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Ⅰ章「分身鳥の恋番」
side:藤原ルイ④
小坂君の部屋を出て、廊下で金髪男と対峙した。金髪男には、フランス管理局の人が三名護衛についている。不用意な事は出来ない。
「自己紹介をしよう。僕はリョウと同じ鳥を分身鳥に持つレオ・デュラン。ま、お前とは仲良くする気もないが」
先ほどまで小坂君に見せていた甘やかな雰囲気とはガラリと変わって不遜な態度。
「フランスで、両性に目覚めさせたのか?」
「あぁ、気が付いたか? 少しは知っているようだな」
「小坂君の意思は?」
「リョウの意思など関係ない。リョウが僕との子をなすことは国家間での取り決めだ。勝手に番となったお前の方が失礼だろう」
「今は俺の話じゃない。小坂君のことを聞いている。見たところ、小坂君はお前を頼っている。体調不良が夏バテってことにしているところをみると、意識が無いときに目覚めさせたのか」
「それの何が悪い? リョウにとって性交と出産は義務だ。絶滅危惧種最高位の者は、そうやって国家の取引に使われる。ま、僕のように両性機能を持たないと免れるケースもあるけど」
こいつ、何を言っている? 嫌悪で強く睨んでしまう。
「教えようか? リョウはとても愛らしかったぞ。ビクビクと震える可愛い身体。寝ていても快感に声を上げていた。リョウの男子宮を刺激したときの感覚は忘れられないよ」
小さな声で囁かれて、右手の拳を握りしめた。
「おっと、殴らないでくれよ。こう見えて小型の絶滅危惧種だ。死んでしまったら国際問題になる」
あはは、と笑うレオが心から憎かった。
「小坂君には何も知らせないのか」
「良いんだよ。両性ホルモンが安定する頃には恋人になって、あの狭い中に僕が毎日でも種付けしているから。結果、僕との子をリョウが望んでいればいい」
怒りで腕が震えた。
「そうそう、僕は正式なリョウのパートナーとして君に言うよ。君とリョウを番わせる気は一切ない。気が向けば、僕とリョウのセックスを見せてあげてもいいけどね」
ははは、と笑うレオを殴らずに自室に戻った俺と俺の鳥は、本当に偉かったと思う。こんなの、小坂君が辛すぎるだろう。悔しくて悲しくてマットレスに拳を何度も叩きつけた。俺の鳥はバスタオルを引きちぎっている。ストレス行動だ。
深呼吸して、俺の鳥を抱き締める。小坂君を、絶対に守ろう。俺の鳥と誓いを立てた。
「おはよう。あれ、なに?」
二学期早々、宮下君に声をかけられる。
「小坂君のお世話役、らしい」
ため息交じりに返答する。
「え? 番鳥はフジなんだろ?」
「もちろん」
返事をしながら、レオを睨んでしまう。
「なぁ、俺はあのレオと言う人、信用できないタイプだと思うよ。教室であんな風に悪目立ちして、小坂が困るかもしれないじゃないか。それを考えていないように見える。あまり小坂に近づけないほうが良い」
眉間に皺を寄せた宮下君から忠告。同意見だ。宮下君は勘がいい。
「分かっている。ありがとう」
小坂君にはレオが張り付いている。レオにはフランス保護局の者が護衛についていて、二人の周辺だけ、浮いている。ホームルームが始まるまでべったり付き添っていた。授業が始まると、やっと小坂君が一人になる。少しほっそりした頬。顔色が良くない。
一時間目の途中。小坂君が小さく手を上げる。
「すみません。調子が悪いので、保健室に行きます」
青い顔。しんどそうに下を向く様子を見て、直ぐに席を立った。
「俺が付き添います」
「そうか、じゃぁ頼むな。藤原」
先生の許可を得る。
すがるように俺を見る小坂君に胸がドキドキした。久しぶりに綺麗な黒い瞳に俺が映る。小坂君を横抱きに抱き上げると、おぉっと教室からざわめき。周囲の目線はどうでも良かった。俺が抱き上げている、この喜び。俺の肩のオウギワシが、小坂君の鳥を守るように羽で隠す。
廊下に出てすぐ。腕の中から小さな声。
「このまま、レオに見つからないように話が出来ない?」
ドキリとした。
「こっそり寮に向かったら問題になるかも。保健の先生には寮に行くこと伝える。俺の部屋でどう?」
