レイナ

みつ光男

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第4章. ウィークポイント

【外界からのやり取り】

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 この日、レイナは終始笑顔だった、
だからと言うわけではないが

俺は少しだけ期待していたし
今日渡そうと言う決心もついた。

まさかレイナも俺からメールアドレスを渡されるとは
思ってもいなかっただろう。

正直、こんなことをしてもいいのだろうか?
と言う罪悪感はあった。

しかし初対面で俺はレイナにブログを紹介している

正直、コメント欄を通じて
既にプライベートのやり取りがあるわけだから

今さら連絡先を教えたところで
それほど大きな十字架を背負う訳でもない、

と、俺は半ば開き直ってはいたが

肝心のレイナから連絡がなければ
この行為は無となるわけだ。


さて、どうなるのだろう?

お店からの帰り道に夕食を調達して帰宅し
お風呂から出た時

携帯の左上に✉️のマークを見つけた

俺はいても立ってもいられなくなり
大慌てでメールを開いてみた。


タイトル欄に
「ありがとう」と書かれたメッセージ


それは紛れもなくレイナからだった。

しかしそのアドレスを見た時、少しだけ落胆した。

アットマーク以降のアドレスを見る限り
それは明らかに会社から渡されたと
思われるスペルのアドレスだったからだ。

内容は
" 今日は来店ありがとうございました!
またお会いできるのがレイナは楽しみです "

やっぱり、そうだよな、ビジネスなんだ、所詮…

そう落ち込みかけたその直後
もう一通のメールが届いた。

見覚えのないアドレスだったが
もしやと思い躊躇することなく開いてみた。

タイトルは
" こっちでもよろしくね "

ーさっきのはホームページに載ってる
「お店の女の子宛に送れるアドレス」だよ

こっちが本当の私だからね

お店に関する話は前のアドレスで
プライベートな件はこっちで、って

分けて送ってもらえたらうれしい…かな


「何だよ!それならそうって先に送ってくれりゃいいのに」

そんな独り言を言いながらも
俺の顔はかなりニヤけていたはずだ。


悩んだんだろうな…


そしてその結果「本当の」アドレスも
教えてくれたんだろう。


もうレイナとは「従業員とお得意様」のレベルを
クリアしてしまった。

その壁を壊したのは・・・

俺ではない
レイナでもない

2人の思いが正に「体の相性」の如く
重なったからだと俺は信じることにした。

一方レイナは…
「こっちのアドレスも教えちゃった…けど
よかったよね、うんいいよ、ふじ太くんなら」


心の距離は半歩から1歩…
お互いが歩み寄る形となった。
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