復讐の果てに見えた景色 ~レイナ エピソード2~

みつ光男

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第1章:Do you remember?

【恩人はキッチンの向こうに】

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その日セリナはひどく泥酔していた
そう、理由は"例の件"だ。

元風俗嬢と言う肩書きでタレント活動をするセリナは

「あの人に一言伝えたい」と言う番組に出演した
恩人の"替え玉疑惑"の件で
SNSを中心に誹謗中傷が絶えなかった。

芸能界に入る勇気をくれたあの人…

あの日別れも告げずに去ってしまったけど
やっと会えるんだ、そう思って出演したこの番組


なのに現れたのは覚えのない男性。

番組内で"恩人"として紹介された時のセリナの態度が
あまりにも酷かったことがその原因だと言われている。


そりゃそうでしょ…


私の人生もキャリアもこの芸能界は
全てを嘘で塗り替えようとしたんだから


「ほんっと!冗談じゃないですって、あんな偽物の恩人連れて来たくせに!」

「まあまあセリナ、落ち着いて落ち着いて」

マネージャーの齊藤が必死になだめるも
セリナの怒りは収まらない。

 放送終了後、彼女のSNSが炎上したことに対して
テレビ局で番組スタッフを交えての
丁々発止のやり取りの後

浴びるように酒を流し込んだセリナは
千鳥足で古めかしいマンションへと戻った。

「齊藤さん、もうここでいいから…また明日よろしくお願いしますね」

「あんな噂はすぐ消えるから、それまでの辛抱だよ、セリナ」 

「はーい」

― 齊藤さん、優しいな
話してると何か“あの人”のこと思い出しちゃう…

「ところでセリナ…」

「はい、何です?」

「そろそろ新しいとこに引っ越したら?さすがにここはセキュリティ悪すぎるでしょ?」

「私にはちょうど住みやすいんだけどな」

「今回の一件でアンチも増えそうなんだし、自分の身の回りはしっかり守らないと…」

「はーい!わかりました、また考えときます」

齊藤に見送られながら
ふらふらマンションの自動ドアの前に立つセリナ

「あいててて!」

まだ開いていないドアに頭をぶつけながら
セリナが郵便ポストを確認するのを見届けた齊藤は


「もしもし…」

「あ、先ほどセリナがようやく帰りました」

「…了解、それではこちらは当初の予定通り…」

「お疲れです」

そんな会話をしながらその場を後にした。

部屋に戻ったレイナはそのままソファーに倒れ込むと
呂律の回らない口調で呟いた。

「なーにが"あの人"よ!何が“恩人”よ!あんな人、ただの顔見知りでしょ」

ほんと!どこから探して連れてきたんだか

見たことある顔だと思ったら同級生で
クラスで隣の席にいた緒方くんじゃない…


でもあの人って…もしかしてあの時の…
いや、さすがにそれは違うか…

いくら彼がちょっと変わった人だからって
さすがにあんなことは…ねぇ。

確かイラストレーターになったとか
連絡きたことがあったっけ…


今何やってんだか知らないけど
そう言えば確かお互いに夢を叶えたらまた会おう
そんな話をしたことがあったな

それならもっとそれらしいシチュエーションで
再会すべきだった、
それならあんな露骨に嫌な顔しなかったんだけどな

何であの時あの場所に…

ああ、もうやだやだ!

「私が会いたいのはあんな人じゃなくて…!」

 その時、キッチンの辺りからゴトッ!と
音がしたのを感じた。

泥酔して酩酊状態のセリナでも気づくくらいの音

何?

「誰かいるの?」

すると真っ暗なキッチンから少しずつ
人の形へと変わってゆく影が

セリナに向かってゆっくりと近づき
嘆くように諭すようにゆっくりとこう呟いた。

「あんな人…?ひどいなぁその言い方、さっきから黙って聞いてたら」

「え…!」

誰かいる…!

セリナは思わず息を飲んだ。
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