"彼女"の場合・・・【僕の彼女はアイツの親友 スピンオフ】

みつ光男

文字の大きさ
31 / 31
Last Act. 醒

【夢幻と現実の狭間で】

しおりを挟む
 そろそろ夜勤に備えて眠りにつくか、
今日はどんな夢を見るのだろう?

そんなことを考えながらベッドに潜り込んだ瞬間

インターホンのチャイムが鳴った。

宅配便からの荷物を受け取った私が
その包みを開けると・・・

" 当選おめでとうございます "

そんなメッセージと共に

黄色と黄緑の糸で編み込まれたミサンガが届いた。


「そっか、煌子・・・覚えてくれてたんだ」


夢じゃなかった…
あれは夢でも幻でもなかったんだ…

煌子のいない現実を生きていくつもりだったが
彼女は今でも私のことを忘れていない。

ならば、書き続けなければ
高村コウと、いや私と煌子との物語を・・・

それが私に出来る煌子への恩返しであり
彼女を私の努めでもあるのだから。

 そして、再び平穏な日常を取り戻したら
またこっこに会いに行かなければ…

それは煌子との再会を意味するのだから。

その日が来たら煌子は、いや田中皓子さんは
どんな表情で僕を迎えてくれるのだろうか?

今後、更に新たな作品も書き続けたいし

自分の実力の立ち位置を確かめるため
貪欲にコンテストにも応募していきたい。

試してみたいあれこれもたくさんある。

煌子がくれた大切なものがいつでも心の中にある限り

自作小説をもっともっと
たくさんの人に読んでいただきたい、と言う

私の無謀な夢は・・・
まだ覚めることも終わることもないだろう。

煌子、もといこっこの動画配信が
今日もいつものように始まった、

そこにはもう、煌子の面影はないし
以前のように会話をすることも出来ない。

が、きっと煌子はこっこの体を通じて
私の姿を遠巻きに見ているはずだ。

私自身、今やあの現実離れした出来事が
実体験なのか夢だったのか

それすらわからないくらいになっていた。

煌子とこっこ

かたや小説の中の登場人物、
かたや現役アイドル、

遠い世界や二次元の誰かのみに心酔するほど
私は現実から逃れたいわけではないが

何かを作る、クリエイターの端くれとして
地位や知名度のような見返りはなくとも

こんな出来事を体感出来ることが
ちょっとした報酬なのではないだろうか?

そんな風に考えている。

ひとつの物語に息を吹き込むことで
そこに何かしらの命が宿る、

それを体験できたのは
多額の金銭を手にするよりも価値のあること

そんな想いを持ち続けて
これからもこんなありふれた物語を

描き続けていけたら楽しいだろう


誰かがいつか私の小説を好きだと言ってくれる日まで
私がその筆を置くことはない

無論その先の景色を見るために
私はこれからも書き続けるだろう。


今でも時々、雑踏の喧騒に紛れて
風のように誰かの声が耳元で聞こえることがある。

「タカムラ…元気でやってる?」と。


今でも煌子は何処かで
私のことを見守ってくれている…らしい。

そして私はまだ長い夢から覚めていないようだ
この物語が続く間はずっと・・・
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

《完結》氷の侯爵令息 あなたが子供はいらないと言ったから

ヴァンドール
恋愛
氷の侯爵令息と言われたアラン。彼は結婚相手の伯爵令嬢にとにかく冷たい態度で接する。 彼女は義姉イライザから夫が子供はいらないと言ったと聞き、衝撃を受けるが気持ちを切り替え生きていく。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私が……王太子……のはずだったのに??

#Daki-Makura
ファンタジー
最愛と朝を迎えたら……城下が騒がしい……?? 一体……何が起きているのか……??

処理中です...