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98章
元魔王様と新たなる刺客 11
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アピトが持つ小瓶は見覚えがあり過ぎる。
邪神教と言うのもあって間違い無いだろう。
「強化薬か。」
「大正解!」
服用した者の命を削る代わりに強大な力を手にする事が出来る薬だ。
アピトは小瓶の蓋を開けて丸薬を口に入れようとする。
「あれ?止めないの?」
静観しているジルに尋ねる。
「強くなっても命を落とすのであれば我からすると得しかないからな。」
強化薬の効果で一時的に強くなってしまうが少し耐え凌げば済む話しだ。
それくらいの余力はある。
「ふーん、それじゃあ遠慮無く。」
ジルが止めないのでアピトは躊躇無く強化薬を飲み込んだ。
「くはあー!効いてきたー!」
アピトが強化薬を飲み込むと魔力量が爆発的に増えて、戦闘による傷や火傷が塞がっていく。
「それじゃあいくよ!」
アピトがハンマーを高く掲げてジル目掛けて振り下ろしてくる。
合わせる様に魔装した銀月で受け止める。
するとジルの身体が地面に沈む程の強烈な威力が伸し掛かってくる。
「どうかなどうかな?私の強化薬を使った力は!」
アピトが腕に力を入れてどんどんジルの身体を地面に押し込んでくる。
膂力も相当高まっているのが分かる。
「悠長に話している余裕があるのか?」
強化薬の効果は長く無い。
こうしている間もアピトの寿命はどんどん削られている筈だ。
「戦いは楽しまないと損ってね!」
「付き合うつもりは無い。アイシクルエンチャント!」
ジルが氷結魔法で銀月を強化する。
得意の氷結魔法を使用した事でアピトのハンマーをも押し返す。
「わお!今の私と互角とはね。本当に人族なのか疑わしいよ。」
「こちらの台詞だ。」
人族離れした二人が刀とハンマーをぶつけ合う。
常人では入り込む隙が無い高レベルの戦闘だ。
しかしジルが氷結魔法を使用した事で戦況は傾いていた。
アピトの持つハンマーが徐々に凍っていったのだ。
「ふっ!」
「あー!私のハンマーが!」
「やっと壊れたか。」
ジルの一撃によってハンマーが折れる。
アピトの身体も徐々に凍ってきてはいるのだが全く寒さを感じさせない。
なのでアピトでは無く武器の方を先に破壊する事にしたのだ。
「なーんちゃってね!ちゃんと予備はありますよ!」
「ちっ、面倒な。」
やっと壊したかと思えば同じ様なハンマーを再び取り出す。
また初めからやり直しの様だ。
それからもアピトとの一騎打ちを続けていると、ついにジルの体力が無くなってきた。
「はぁはぁ。」
強化薬を飲んだアピトとの戦闘は想像よりも遥かに体力を消耗させられた。
派手な魔法を使った事もあり、魔力的にもかなり厳しい。
「あれれ?さすがのイレギュラーもお疲れみたいだね?」
アピトはまだまだ余裕の表情である。
しかしそれはおかしい事だ。
「…あれは強化薬ではないのか?」
強化薬を飲んだのであれば、その時間を耐えるくらいの余裕はあると考えていた。
しかしどれだけ待ってもアピトが辛そうな表情を浮かべる事は無かった。
「私が中々死なないから不思議なんだね?まあ、ここでイレギュラーが死ぬとしても教えてあげないけど。」
「殺されてやるつもりは無い。」
限界が近いが諦めるつもりは無い。
ジルが一人で戦っていたからこそ、仲間達の回復も済んでいるのだ。
「大技でも放つつもり?させないよー!」
「フォルトゥナ!」
ジルが最後の大技を放つと予想したアピトが突っ込んでくる。
その直後地面に魔法陣が浮かび上がりアピトも範囲内に入る。
「っ!?」
フォルトゥナが攻撃態勢を取っているのを見てアピトは急いで範囲外に脱出しようとする。
どうやらフォルトゥナの実力も把握しているらしい。
しかし真の狙いは別にあった。
「引っ掛かりましたね。」
フォルトゥナに攻撃の意思は無く、ジルから注意を逸らすのが目的だった。
「抜刀術・断界!」
「うあっ!?」
