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墓場まで持っていく
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生まれた時のことは覚えていない。
しかし今の僕の状況はペットというやつだろう。
僕の目の前にいる4つの足を持つクラゲのような、僕よりも二回りも大きな生き物たちはどうやら家族というやつらしい。2本の足で立っている僕にからすると、彼らの動きはいつも予想を超える。
しわが多くなってきたお父さんクラゲ、お父さんに何か怒っているお母さんクラゲ、そして黙々と食事をとる息子クラゲ。僕は彼らが丸みを帯びたぷよぷよした足で食事をとっているのを横目にナイフとフォークを丁寧に使い、ハンバーグをきれいに食べていく。
彼らの言葉はわからない。というより、その声を発することができない。ゆえに意味などわかるわけがなかった。
それはクラゲたちも同じことで彼らは僕の言葉はわからない。この前なんてご飯の量が多すぎて食べれないと声を発したのに、ハンバーグの上にステーキが追加されてしまった。お母さんなんてことを…。
お母さんは僕によく絡んでくる。2本の足で巧みに僕を引き寄せると頭をなでてくれるが、それがあまりにもしつこい。ただ嫌いじゃないから、ある程度の頻度をもってなでてくれるとこちらとしても気分がいい。
ナイフとフォークにの使い方はお母さんに教わったものだ。
お父さんは良くも悪くも僕のことをほったらかしである。でも、たまにおなかがすいてピンチな時に内緒でご飯をくれたり、僕からお父さんのしわのある足に触りに行くとぐしゃぐしゃと足であそんでくれる。
問題は息子のやつだ。彼は家に帰ってくると僕の名前(おそらく)を呼びながら家中を探し回る。どこに隠れていても必ず最後には見つかってしまって、足につかまれてぶんぶんと振り回される。元気なころはそれにも何とか対応ができ、反撃のパンチを食らわせてやれたが、最近はどうにもしんどく、いつも息切れしてしまう。なんてひどい奴だと、嫌そうな顔をしてもなお彼は僕を捕まえて、無邪気な表情で僕を振り回す。彼はいつも元気で、笑顔で、僕はそんな彼のことがなんだかんだ嫌いではない。
陽気な彼も涙を流すことがある。ぷよぷよの足をひたすらに固くして地面にたたきつけていた彼を僕は知っている。理由なんてわからないが、彼は泣いていた。大きな声を挙げて足の形がおかしくなるまで何度も何度も地面をたたいていた。
僕はうれしかった。
言葉もわからない彼の気持ちが、わかった気がした。いや、確かにわかった。
自然と体は動いていた。
僕は彼の足をゆっくりと触り、いつもよりも弱い力でパンチした。彼は怒っている、というより悲しい泣きじゃくった顔をしていた。僕は誰にもその顔を見せてはいけないと思った。
彼もいつもよりやさしく、振り回すというより揺れるように僕をゆすった。
彼の力が弱まり、眠りにつくまで僕はそばにいることにした。
あれ?
なんでこんなことを思い出しているのだろう?
いつも見ている景色が横向きになっていた。
彼との日々が一瞬にして再生された。楽しい日々に僕は笑顔になった気がした。
僕の意識はぷつんと消えた。
しかし今の僕の状況はペットというやつだろう。
僕の目の前にいる4つの足を持つクラゲのような、僕よりも二回りも大きな生き物たちはどうやら家族というやつらしい。2本の足で立っている僕にからすると、彼らの動きはいつも予想を超える。
しわが多くなってきたお父さんクラゲ、お父さんに何か怒っているお母さんクラゲ、そして黙々と食事をとる息子クラゲ。僕は彼らが丸みを帯びたぷよぷよした足で食事をとっているのを横目にナイフとフォークを丁寧に使い、ハンバーグをきれいに食べていく。
彼らの言葉はわからない。というより、その声を発することができない。ゆえに意味などわかるわけがなかった。
それはクラゲたちも同じことで彼らは僕の言葉はわからない。この前なんてご飯の量が多すぎて食べれないと声を発したのに、ハンバーグの上にステーキが追加されてしまった。お母さんなんてことを…。
お母さんは僕によく絡んでくる。2本の足で巧みに僕を引き寄せると頭をなでてくれるが、それがあまりにもしつこい。ただ嫌いじゃないから、ある程度の頻度をもってなでてくれるとこちらとしても気分がいい。
ナイフとフォークにの使い方はお母さんに教わったものだ。
お父さんは良くも悪くも僕のことをほったらかしである。でも、たまにおなかがすいてピンチな時に内緒でご飯をくれたり、僕からお父さんのしわのある足に触りに行くとぐしゃぐしゃと足であそんでくれる。
問題は息子のやつだ。彼は家に帰ってくると僕の名前(おそらく)を呼びながら家中を探し回る。どこに隠れていても必ず最後には見つかってしまって、足につかまれてぶんぶんと振り回される。元気なころはそれにも何とか対応ができ、反撃のパンチを食らわせてやれたが、最近はどうにもしんどく、いつも息切れしてしまう。なんてひどい奴だと、嫌そうな顔をしてもなお彼は僕を捕まえて、無邪気な表情で僕を振り回す。彼はいつも元気で、笑顔で、僕はそんな彼のことがなんだかんだ嫌いではない。
陽気な彼も涙を流すことがある。ぷよぷよの足をひたすらに固くして地面にたたきつけていた彼を僕は知っている。理由なんてわからないが、彼は泣いていた。大きな声を挙げて足の形がおかしくなるまで何度も何度も地面をたたいていた。
僕はうれしかった。
言葉もわからない彼の気持ちが、わかった気がした。いや、確かにわかった。
自然と体は動いていた。
僕は彼の足をゆっくりと触り、いつもよりも弱い力でパンチした。彼は怒っている、というより悲しい泣きじゃくった顔をしていた。僕は誰にもその顔を見せてはいけないと思った。
彼もいつもよりやさしく、振り回すというより揺れるように僕をゆすった。
彼の力が弱まり、眠りにつくまで僕はそばにいることにした。
あれ?
なんでこんなことを思い出しているのだろう?
いつも見ている景色が横向きになっていた。
彼との日々が一瞬にして再生された。楽しい日々に僕は笑顔になった気がした。
僕の意識はぷつんと消えた。
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