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その壱.幼少期編
【涙の絵日記】
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子供と言うのはつくづく残酷な生き物だと
大人になってから思うことがある。
"子供のように純粋な…"などと
誰が言い出したのだろう?
人間の子供ほど無神経かつ無節操な生物は
きっとこの地球上には存在しない、と
私はそう断言したい。
これは私が小学生低学年の頃の話、
夏休みのことだった。
何がきっかけだったか忘れたがご褒美のような感じで
あるものをプレゼントされた。
それはペンギンの形をしたかき氷を作るおもちゃ
"おもちゃ"と言っても本当にかき氷を
作ることが出来る立派な代物だった。
以前テレビのコマーシャルで観て
「これほしいな」と言ったのを
家族が覚えてくれていたらしく
こちらを受け取った時は本当に
冗談抜きで飛び跳ねるほど歓喜した。
当然ながら家族で何度もかき氷を作り
それは夏休みの思い出のひとつとして
胸に刻まれていった。
家族と過ごす時間、欲しかった物が手に入った喜び
ひとつひとつが大切な記憶だった。
そして私はその記憶を留めておこうと
夏休みの宿題だった絵日記にその事を描いた。
こうして夏休みが終わって2学期になり
宿題を提出して数日が経過したある日、
教壇の近くに集まっている数人のクラスメイトが
私を見るなり「あ!来た来た!」と
半ば冷やかし気味に迎えた。
そこにいた男女数人は何かを見ている様子で
「ペンギンちゃんが来たぞー」
そう言うのだ。
ペンギン…?
もしかしてあのかき氷を作る氷かきのことか?
何でそのことを知ってるんだろう?
不思議に思いながら教壇の前に行くと…
彼ら彼女たちが見ていたのは私が夏休みの宿題で
提出していた絵日記
それも例のペンギンの氷かきのページ
「ペンギン、ペンギン」と誰もが私を見て連呼し
挙げ句の果てにはその氷かきのCMソングまで
歌い始める始末。
ここで脳裏に浮かんだのが家族の顔、
私が喜ぶだろうと購入してくれ
楽しく過ごした時間や思い出
心に刻まれた素敵な記憶を全て
虚仮にされた気持ちに襲われ
自分を含む家族全員が馬鹿にされたような
憤りがこみ上げてきた。
「うぉぁあうぁあー!」
怒りが頂点に達したからか
私は声にならない声を振り絞り
その中の誰かが手にしていた絵日記を奪い返し
手当たり次第にその絵日記を振り回していた。
私が普段見せたことのない表情に
クラスメイトたちは畏れおののき
中には泣き出す女子もいた。
そこに担任の先生が現れ、異変に気づいたのか
この時間は急遽学級会へと変更になった。
「人が嫌がること、自分がされたら嫌だと思うことはしないようにしましょう」
「大切な思い出を覗き見るようなこともしないでほしい」
先生からの言葉はそんな感じだった。
さすがに私も落ち着きを取り戻し
怒りもそれなりに収まりはしたが
彼らを許しがたい感情は
なかなか消えることはなかった。
…人が嫌がることはしないように、だって?
他人事だからそんなことが言えるんだろ?
人から嫌なことをされたら
加害者は同じ目に遭えばいいんだ…
私の心に一瞬、悪魔が宿ったのを感じた。
それから月日は流れて2022年のこと、
鬼を倒す国民的人気アニメを観ていた時のこと…
"鬼"と呼ばれる敵役の台詞の中に
「人から嫌なことをされたらそれと同様に
いや、それ以上の苦痛や苦しみを与えてやる」
そんな言葉を聞いた時、ふと私の脳裏に
あの日のペンギンの氷かきのことが浮かんだ。
あの時、確かに私の心には
"鬼"が宿っていたのかも知れない。
「子供って残酷な生き物だよな?」
その話を聞いた成人している息子は
「正解ではないけどわからんでもないな」
誰よりも複雑怪奇で恐ろしいのは
あの時の彼ら彼女たちではなく
…私だったのだろうか?
