悪役令息の俺はXXされるよりXXしたいタイプです。

トウ子

文字の大きさ
7 / 25

しおりを挟む

「ユウリ、君にこの事態の説明を願おうか」

王城の王太子執務室で、厳しい顔をしているのは、我が婚約者の王太子殿下その人だ。

「この事態とは、どの事態でしょうか」
「ふざけた返しをするな!お前の学園内での振る舞いについて、数多の訴えがある。申し開きがあるなら言うが良い」

大真面目でキツく睨みつけて威圧してくる王太子には悪いが、ふざけているわけではない。俺は本気で聞いているのだ。

「と、言われましても心当たりが……」

首を傾げながら王太子を真正面から見返した。しかし王太子は、サファイヤのような深い青の瞳に怒りの焔を燃え立たせて、さも忌々しそうに俺を睨みつけた。

「良い加減にしろ!惚けても無駄だぞ。証拠はあがっているんだ」

証拠ってなんの証拠だよ。
内心ツッコミながら、俺はじっくりと王太子を観察した。

(えー、めっちゃ怒ってんじゃん)

激昂のあまり、プラチナブロンドの短髪が猫の威嚇のごとく逆立ちそうなレベルである。

(えー?なんでそんな怒ってる?そこまで怒らせるようなこと、した覚えがないんですけど?)

本気で皆目見当が浮かない。理由も分からず、キレてる王太子の相手をするのがすごく嫌だ。理由が分かっても嫌だけど。

(はぁあああ、だりぃいいい)

この高慢な仔猫チャンは、一体何をそんなにキレているのか。俺は心底面倒くさくなりながら、ネチネチと俺の「悪行」とやらを並べ立てる王太子の前で、一応神妙な顔をキープした。
王太子が話している内容は、随分と今更な内容ばかりで、これまではコイツもそんなに問題視していなかったはずだ。

(今更どうした?なんで急に俺の素行に注目しだした?これまで俺になんか興味ゼロだったくせに)

俺達は政略で結びついた、愛のない婚約者同士である。
学園にくる前は行事がある時以外は、時々王城で顔は合わせるくらいだった。今は学園での接触が少し増えたくらいで、ほとんど関わりがない。どうやら俺は王太子の好みではないらしく、なんとなく嫌われていることも察している。
まぁ俺も、コイツの構ってチャンかつ察してチャンで、全人類が俺様のために動いて当然って思ってそうなところが相当ムカつく。顔は生母様に似て可愛いくせに、態度は超デカくて、いつも俺に対して上から目線だし、偉そうだ。いずれは伴侶になるっていうのに、全く尊敬の念が感じられない。そんな相手に、王太子だからって立ててやるつもりもサラサラないので、俺は機会さえあれば常にコイツを正面から叩きのめしている。正々堂々の機会、つまり剣術の試合や学力考査などである。
そんなわけで、若干険悪なのは仕方ない。俺達は距離を取ることで平穏を保てるタイプの関係性なのである。

「……と聞いている。これには証人が何人もいて、それぞれ裏も取った。そして、二週間前の薬学実験室でも、……」
(えー、いつまで話すんだコイツ)

なんか知らんけど俺の被害にあったという方々の訴えや、その証言、証拠を王太子は一つ一つ生真面目に挙げ列ねている。だが、全部誤解だぞ、それ。皆さん揃いも揃って被害妄想が強すぎないだろうか。それとも、こんなに沢山の人間が「被害」と感じるのならば、やはり俺の美貌は圧が強すぎるのだろうか?

そんなことを考えながら、同じような話を続ける王太子の話を聞き流していたら。

「……そして、何より罪が重いのは、お前が王国に幸をもたらす者を害したことだ」
「は?」

とんでもなく意味不明なことを言われた。

「お前は、我が王国に豊かな実りと平穏をもたらす、聖なる存在を害したのだ。国家反逆罪とも言える。その罪は万死に値するぞ」
「……はぁ!?」

青筋を立てながら、大真面目な口調で謎発言をぶっ放す王太子に、俺は仰天して飛び上がりそうだ。
全然思い当たる節がないんですけどー!?と叫び出しかけて、俺はふと何かが引っかかった。

(聖なる存在……?なんかそんな話、昨日したな)

そして俺は記憶を辿るべく、昨夜のコーネンとのピロートークを思い出した。

(聖なる……聖魔法……聖者?あ、もしかして!)

思い出せた。
やはりピロートークは大切にするべきだ。前世の教訓が、ここに生きた。これからも前戯より、後戯とピロートークを重要視しよう。

怒り狂う王太子の前で、俺は心地よい達成感と共にそう決意した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

転生執事は氷の公爵令息の心を溶かしたい【短編】

堀川渓
BL
事故で命を落とし、目覚めたそこはーー生前遊んでいた女性向け恋愛ゲームの世界!? しかも最推し・“氷の公爵令息”セルジュの執事・レナートとして転生していてーー!! 短編/全10話予定

【連載版あり】「頭をなでてほしい」と、部下に要求された騎士団長の苦悩

ゆらり
BL
「頭をなでてほしい」と、人外レベルに強い無表情な新人騎士に要求されて、断り切れずに頭を撫で回したあげくに、深淵にはまり込んでしまう騎士団長のお話。リハビリ自家発電小説。一話完結です。 ※加筆修正が加えられています。投稿初日とは誤差があります。ご了承ください。

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

処理中です...