捨てられたデータ

おが

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「お父さん!!」
佑太の興奮した声が瞼を開けさせる。
休日にも関わらず、息子というのは父親を眠らせてくれない。僕も昔はこんな感じだったのかなぁとぼんやり思い浮かべる。
佑太が何やら楽しそうな声で話をしているが、寝起きでいまいち頭に入ってこない。適当に相槌を打ちながら小さな手に引っ張られるままリビングのソファに座った。
テレビには昔やっていたシミュレーションゲームの映像が映っていた。
コマーシャルで見て、楽しそうだと思って買ったが、難しすぎて途中でやらなくなってしまったものだ。
今、画面には赤い服を着た王様のような人が昔話をしているシーンが映っている。
クリア後の回想シーンのようだ。
佑太がこれをクリアしたのか?
大人の僕が諦めたこのゲームをよくやったものだ。
いや待てよ、最近はなんでも調べれば結果が出てくる。
僕はゲームの攻略サイトを見るのは嫌いだった。その変な意地のせいでクリアできずにやめてしまうゲームがある。
「すごいな佑太は、お父さんこれクリアできなかったのに。」
内心攻略サイトを見てくれていることを祈っていた。
「何度もやり直したんだ、最初は黒の国に負けちゃったけど、頑張って守備を固めてね、ちょっとずつ赤の国が有利になって…」
佑太は夢中になって話す。
あまりに流暢に喋るので、ついていけなくなってしまい、本当に頑張ったんだなと関心する一方悔しい気持ちになる。
「それでね、この冒険の果てに何が見えるかって思うとワクワクして、諦めずに頑張ったんだ。」
どこからか借りてきたような言葉が引っかかって思わず、「なんだその言葉、どこで覚えてきたんだ?」と僕はおかしくって笑いながら聞いた。
「お父さん知らないの?デスガイザーが言ってたじゃん。」
懐かしい名前に笑いが止まる。
魔王の前のボスが強すぎて有名なRPGゲームの例のボスだ。
あのボスなんか人間味があったけど、そんなこと言うキャラクターなのか。
そうかそれはそうだよな、大人が作ったゲームだもの。なんて思いながらちょっと感動する。
我が子はこんなところでも強くなって、成長していくんだなと、子供の成長の凄さに驚いた。
「あ、智樹君と遊びに行く時間だ。」
佑太は嵐のように走り回りながら身支度を整えて、玄関を飛び出していった。
朝から珍しい刺激を受けた僕は、ソファにそっと座り直し、コントローラーを気持ちだけ強く握りしめ、ゲームのスイッチを入れ、真っ黒な画面が華やかな映像に変わるのを待った。
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