」
今は空間把握を使用して認識範囲を湖の底まで広げている。
一先ず剣を見付けない事には始まらない。
「これか、見つけたぞ。」
湖の底の更に奥、沈澱した泥の中にエンペラーナの剣と思わられる物を発見した。
「おおお!」
「ジル、早く早く!」
「分かっている。」
重力魔法でエンペラーナの剣を浮上させる。
無限倉庫に収納して取り出すのでもいいのだが、誤って触れてしまう事を考えればこちらの方が安全だ。
「もう直ぐ出てくるぞ。」
「ワクワク!」
ルルネットだけで無く皆の視線が湖に固定される。
すると湖の水面を揺らして一本の剣が浮かび上がってきた。
「こ、これが。」
「なんて存在感なの。」
「間違い無い。この剣こそ、わしがエンペラーナに最初に打ってやった真剣だ。」
湖の中から現れた剣を見てアルティンが呟くのだった。
「その条件にジルが関係しているのか?」
「そうだ。」
ダングスの言葉を肯定しながら大きく頷く。
「我が?面倒事は御免だぞ?」
「一瞬で終わる。真剣を手に取ってくれればいいだけだ。」
「手に取るとどうなるの?」
「真剣がジルを主と認めればその者以外には強化を与えなくなる。ただの重たい剣ならクライが起こした様な事をしてまで欲しがる者もいないだろう?」
「成る程。」
真剣の主であるエンペラーナは既にこの世にいない。
真剣が新しい主としてジルを選べば、他の者に強化を施さなくなる。
そうなれば国宝として飾っていて盗まれたりしても、逆に扱いに困る剣となるのだ。
「何故我が真剣に選ばれると思っているんだ?」
「アルティンがわしに言ったのだ。自分よりも強そうだと感じた者が現れた時に真剣を持たせてくれと。真剣は真の強者しか認めないらしいからな。」
「それでジルか。」
エンペラーナは最初のSランク冒険者になった男だ。
真剣による強化も大きかったかもしれないが、エンペラーナ自身もそれなりに実力はあった筈である。
それを上回る程の実力者となるとかなり絞られるが、アルティンはジルならば超えていると確信したらしい。
「それってジルの前に他の人が持っても大丈夫?」
せっかくエンペラーナの真剣とご対面出来るのだ。
主に選ばれるかどうかは置いておいて触れてみたい。
「問題無いぞ。嬢ちゃんも試してみるといい。」
「やった!エンペラーナの真剣を直接触れるなんて感激!」
「だが振り回すのは止めてくれよ?真剣が主を決めるまでは誰でも強化してしまうからな。」
そこは偽物と同じだ。
しかし強化具合で言えば偽物を遥かに上回る。
強化対象も素人のクライと高ランク冒険者と同等の実力を持つルルネットでは雲泥の差だ。
間違い無くSランク相当の実力となるだろう。
「それなら俺も試させてもらうぞ。ジルが認められなくても俺が認められれば問題無いだろう?」
「そうなるな。」
「アバント公爵家の現当主として認められてみせる。」
ダングスが気合いを入れている。
国宝として飾る予定なのでアバント公国にずっと滞在しているダングスが認められるのが一番ではある。
しかしエンペラーナと同等以上の実力を持っていて、真剣に認められるかは分からない。
「その真剣に誰かが認められれば偽物の様に国宝として飾れると言うか。」
「そうだ、真剣はエンペラーナと言う主を失っているからな。同等以上の実力者で無ければ真剣は認めさせられない。わしがこの長い年月で見てきた中でジルが最も可能性があると思った。」
イストール戦武祭でSランク冒険者達を薙ぎ倒して優勝した実力も見事なものだった。
他にも強化されたSランク達やファントムリーパーをも上回る実力にジルしかいないと思わされたのである。
「ならばジャミール王国に帰る前に試してみるとするか。」
真剣を握る程度であれば大した時間も掛からないだろう。
「真剣はどこに隠されているんだ?」
「首都の近くにある湖だ。」
「湖って私達にお勧めしてくれた場所?」
「そうだ。」
なんと真剣は意外にも近くに隠されていた。
その湖と言えばジル達も直接訪れて釣りをしている。
「まさかそんなところに隠してあるなんて。」
「全然気付かなかったのう。」
「湖の底に沈められているからな。」
「早速向かうぞ。」
ジル達は真剣が隠されている湖へと向かった。
この話しが公になって人が押し寄せても困るので、外ではあまり話さずに移動して湖に到着した。
「この湖にエンペラーナの真剣があるのね!」
「どうやって取り出すんだ?」
湖はかなり広くて深い。
そんな湖の中から剣一本を探し出すなんて至難の業だ。
「誰か潜って探して取ってこれないか?」
「こんな深い湖に潜れるか!」
「正確な場所だった分からないじゃない!」
「そんな事をいわれてもな。昔の事だからわしもどの辺りに沈めたかは覚えていない。」
ダングスとルルネットに責められるも悪びれた様子も無くアルティンが言う。
「仕方無い、我が取ってやろう。」
ジルは溜め息を吐きつつ目を瞑る。
「これは何をしているんだ?」
「魔法を使っているのよ。」
「ジル殿は複数の魔法適性を持っておるからのう。湖の底にある剣であろうと簡単に引き上げられるのじゃ。」
「さすがだな。」
今は空間把握を使用して認識範囲を湖の底まで広げている。
一先ず剣を見付けない事には始まらない。
「これか、見つけたぞ。」
湖の底の更に奥、沈澱した泥の中にエンペラーナの剣と思わられる物を発見した。
「おおお!」
「ジル、早く早く!」
「分かっている。」
重力魔法でエンペラーナの剣を浮上させる。
無限倉庫に収納して取り出すのでもいいのだが、誤って触れてしまう事を考えればこちらの方が安全だ。
「もう直ぐ出てくるぞ。」
「ワクワク!」
ルルネットだけで無く皆の視線が湖に固定される。
すると湖の水面を揺らして一本の剣が浮かび上がってきた。
「こ、これが。」
「なんて存在感なの。」
「間違い無い。この剣こそ、わしがエンペラーナに最初に打ってやった真剣だ。」
湖の中から現れた剣を見てアルティンが呟くのだった。
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