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Ⅲ③
日差しが強くなり汗が流れる七月になった。来月からは夏休みだ。
「なぁ、壱兎夏休みどうする?」
「う~~ん、バイトしようかな。短期間バイト。普段してないこと、してみたい」
「じゃ、俺も一緒にやる」
「は? お前は実家帰らないのか?」
「壱兎と過ごしたい」
「バカだな。ま、いいや。一緒にバイト探そう。弘夢が一緒なら心強いし」
「じゃ、学食でバイトサイトのチェックしてみよーぜ」
「いいね。じゃ、また昼に」
仲良くなってから毎日朝の電車で弘夢と会う。大学生活のほとんどを弘夢と過ごしている。一緒に居て楽しいし心が明るくなる。
弘夢は否定的なことを言わないから安心して隣に居られる。今日は久しぶりに午前の講義が別だ。昼は一緒に食べる約束をしてそれぞれ別教室に向かった。
こんな親友のような関係が嬉しい。弘夢はくすぐったくて温かい存在だ。
『午前の講義は教授の都合により休講です』
壱兎が教室に行くと黒板に掲示があった。「なんだよ」「ラッキーじゃん」などと声を溢して教室を去っていく同学年の人たち。
時間が空いてしまった壱兎は学食で席をとりながら弘夢を待とうと思った。
午前の学食はガラガラに空いていて過ごしやすい。ペットボトルのお茶を買って端っこの席を確保する。スマホをいじりながら時間を過ごしていた時。
「なぁ、お前、弘夢君といつもいる奴だよな?」
急に声をかけられて壱兎は顔を上げた。
気が付くと三人の大柄な男性に囲まれて見下ろされていた。華やかな三人の迫力に驚いて壱兎は身体が固まる。こういう空気は、怖い。過去の出来事を思い出して心臓がバクバクと鳴りだす。
「なぁ、無視かよ。弘夢君は学校で唯一のアルファだぞ? 世の中のトップを歩く存在だ。誰もがお近づきになりたいって望んでいるのに、こんな平凡な奴が弘夢君の隣にいるなんて」
「身の程知らずって言葉知っているか? 空気読めって言ってんの。まぁ、うちの大学じゃ低レベルな商学部じゃ難しいか?」
「あのなぁ、弘夢君は政治経済学部の超エリートコースに居るワケ。お父様は国政の大物政治家だぞ? 知っているか?」
責め立てるように言葉が落ちてくる。怖くて壱兎の身体が震える。とにかく逃げないといけない。そんな思いが壱兎の頭を占める。冷汗が出る。
「弘夢君の秘書の席を狙っている奴は多いんだよ。お前、邪魔だ。それとも何か? お前、俺らと張り合いたいのか?」
ガンっと音を立てられて壱兎の身体がビクっと震えた。
限界だった。冷汗が垂れて目の前が揺れる。恐怖に耳鳴りがする。心臓がバクバクと速くなっている。
逃げるために席を立つけれど足が震えてその場に座り込んだ。気分が悪くて口元を必死に手で覆う。吐きそうだった。
「情けないなぁ。こんなんじゃ弘夢君の使用人レベルにもなれないんじゃね?」
床にへたり込む壱兎にペットボトルが投げられる。蓋が開いていて中身が壱兎に降りかかる。這いずるように壱兎がその場を離れようとしたとき。
「何をしている?」
冷たく凛と通る弘夢の声。壱兎の背筋をゾクリと走る何か。怖くて息が、呼吸が出来ない。滝のように汗が流れる。苦しさに壱兎の目から涙が流れる。
「なぁ、何しているって聞いているだろう?」
「あ、頭が痛い!」
「やめて、助けて!」
数名の悲鳴のような声が響いた。壱兎は呼吸をするのに精一杯で何が起きたのか分からなかった。
「なぁ、壱兎夏休みどうする?」
「う~~ん、バイトしようかな。短期間バイト。普段してないこと、してみたい」
「じゃ、俺も一緒にやる」
「は? お前は実家帰らないのか?」
「壱兎と過ごしたい」
「バカだな。ま、いいや。一緒にバイト探そう。弘夢が一緒なら心強いし」
「じゃ、学食でバイトサイトのチェックしてみよーぜ」
「いいね。じゃ、また昼に」
仲良くなってから毎日朝の電車で弘夢と会う。大学生活のほとんどを弘夢と過ごしている。一緒に居て楽しいし心が明るくなる。
弘夢は否定的なことを言わないから安心して隣に居られる。今日は久しぶりに午前の講義が別だ。昼は一緒に食べる約束をしてそれぞれ別教室に向かった。
こんな親友のような関係が嬉しい。弘夢はくすぐったくて温かい存在だ。
『午前の講義は教授の都合により休講です』
壱兎が教室に行くと黒板に掲示があった。「なんだよ」「ラッキーじゃん」などと声を溢して教室を去っていく同学年の人たち。
時間が空いてしまった壱兎は学食で席をとりながら弘夢を待とうと思った。
午前の学食はガラガラに空いていて過ごしやすい。ペットボトルのお茶を買って端っこの席を確保する。スマホをいじりながら時間を過ごしていた時。
「なぁ、お前、弘夢君といつもいる奴だよな?」
急に声をかけられて壱兎は顔を上げた。
気が付くと三人の大柄な男性に囲まれて見下ろされていた。華やかな三人の迫力に驚いて壱兎は身体が固まる。こういう空気は、怖い。過去の出来事を思い出して心臓がバクバクと鳴りだす。
「なぁ、無視かよ。弘夢君は学校で唯一のアルファだぞ? 世の中のトップを歩く存在だ。誰もがお近づきになりたいって望んでいるのに、こんな平凡な奴が弘夢君の隣にいるなんて」
「身の程知らずって言葉知っているか? 空気読めって言ってんの。まぁ、うちの大学じゃ低レベルな商学部じゃ難しいか?」
「あのなぁ、弘夢君は政治経済学部の超エリートコースに居るワケ。お父様は国政の大物政治家だぞ? 知っているか?」
責め立てるように言葉が落ちてくる。怖くて壱兎の身体が震える。とにかく逃げないといけない。そんな思いが壱兎の頭を占める。冷汗が出る。
「弘夢君の秘書の席を狙っている奴は多いんだよ。お前、邪魔だ。それとも何か? お前、俺らと張り合いたいのか?」
ガンっと音を立てられて壱兎の身体がビクっと震えた。
限界だった。冷汗が垂れて目の前が揺れる。恐怖に耳鳴りがする。心臓がバクバクと速くなっている。
逃げるために席を立つけれど足が震えてその場に座り込んだ。気分が悪くて口元を必死に手で覆う。吐きそうだった。
「情けないなぁ。こんなんじゃ弘夢君の使用人レベルにもなれないんじゃね?」
床にへたり込む壱兎にペットボトルが投げられる。蓋が開いていて中身が壱兎に降りかかる。這いずるように壱兎がその場を離れようとしたとき。
「何をしている?」
冷たく凛と通る弘夢の声。壱兎の背筋をゾクリと走る何か。怖くて息が、呼吸が出来ない。滝のように汗が流れる。苦しさに壱兎の目から涙が流れる。
「なぁ、何しているって聞いているだろう?」
「あ、頭が痛い!」
「やめて、助けて!」
数名の悲鳴のような声が響いた。壱兎は呼吸をするのに精一杯で何が起きたのか分からなかった。
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