ジルが残りの魔力を使った必殺の居合いをアピトに放つ。
フォルトゥナが注意を引いてくれたおかげで防御も間に合わず、その身体を真っ二つに分断する事に成功した。
「そ、そんな。」
「身体を分かたれてまだ生きているのか。本当にしぶとい奴だ。だが光魔法でも治せないだろう。」
アピトの身体の切断面は銀月の氷結魔法による強化が残っていた為どちらも氷漬けになっている。
これでは繋がる事は出来無い。
「くー、イレギュラーは本当にイレギュラーだね。まさか強化薬を飲んだ私を超えるなんて。次はもっと強くなって現れるとしようかな。」
「次だと?」
「また会えるのを楽しみにしてるよ。それじゃあね。」
不穏な台詞を残したアピトの身体から紫色の煙が噴き出してくる。
明らかに身体に良い色とは思えない。
「ちっ、毒か。」
「ジル、早く逃げましょう!」
「ジル様、こっちです!」
レーテルの召喚していたワイバーンに飛び乗り、四人で空へと離脱する。
下では煙により周囲の木々が急速に枯れていくので間一髪だった。
「村までは届かんじゃろうか?」
「少し様子を見ていきましょうか。」
空で待機して危険な煙が無くなるのを見届ける。
周囲の木々や草花を枯らしはしたが、直ぐに霧散して無くなった。
「大丈夫みたいだな。」
「でもこれならアピトとか言う女も無事じゃ済まないわよね?ジル相手に相当戦えていたけど。」
「凄く強かったですよね。」
強化薬を使用する前から人族とは思えない強さだった。
それに得体の知れない力も有している様であった。
「その事だがまだ安心は出来無さそうだ。」
「え?何で?」
「また会えるのを楽しみにしていると言っていてな。何かしらの手段で生き残っている様だ。」
「えー!?あんな状態から生き残れるの!?」
ジルに身体を真っ二つにされ、強化薬による寿命の消費もあった。
それでもアピトの様子から生きているのだろうと思われる。
「死者を甦らせる術でも邪神教は持っておるのじゃろうか。」
「少なくても私がいた時には無かったけど。」
「まあ、今直ぐと言う訳では無いだろう。だが各々警戒はしておくとしよう。」
ジル達はアピトとの戦闘を終えて村へと戻っていった。
邪神教と言うのもあって間違い無いだろう。
「強化薬か。」
「大正解!」
服用した者の命を削る代わりに強大な力を手にする事が出来る薬だ。
アピトは小瓶の蓋を開けて丸薬を口に入れようとする。
「あれ?止めないの?」
静観しているジルに尋ねる。
「強くなっても命を落とすのであれば我からすると得しかないからな。」
強化薬の効果で一時的に強くなってしまうが少し耐え凌げば済む話しだ。
それくらいの余力はある。
「ふーん、それじゃあ遠慮無く。」
ジルが止めないのでアピトは躊躇無く強化薬を飲み込んだ。
「くはあー!効いてきたー!」
アピトが強化薬を飲み込むと魔力量が爆発的に増えて、戦闘による傷や火傷が塞がっていく。
「それじゃあいくよ!」
アピトがハンマーを高く掲げてジル目掛けて振り下ろしてくる。
合わせる様に魔装した銀月で受け止める。
するとジルの身体が地面に沈む程の強烈な威力が伸し掛かってくる。
「どうかなどうかな?私の強化薬を使った力は!」
アピトが腕に力を入れてどんどんジルの身体を地面に押し込んでくる。
膂力も相当高まっているのが分かる。
「悠長に話している余裕があるのか?」
強化薬の効果は長く無い。
こうしている間もアピトの寿命はどんどん削られている筈だ。
「戦いは楽しまないと損ってね!」
「付き合うつもりは無い。アイシクルエンチャント!」
ジルが氷結魔法で銀月を強化する。
得意の氷結魔法を使用した事でアピトのハンマーをも押し返す。
「わお!今の私と互角とはね。本当に人族なのか疑わしいよ。」
「こちらの台詞だ。」
人族離れした二人が刀とハンマーをぶつけ合う。
常人では入り込む隙が無い高レベルの戦闘だ。
しかしジルが氷結魔法を使用した事で戦況は傾いていた。
アピトの持つハンマーが徐々に凍っていったのだ。
「ふっ!」
「あー!私のハンマーが!」
「やっと壊れたか。」
ジルの一撃によってハンマーが折れる。
