"彼女"の場合・・・【僕の彼女はアイツの親友 スピンオフ】

みつ光男

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Act 5. 大好きなひと

【兆し】

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握手会に向かうフェリーの中

いつもなら高揚感に溢れた心情で会場に向かうのに

この日ばかりは何とも言えない切なさを
常に感じたまま歩を進めていた。

そぼ降る雨のせいだろうか?

それとも色づき始めた紅葉が
自然とそんな気持ちにさせるのだろうか?

そうではない、

もうそろそろ煌子が消えてしまうのでは?
そう思い始めていたからだ。

その理由のひとつはあまりにもこっこと煌子との間に
共通する不思議な出来事が増えすぎたこと。

小説の中で煌子が長い髪をショートにする、
そんな場面があった。

フラれた女子が髪をショートカットにする、
そんな定説も確かにある。

ただ私のストーリー設定の中では
過去と決別する煌子の決意、と言うニュアンスで
ばっさりショートカットに "させた" のだが

その章を書いた数日後
私はあるSNSを見てその目を疑った、

こっこも小説の中の煌子同様に
いきなりショートカットになっていたのだ。

それだけならまだ偶然の出来事で
済ますことも出来ただろう、

その数日後には収録当日まで
ゲストがわからないラジオ番組に

こっこに向けた内容の投稿をしたら
その日のゲストがこっこ本人だった。

更にはあるテレビ番組の収録観覧に行った帰り
深夜、帰り道を間違えた時には

まるで間違いを指摘するかのように

こっこが参加しているユニットの曲が
突然スマホから流れ続け

元来た正しいルートに戻るとスッと曲が止まる、
そんな不思議な現象も起きた。

もしかしたら煌子とこっこは
既に"同化"を始めているのかも知れない、

そしていつかきっと煌子は
私の前には二度と出てこなくなる、のでは?


かと言ってこのままいたずらに
執筆を先伸ばしにするのも本意ではない

そんな思いから私の気持ちは
何だかこの日の天気のようにどんよりとよどんでいた。
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