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勝子
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夕方過ぎ、悦子から聞いていた姉、勝子の仕事場に向かった。
髪を帽子に押し込んで、物陰に潜んで、勝子らしき婦人が出てくるのを待った。
悦子から、勝子とはよく似ていると聞いていたので、すんなりと見つけることはできた。
幸いひとりきりで出て来たので、少し離れた場所で名乗り、悦子と相馬有朋の件で。と申し出た。
「申し訳ありませんが、会社の人に見られると困りますので」
尤もである。
勝子の言う通り、離れた場所にあるカフェに別々に入り、一番奥の目立たぬ席に着いた。
「大変申し訳ありません」
隼人は名刺を差し出し、自分の身分を示した。
勝子も悦子同様、可愛らしい感じの美人であった。が、やはり年齢の差が雰囲気に現れていた。
勝子は落ち着きがあり、良い意味で年を重ねた、悦子にはない魅力があった。
「どういったご用件でしょう?」
「本来、依頼を姉様とは言え、他の人に漏らすのはご法度なのですが、困ったことになりまして……」
「駆け落ちの件ですか?」
勝子の声は冷たかった。
「それは……」
「妹が出て行った後で、私が読ませるように書いておいたのでしょうが、片づけておかないから……つい、読んでしまいました。
結局、裏切られたのでしょう? あんな軽薄な男、別れろと言ったのに、子供まで……」
隼人は胸を撫で下ろした。
妊娠を隠しているのでは……と考え、探りを入れる必要性を感じていたからである。
「それでも、別れてくれたなら私は満足です。生まれてくる子供も、妹と共に私が支えていきますし、もし、妹に縁談が持ち上がった時の為に、私の子供として戸籍にと考えてもおりますから」
どうやら、悦子の考えは大変な思い違いのようである。勝子は決して、悦子に嫉妬して結婚を妨げているのではないらしい。
「それが、裏切ったわけではなく……妹さんはまだ、妊娠初期ですよね? そんな人に申し上げるのは危険かと思いまして……。
実は相馬有朋と名乗る男は、殺されました」
勝子は視線だけを隼人に向けた。
「名乗る男?」
「はい。
実は相馬有朋と名乗る男が、結婚詐欺を働いておりまして……。
何人かのご婦人の依頼を受けて探しました処、四日前に殺されていたことが判明しまして。
ただ、妹さんに対しては本気であったらしく……」
「騙されていた方が良かった。どうせ取られるような財産はないのですからね」
髪を帽子に押し込んで、物陰に潜んで、勝子らしき婦人が出てくるのを待った。
悦子から、勝子とはよく似ていると聞いていたので、すんなりと見つけることはできた。
幸いひとりきりで出て来たので、少し離れた場所で名乗り、悦子と相馬有朋の件で。と申し出た。
「申し訳ありませんが、会社の人に見られると困りますので」
尤もである。
勝子の言う通り、離れた場所にあるカフェに別々に入り、一番奥の目立たぬ席に着いた。
「大変申し訳ありません」
隼人は名刺を差し出し、自分の身分を示した。
勝子も悦子同様、可愛らしい感じの美人であった。が、やはり年齢の差が雰囲気に現れていた。
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「どういったご用件でしょう?」
「本来、依頼を姉様とは言え、他の人に漏らすのはご法度なのですが、困ったことになりまして……」
「駆け落ちの件ですか?」
勝子の声は冷たかった。
「それは……」
「妹が出て行った後で、私が読ませるように書いておいたのでしょうが、片づけておかないから……つい、読んでしまいました。
結局、裏切られたのでしょう? あんな軽薄な男、別れろと言ったのに、子供まで……」
隼人は胸を撫で下ろした。
妊娠を隠しているのでは……と考え、探りを入れる必要性を感じていたからである。
「それでも、別れてくれたなら私は満足です。生まれてくる子供も、妹と共に私が支えていきますし、もし、妹に縁談が持ち上がった時の為に、私の子供として戸籍にと考えてもおりますから」
どうやら、悦子の考えは大変な思い違いのようである。勝子は決して、悦子に嫉妬して結婚を妨げているのではないらしい。
「それが、裏切ったわけではなく……妹さんはまだ、妊娠初期ですよね? そんな人に申し上げるのは危険かと思いまして……。
実は相馬有朋と名乗る男は、殺されました」
勝子は視線だけを隼人に向けた。
「名乗る男?」
「はい。
実は相馬有朋と名乗る男が、結婚詐欺を働いておりまして……。
何人かのご婦人の依頼を受けて探しました処、四日前に殺されていたことが判明しまして。
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