やはり何よりも怖いのは
自分を含めた人の心の中である。
大人になってから思うことがある。
"子供のように純粋な…"などと
誰が言い出したのだろう?
人間の子供ほど無神経かつ無節操な生物は
きっとこの地球上には存在しない、と
私はそう断言したい。
これは私が小学生低学年の頃の話、
夏休みのことだった。
何がきっかけだったか忘れたがご褒美のような感じで
あるものをプレゼントされた。
それはペンギンの形をしたかき氷を作るおもちゃ
"おもちゃ"と言っても本当にかき氷を
作ることが出来る立派な代物だった。
以前テレビのコマーシャルで観て
「これほしいな」と言ったのを
家族が覚えてくれていたらしく
こちらを受け取った時は本当に
冗談抜きで飛び跳ねるほど歓喜した。
当然ながら家族で何度もかき氷を作り
それは夏休みの思い出のひとつとして
胸に刻まれていった。
家族と過ごす時間、欲しかった物が手に入った喜び
ひとつひとつが大切な記憶だった。
そして私はその記憶を留めておこうと
夏休みの宿題だった絵日記にその事を描いた。
こうして夏休みが終わって2学期になり
宿題を提出して数日が経過したある日、
教壇の近くに集まっている数人のクラスメイトが
私を見るなり「あ!来た来た!」と
半ば冷やかし気味に迎えた。
そこにいた男女数人は何かを見ている様子で
「ペンギンちゃんが来たぞー」
そう言うのだ。
ペンギン…?
もしかしてあのかき氷を作る氷かきのことか?
何でそのことを知ってるんだろう?
不思議に思いながら教壇の前に行くと…
彼ら彼女たちが見ていたのは私が夏休みの宿題で
提出していた絵日記
それも例のペンギンの氷かきのページ
「ペンギン、ペンギン」と誰もが私を見て連呼し
挙げ句の果てにはその氷かきのCMソングまで
歌い始める始末。
ここで脳裏に浮かんだのが家族の顔、
私が喜ぶだろうと購入してくれ
楽しく過ごした時間や思い出
心に刻まれた素敵な記憶を全て
虚仮にされた気持ちに襲われ
自分を含む家族全員が馬鹿にされたような
憤りがこみ上げてきた。
「うぉぁあうぁあー!」
怒りが頂点に達したからか
私は声にならない声を振り絞り
その中の誰かが手にしていた絵日記を奪い返し
手当たり次第にその絵日記を振り回していた。
私が普段見せたことのない表情に
クラスメイトたちは畏れおののき
中には泣き出す女子もいた。
そこに担任の先生が現れ、異変に気づいたのか
この時間は急遽学級会へと変更になった。
「人が嫌がること、自分がされたら嫌だと思うことはしないようにしましょう」
「大切な思い出を覗き見るようなこともしないでほしい」
先生からの言葉はそんな感じだった。
さすがに私も落ち着きを取り戻し
怒りもそれなりに収まりはしたが
彼らを許しがたい感情は
なかなか消えることはなかった。
…人が嫌がることはしないように、だって?
他人事だからそんなことが言えるんだろ?
人から嫌なことをされたら
加害者は同じ目に遭えばいいんだ…
私の心に一瞬、悪魔が宿ったのを感じた。
それから月日は流れて2022年のこと、
鬼を倒す国民的人気アニメを観ていた時のこと…
"鬼"と呼ばれる敵役の台詞の中に
「人から嫌なことをされたらそれと同様に
いや、それ以上の苦痛や苦しみを与えてやる」
そんな言葉を聞いた時、ふと私の脳裏に
あの日のペンギンの氷かきのことが浮かんだ。
あの時、確かに私の心には
"鬼"が宿っていたのかも知れない。
「子供って残酷な生き物だよな?」
その話を聞いた成人している息子は
「正解ではないけどわからんでもないな」
誰よりも複雑怪奇で恐ろしいのは
あの時の彼ら彼女たちではなく
…私だったのだろうか?
やはり何よりも怖いのは
自分を含めた人の心の中である。
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