番なんて知りません!

桜月みやこ

文字の大きさ
38 / 81
第一部

37. 側にいてくれたら、それだけで充分 *

しおりを挟む
「お洋服が………」

結局ろくに庭の散策など出来ずにクードに抱えられて部屋に戻ったセヴィは、するするとレースワンピースを脱がされたところでそうポツリとつぶやいた。
スカートを捲り上げていたものの、抱えられた時についてしまったらしいあれやこれやだ。
不思議そうにしているクードに、セヴィの瞳が見る間に潤み始める。

「セ、セヴィ??」
「シェーラさんが……っ可愛いお洋服、着させてくれたのに……っ汚しちゃっ……」

ふぇ、と泣きそうになっているセヴィに、クードは慌ててセヴィの頬を包み込む。

「服は洗えば大丈夫だろう?何なら新しい服を買えば良い。ドレスでもアクセサリーでも、何だって好きなだけ買ってやる──だから泣くな、セヴィ」

一生懸命涙を拭うクードの手を掴んで、セヴィはふるふると首を振る。

「シェーラさんもクードさまも……どうしてすぐに新しいものを買おうとするんですか?」

くすんと鼻を鳴らしたセヴィに、クードは一瞬虚を突かれたような顔をする。

「どうして、と言われても……俺はセヴィに何でもしてやりたい。セヴィが笑ってくれるなら俺の全てを捧げる。セヴィの幸せの為なら例え命を賭す事になろうと構わな──」
「そんなの嫌です。物だって……い、命、だなんて……そんなの私、ちっとも欲しくありません」

涙をいっぱい溜めて、セヴィは怒ったような顔でクードを見上げる。

「私はずっと兎族の村で育って、家族でお野菜を作って、冬には母さんや姉さんたちと編み物や刺繍をして、それを売って暮らしていました。貧しくもないけど裕福でもなくて……普通、で……。だから、物はなんだって、大事にしたいんです。このお屋敷の皆さんからしたら、貧乏くさい事なのかもしれないけど……」
「いや、そんな事は……」
「それに私もう、クードさまからたくさん頂いてます。好きって気持ちも、愛しいって伝えてくれる熱も、私がおんなじだけ返せるのか分からないくらい、たくさんたくさん、頂いてます──だから、物とか、要りません。クードさまが側にいてくれたら、それだけで充分で……きゃあっ!?」

突然クードにがばっと抱き上げられて、珍しく少し乱暴に寝台の上に寝かされる。

「クードさま……???」
「すまない、セヴィ──挿れるぞ」
「え……?あっ……きゃんっ!」

足を大きく開かされて、クードの肩に足を乗せられたと思ったらずんっと一気に貫かれて、セヴィは一瞬息が止まってしまった。

「愛してる……セヴィ……セヴィ……っ」

うわ言のようにセヴィの名を繰り返されて、まだ混乱したまま、セヴィはクードに向かって手を伸ばした。
その手をシーツに縫い留められてがんがんと抽挿を繰り返される。

「あっ……くーどさ……あぁっ、あっ、はげしっ……あっ、あっ、あっ」

自分がどこにいるのかも分からなくなるくらい激しく揺さぶられて、セヴィは握られているクードの手を必死で握り返す。
激しすぎる抽挿に、とめどなく溢れるセヴィの蜜がぐちゅぐちゅと泡立って、二人の隙間から溢れてセヴィの肌を伝い落ちていく。

「すきっ……くーどさま……っすき、で……あぁっ、いっちゃ……っも、イっちゃう……!」
「セヴィ、一緒に───!」

セヴィの中でクードがどくんと大きさを増したと思ったら、膝が寝台についてしまいそうなくらい持ち上げられて、そして苦しいくらいの力で抱き締められる。

「ああぁぁぁ──っ!!」

ぎゅうっとクードの首に巻き付いたセヴィの腕に力が籠って、そうしてセヴィの中がきゅうきゅうと収縮する。
搾り取ろうとするようなその動きに、クードもまた先ほど放ったばかりとは思えないくらいたっぷりと、セヴィの最奥に白濁を吐き出した。


どうやらセヴィの『側にいてくれたら充分』という言葉がきっかけになってしまったらしい突然の激しく苦しいまでの情交に、この日セヴィは久しぶりに「もう無理」と言ってもやめて貰えずに意識を失うまで抱き潰される羽目になった。
そして翌日は、当然のことながら庭の散歩に出ることなんて出来なかった。

「お庭行きたかったです……」としょんぼりしてみせたセヴィに慌てふためいていたクードは、今日の庭の散策は中止だと伝えに行った際にどうやらレナードとカーサからも絞られたらしい。
耳も尻尾もこれ以上ないくらいにぺしょりと下げて、大きな身体をすぼめて厳ついはずの顔も眉が下がって何だか情けなくなっているクードから久しぶりに詫びの、かなり大きな花束を贈られて、セヴィはあぁ、やっぱり私はどうしたってこの人の事を赦してしまうのだわと思いながら、仕方ない人ですねと、その腕の中に飛び込んだ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...