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Ⅳ 番と過ごす発情期
③
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翌日はスッキリ目が覚めた。温かな人に抱きしめられてベッドで寝ていた。
ルカといるのは蓮だと思うけれど自信が無い。記憶が定かではない。確認をしたくてモゾモゾ動くと相手が動き出す。起こしてしまったかもしれない。
「なんだ? ルカ、トイレか?」
眠そうに一言喋ると軽々とルカを抱き上げて歩く蓮。
「うわっ! お、降ろして」
蓮にしがみつきながら伝える。ルカは自分の声が掠れ声で驚く。
「あ? 何だ。発情期、治まったのか」
すっと床に降ろされる。降ろされてルカも蓮も裸であることに赤面する。
「歩けるか?」
床に降ろされたが蓮はルカを支えたまま。
「大丈夫、です。離して」
掠れ声のまま伝えると、すっと距離をとる蓮。現状が受け入れられず一人になれる場所に移動しようとしてガクリと膝をつく。頭はスッキリしているのに身体が重くて言うことを聞かない。膝が笑っている。
「ほら、大丈夫じゃないだろう」
いつの間にか傍に戻っている蓮に再度抱き上げられる。
そのままトイレに運ばれ用を足してベッドに連行された。混乱する。自分はどうしたのだろう? ルカをベッドに押し込んだ後、一度部屋を離れる蓮。すぐに飲み物を持って戻ってくる。ルカは布団にくるまりながら、ベッドに身を起こしマグカップを受け取る。優しい甘さに癒される。カフェラテだ。美味しい。ベッド傍の椅子に座る蓮。
「発情期は落ち着いたようだな」
「発情期? え? 一緒にいたの? アルファの蓮が?」
口にしながらアルファが一緒に居る意味を考えてルカが青ざめる。カップを持つ手が震える。
そっとルカの手からカップを受け取りサイドテーブルに置く蓮。徐々に断片的な濃厚な行為の記憶が蘇る。ルカは震える手で口を覆う。
「避妊薬は飲ませた」
蓮の言葉に唇を噛みしめる。つまり、そういうことだ。記憶がしっかりしてくる。そうだ。こいつはルカの番のはず。緊張しながら一言を聞く。
「蓮は、俺の、番なの?」
「そうだ」
あっさり認められてしまい、その後の会話が続かない。こいつが番のアルファ。震える手で布団を握り締める。
「悪かった」
無感情な蓮の一言。その軽い言葉にルカの怒りが爆発する。
「ふざけるな! そんな、そんな簡単な一言で済まされると思うのか! お前がしたことは犯罪だ! 頭おかしいんじゃないのか!」
頭に来すぎて枕を蓮に投げ飛ばし叫んだ。興奮しすぎて頭がガンガンする。枕を投げた拍子にルカはベッドに倒れ込む。身体疲労とショックに起き上がることもできず荒い呼吸を繰り返す。
「悪かった」
淡々とした蓮の口調。その様子にこいつとは分かり合う事なんかできないとルカは悟った。
「……出ていけ」
独りになりたくて蓮に告げる。
「分かった。発情期後だ。体調が戻るまで世話はする。食事は運ぶ。用があれば呼べ。扉の向こうのリビングに居る」
パタンと閉まるドア。
何の動揺も見せない蓮に悔しさが募る。ルカばかりが苦しくて辛くて。まるでオメガとアルファの差を見せつけられているようだ。薄っすらと覚えている発情期中の幸福感が虚しく思えてくる。
(何で俺はオメガなんだよ。何で蓮なんかが番なんだよ)
そんな悲しみがルカの心に圧し掛かる。
(ここから、離れたい)
ふと部屋を見ると壁側のデスクにルカの服と携帯電話がある。ゆっくり移動して自分の携帯を手にする。知らない場所に受け入れられない出来事。この状況で唯一いつもと変わらないルカの携帯電話。手に持つだけで妙な安心感。訳も分からず涙が零れる。止まらない涙を流しながら電源を入れ電話をかける。ワンコールもせず相手が出てくれる。
『もしもし!? ルカか? 大丈夫か!?』
良く知る声を聞いて「っひぅ……」とルカの喉が鳴る。言葉が出ない。
『……わかった。ルカ、辛かったよな。直ぐに助けに行くよ』
優しい川口さんの声。
「……うん」
やっと一言を伝えて電話を切る。
