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第8章 そこはたどり着いた領域

【計画遂行】

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 ここで俺はサプライズを成功させるために
もうひとつの予防線を張った。

逆夜這いと言うオプションについては
少し前にさりーから薦めらてれた。

楽しそうだな、とは思ったが
部屋での待機時間やシャワータイムが
プレイ時間に反映されるのであれば

一緒に過ごす時間が削減されてしまう…
それは何だかもったいないな、と思った。

 しかし今回は予定していたのより
少し長めのコースを選択している
数分のロスなら問題ないだろう、と

予約確認の際にスタッフさんに確認したら
シャワーと部屋での待機時間はサービスらしい。

しかし、予約の時点で逆夜這いを申し込むと
勘のいいさりーのことだ

もしかしたらこの予約は光々なのでは?
そう感づいてしまう可能性もある。

なので逆夜這いを申し込むのは
来店前の確認の連絡の時にしよう

これで俺のサプライズ計画はコンプリートされた。

後は入室前にさりーからトークの返信が来れば
その内容でこの日最初の予約が俺だったことを
知っているか否かがわかる、そんな算段だ。

 少し早めに出発した俺は来店確認の電話をした際
ここでようやく逆夜這いのオプションを申し込んだ

無料のオプションゆえ悩む必要もない。

そして予約時間より15分ほど早めにお店に着き
オプションの説明を受けて
入室まで待合室で待機していると…

さりーからトークの返信が届いた。

 2日ぶりの返信にはやる気持ちを抑えつつ
内容を確認すると

やはり予約しているのが俺だとは知らないようで
いつもと変わらぬ明るいトーンでの文面を見て

よし!まだ気づいてないと言う確信と同時に
何も知らずに健気にメッセージをくれた
さりーへの申し訳なさが少しだけ沸き上がった。

待ち時間の間に逆夜這い時の要望など
アンケートに答える。

性感帯…

正直なところ全身敏感な俺はどこもかしこも性感帯だ。

だがせっかくだから今回は
普段さりーから攻められたことのないパーツを…

あんな場所をこんな風な攻めを受けたい…

そりゃあれもこれもされたいししてみたい。

だが中には攻める箇所によって
有料のオプションが含まれている。

ならばあくまでも希望と言うことで
少し恥ずかしいようなパーツも攻められたい…

よし、それならば…
今回の俺は随分と大胆だ。

そしてほどなくスタッフさんが待合室に現れ

「それではお客様どうぞお部屋まで」

いつもと同じ部屋ではないが
さりーと会う予定の部屋の前に案内された。

 ここから俺は一人で着替えを済ませ
シャワーやうがいなどを終わらせ

さりーの登場を待つことになるのだが

いつも甲斐甲斐しくシャワーの準備をしてくれる
さりーがここにいない…

何だか急激に寂しさが押し寄せてきた。

温度調節も自分でしなければいけない

最初あまりにも冷たい水が出るため
俺は思い切り設定温度を上げた…

「熱ちちちち!!」

温度を上げすぎたせいでまるで熱湯のように
もくもくと湯気を立てながらお湯が出てくる。

シャワーのお湯を避けながら設定温度を変え
ボディソープを使おうと手に取ったのが…

何とローションだった!

「いや待て、これじゃ余計にヌルヌルやないか!」

誰にも聞こえない独り言を言いながら
改めてボディソープから適量を取り出して体を洗う。

でも、何だかな…
やっぱりさりーが一緒じゃないと寂しいな…

でもサプライズのためだから、と気を取り直し
何とかシャワーを終えバスタオルで下半身をくるむと

事前に言われた通り
出入り口近くにある内線へと連絡した。
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