アピトの身体も徐々に凍ってきてはいるのだが全く寒さを感じさせない。
なのでアピトでは無く武器の方を先に破壊する事にしたのだ。
「なーんちゃってね!ちゃんと予備はありますよ!」
「ちっ、面倒な。」
やっと壊したかと思えば同じ様なハンマーを再び取り出す。
また初めからやり直しの様だ。
それからもアピトとの一騎打ちを続けていると、ついにジルの体力が無くなってきた。
「はぁはぁ。」
強化薬を飲んだアピトとの戦闘は想像よりも遥かに体力を消耗させられた。
派手な魔法を使った事もあり、魔力的にもかなり厳しい。
「あれれ?さすがのイレギュラーもお疲れみたいだね?」
アピトはまだまだ余裕の表情である。
しかしそれはおかしい事だ。
「…あれは強化薬ではないのか?」
強化薬を飲んだのであれば、その時間を耐えるくらいの余裕はあると考えていた。
しかしどれだけ待ってもアピトが辛そうな表情を浮かべる事は無かった。
「私が中々死なないから不思議なんだね?まあ、ここでイレギュラーが死ぬとしても教えてあげないけど。」
「殺されてやるつもりは無い。」
限界が近いが諦めるつもりは無い。
ジルが一人で戦っていたからこそ、仲間達の回復も済んでいるのだ。
「大技でも放つつもり?させないよー!」
「フォルトゥナ!」
ジルが最後の大技を放つと予想したアピトが突っ込んでくる。
その直後地面に魔法陣が浮かび上がりアピトも範囲内に入る。
「っ!?」
フォルトゥナが攻撃態勢を取っているのを見てアピトは急いで範囲外に脱出しようとする。
どうやらフォルトゥナの実力も把握しているらしい。
しかし真の狙いは別にあった。
「引っ掛かりましたね。」
フォルトゥナに攻撃の意思は無く、ジルから注意を逸らすのが目的だった。
「抜刀術・断界!」
「うあっ!?」
ジルが残りの魔力を使った必殺の居合いをアピトに放つ。
フォルトゥナが注意を引いてくれたおかげで防御も間に合わず、その身体を真っ二つに分断する事に成功した。
「そ、そんな。」
「身体を分かたれてまだ生きているのか。本当にしぶとい奴だ。だが光魔法でも治せないだろう。」
アピトの身体の切断面は銀月の氷結魔法による強化が残っていた為どちらも氷漬けになっている。
これでは繋がる事は出来無い。
「くー、イレギュラーは本当にイレギュラーだね。まさか強化薬を飲んだ私を超えるなんて。次はもっと強くなって現れるとしようかな。」
「次だと?」
「また会えるのを楽しみにしてるよ。それじゃあね。」
不穏な台詞を残したアピトの身体から紫色の煙が噴き出してくる。
明らかに身体に良い色とは思えない。
「ちっ、毒か。」
「ジル、早く逃げましょう!」
「ジル様、こっちです!」
レーテルの召喚していたワイバーンに飛び乗り、四人で空へと離脱する。
下では煙により周囲の木々が急速に枯れていくので間一髪だった。
「村までは届かんじゃろうか?」
「少し様子を見ていきましょうか。」
空で待機して危険な煙が無くなるのを見届ける。
周囲の木々や草花を枯らしはしたが、直ぐに霧散して無くなった。
「大丈夫みたいだな。」
「でもこれならアピトとか言う女も無事じゃ済まないわよね?ジル相手に相当戦えていたけど。」
「凄く強かったですよね。」
強化薬を使用する前から人族とは思えない強さだった。
それに得体の知れない力も有している様であった。
「その事だがまだ安心は出来無さそうだ。」
「え?何で?」
「また会えるのを楽しみにしていると言っていてな。何かしらの手段で生き残っている様だ。」
「えー!?あんな状態から生き残れるの!?」
ジルに身体を真っ二つにされ、強化薬による寿命の消費もあった。
それでもアピトの様子から生きているのだろうと思われる。
「死者を甦らせる術でも邪神教は持っておるのじゃろうか。」
「少なくても私がいた時には無かったけど。」
「まあ、今直ぐと言う訳では無いだろう。だが各々警戒はしておくとしよう。」
ジル達はアピトとの戦闘を終えて村へと戻っていった。
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