しばらく床に座り込み暗い気持ちでぼんやりする。動く気力もなかった。
(疲れた……)
考えることが多くて心がついて行けなかった。
ルカといるのは蓮だと思うけれど自信が無い。記憶が定かではない。確認をしたくてモゾモゾ動くと相手が動き出す。起こしてしまったかもしれない。
「なんだ? ルカ、トイレか?」
眠そうに一言喋ると軽々とルカを抱き上げて歩く蓮。
「うわっ! お、降ろして」
蓮にしがみつきながら伝える。ルカは自分の声が掠れ声で驚く。
「あ? 何だ。発情期、治まったのか」
すっと床に降ろされる。降ろされてルカも蓮も裸であることに赤面する。
「歩けるか?」
床に降ろされたが蓮はルカを支えたまま。
「大丈夫、です。離して」
掠れ声のまま伝えると、すっと距離をとる蓮。現状が受け入れられず一人になれる場所に移動しようとしてガクリと膝をつく。頭はスッキリしているのに身体が重くて言うことを聞かない。膝が笑っている。
「ほら、大丈夫じゃないだろう」
いつの間にか傍に戻っている蓮に再度抱き上げられる。
そのままトイレに運ばれ用を足してベッドに連行された。混乱する。自分はどうしたのだろう? ルカをベッドに押し込んだ後、一度部屋を離れる蓮。すぐに飲み物を持って戻ってくる。ルカは布団にくるまりながら、ベッドに身を起こしマグカップを受け取る。優しい甘さに癒される。カフェラテだ。美味しい。ベッド傍の椅子に座る蓮。
「発情期は落ち着いたようだな」
「発情期? え? 一緒にいたの? アルファの蓮が?」
口にしながらアルファが一緒に居る意味を考えてルカが青ざめる。カップを持つ手が震える。
そっとルカの手からカップを受け取りサイドテーブルに置く蓮。徐々に断片的な濃厚な行為の記憶が蘇る。ルカは震える手で口を覆う。
「避妊薬は飲ませた」
蓮の言葉に唇を噛みしめる。つまり、そういうことだ。記憶がしっかりしてくる。そうだ。こいつはルカの番のはず。緊張しながら一言を聞く。
「蓮は、俺の、番なの?」
「そうだ」
あっさり認められてしまい、その後の会話が続かない。こいつが番のアルファ。震える手で布団を握り締める。
「悪かった」
無感情な蓮の一言。その軽い言葉にルカの怒りが爆発する。
「ふざけるな! そんな、そんな簡単な一言で済まされると思うのか! お前がしたことは犯罪だ! 頭おかしいんじゃないのか!」
頭に来すぎて枕を蓮に投げ飛ばし叫んだ。興奮しすぎて頭がガンガンする。枕を投げた拍子にルカはベッドに倒れ込む。身体疲労とショックに起き上がることもできず荒い呼吸を繰り返す。
「悪かった」
淡々とした蓮の口調。その様子にこいつとは分かり合う事なんかできないとルカは悟った。
「……出ていけ」
独りになりたくて蓮に告げる。
「分かった。発情期後だ。体調が戻るまで世話はする。食事は運ぶ。用があれば呼べ。扉の向こうのリビングに居る」
パタンと閉まるドア。
何の動揺も見せない蓮に悔しさが募る。ルカばかりが苦しくて辛くて。まるでオメガとアルファの差を見せつけられているようだ。薄っすらと覚えている発情期中の幸福感が虚しく思えてくる。
(何で俺はオメガなんだよ。何で蓮なんかが番なんだよ)
そんな悲しみがルカの心に圧し掛かる。
(ここから、離れたい)
ふと部屋を見ると壁側のデスクにルカの服と携帯電話がある。ゆっくり移動して自分の携帯を手にする。知らない場所に受け入れられない出来事。この状況で唯一いつもと変わらないルカの携帯電話。手に持つだけで妙な安心感。訳も分からず涙が零れる。止まらない涙を流しながら電源を入れ電話をかける。ワンコールもせず相手が出てくれる。
『もしもし!? ルカか? 大丈夫か!?』
良く知る声を聞いて「っひぅ……」とルカの喉が鳴る。言葉が出ない。
『……わかった。ルカ、辛かったよな。直ぐに助けに行くよ』
優しい川口さんの声。
「……うん」
やっと一言を伝えて電話を切る。
しばらく床に座り込み暗い気持ちでぼんやりする。動く気力もなかった。
(疲れた……)
考えることが多くて心がついて行けなかった。
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