コクリと頷く小坂君。早足で保健室に向かう。初日だからレオは職員室で業務の説明を受けているだろう。見つからないように、とにかく早く。
「自己紹介をしよう。僕はリョウと同じ鳥を分身鳥に持つレオ・デュラン。ま、お前とは仲良くする気もないが」
先ほどまで小坂君に見せていた甘やかな雰囲気とはガラリと変わって不遜な態度。
「フランスで、両性に目覚めさせたのか?」
「あぁ、気が付いたか? 少しは知っているようだな」
「小坂君の意思は?」
「リョウの意思など関係ない。リョウが僕との子をなすことは国家間での取り決めだ。勝手に番となったお前の方が失礼だろう」
「今は俺の話じゃない。小坂君のことを聞いている。見たところ、小坂君はお前を頼っている。体調不良が夏バテってことにしているところをみると、意識が無いときに目覚めさせたのか」
「それの何が悪い? リョウにとって性交と出産は義務だ。絶滅危惧種最高位の者は、そうやって国家の取引に使われる。ま、僕のように両性機能を持たないと免れるケースもあるけど」
こいつ、何を言っている? 嫌悪で強く睨んでしまう。
「教えようか? リョウはとても愛らしかったぞ。ビクビクと震える可愛い身体。寝ていても快感に声を上げていた。リョウの男子宮を刺激したときの感覚は忘れられないよ」
小さな声で囁かれて、右手の拳を握りしめた。
「おっと、殴らないでくれよ。こう見えて小型の絶滅危惧種だ。死んでしまったら国際問題になる」
あはは、と笑うレオが心から憎かった。
「小坂君には何も知らせないのか」
「良いんだよ。両性ホルモンが安定する頃には恋人になって、あの狭い中に僕が毎日でも種付けしているから。結果、僕との子をリョウが望んでいればいい」
怒りで腕が震えた。
「そうそう、僕は正式なリョウのパートナーとして君に言うよ。君とリョウを番わせる気は一切ない。気が向けば、僕とリョウのセックスを見せてあげてもいいけどね」
ははは、と笑うレオを殴らずに自室に戻った俺と俺の鳥は、本当に偉かったと思う。こんなの、小坂君が辛すぎるだろう。悔しくて悲しくてマットレスに拳を何度も叩きつけた。俺の鳥はバスタオルを引きちぎっている。ストレス行動だ。
深呼吸して、俺の鳥を抱き締める。小坂君を、絶対に守ろう。俺の鳥と誓いを立てた。
「おはよう。あれ、なに?」
二学期早々、宮下君に声をかけられる。
「小坂君のお世話役、らしい」
ため息交じりに返答する。
「え? 番鳥はフジなんだろ?」
「もちろん」
返事をしながら、レオを睨んでしまう。
「なぁ、俺はあのレオと言う人、信用できないタイプだと思うよ。教室であんな風に悪目立ちして、小坂が困るかもしれないじゃないか。それを考えていないように見える。あまり小坂に近づけないほうが良い」
眉間に皺を寄せた宮下君から忠告。同意見だ。宮下君は勘がいい。
「分かっている。ありがとう」
小坂君にはレオが張り付いている。レオにはフランス保護局の者が護衛についていて、二人の周辺だけ、浮いている。ホームルームが始まるまでべったり付き添っていた。授業が始まると、やっと小坂君が一人になる。少しほっそりした頬。顔色が良くない。
一時間目の途中。小坂君が小さく手を上げる。
「すみません。調子が悪いので、保健室に行きます」
青い顔。しんどそうに下を向く様子を見て、直ぐに席を立った。
「俺が付き添います」
「そうか、じゃぁ頼むな。藤原」
先生の許可を得る。
すがるように俺を見る小坂君に胸がドキドキした。久しぶりに綺麗な黒い瞳に俺が映る。小坂君を横抱きに抱き上げると、おぉっと教室からざわめき。周囲の目線はどうでも良かった。俺が抱き上げている、この喜び。俺の肩のオウギワシが、小坂君の鳥を守るように羽で隠す。
廊下に出てすぐ。腕の中から小さな声。
「このまま、レオに見つからないように話が出来ない?」
ドキリとした。
「こっそり寮に向かったら問題になるかも。保健の先生には寮に行くこと伝える。俺の部屋でどう?」
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