"彼女"の場合・・・【僕の彼女はアイツの親友 スピンオフ】

みつ光男

文字の大きさ
11 / 31
Act 3. "初めて"が始まる

【それはまるで合わせ鏡のような】

しおりを挟む
 ミニライブが終わり待つこと約30分、
いよいよ握手会が始まった。

煌子がきっかけとなり
遂に訪れたこっことの初めての遭遇。

私が並んだのはこっこを含めた3人のレーン、
こっこは三番手、一番最後だ。

柄にもなく緊張した私は大きく深呼吸をした。

一人目、二人目と握手が終わり、遂に目の前には
『煌子そのもの』と言っても過言ではない

こっこが目の前に立っている。

するとその瞬間、不思議なことに緊張感が無くなり
まるで煌子と向き合っているかのような錯覚に陥った。

そんな僕にこっこが笑顔で話しかけてくる、


「はじめまして、よろしくね」

「あー!田中さん!やっと会えたよ」

「え?どう言うこと?」

「この前、2月も握手する予定だったけど大雪でバスが遅れて…間に合わなくて」

「えー!そうなんだ!今日は会えてよかったね」

「ほんと!何事もなく、ね。お会い出来てよかったよ」

「うん!これからもよろしくね」

こっこを間近で見て改めて感じた

やはり外見だけでなく所作も話す声もまるで、
煌子そのものだった。

こんなことがあるんだな…

 そんな不思議な感覚に包まれながら握手を終えた時
満足感と同時に妙な違和感を覚えた。

「いや待てよ…」

煌子と瓜二つのこっこにも関わらず何かが違う…

こっこの性格が煌子に近いのであればあっさりとした
よそ行きな雰囲気の握手を想像していたのだが

そこに煌子ならではの"塩対応"は全く無く
むしろ"神対応"と言うにふさわしい握手となったこと。

これまでの動画配信で感じていた
避けられているような感覚はなかった。

もちろん、私のことなど知るはずもないこっこからすれば
私とは"初対面"なのだから…

煌子とのギャップに少し戸惑いながらも
あれこれと考えを巡らせてみた。

 似ているのは見た目だけ?
それともまだよそ行きな対応をされている?

どちらも正解なのかも知れない…

そう、例えるならばドッペルゲンガーのようなもの
全く同じ外見で全く違うタイプの二人、

今日は少し拍子抜けな感じにもなったが
この先もこのような機会があれば
少しずつ見えてくることがあるかも知れない。

 こじつける訳ではないが煌子に通じる部分を
これからのこっことの会話の中から見い出してみよう…

 もはや煌子の言葉の真意を確かめる云々ではなく
私自身が煌子と同等にこっこの存在を捉え始めている、
そんな予感に包まれた握手会となった。

そしてこの日はこっこのみならず

「僕の彼女はアイツの親友」において
今後とても重要なポジションを担うであろう
ある"二人の存在"を確認できたこともまた、

こっことの初コンタクト同様に
私にとってとても大きな意味を持つであろう、

そんなイベントとなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

《完結》氷の侯爵令息 あなたが子供はいらないと言ったから

ヴァンドール
恋愛
氷の侯爵令息と言われたアラン。彼は結婚相手の伯爵令嬢にとにかく冷たい態度で接する。 彼女は義姉イライザから夫が子供はいらないと言ったと聞き、衝撃を受けるが気持ちを切り替え生きていく。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私が……王太子……のはずだったのに??

#Daki-Makura
ファンタジー
最愛と朝を迎えたら……城下が騒がしい……?? 一体……何が起きているのか……??

処理中です...