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神崎未緒里

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ITADAKIアプリ

アプリ生活 5日目

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理想的な女性の姿がぼんやりと目の前に浮かび上がる。
徐々にはっきりとみえるようになってきた。
可愛らしい顔に大きな胸、くびれた腰や大きなお尻。
見ているだけで興奮する。
気がつけばその女性を見ながら自分のアレを握りしめていた。
まもなく絶頂した。



一体何年振りだろうか?
夢精で目が覚めた。
パンツの中がぐっちょりとしている。
夢の中でどれだけ興奮したのだろうか?
今日の朝はシャワーを浴びることから始まった。

シャワーを浴びてスッキリしたので、そのまま歯を磨いた。
汚れたパンツとパジャマを洗濯機入れてスイッチを入れた。



とりあえず着替えて朝食を食べることにした。
いつものパンと珈琲だ。



ソファーに座ってゆったりと食べていると、
スマホになにか通知がでていた。
早速見てみるとあのアプリの通知だ。
どうやら昨日のカスタマイズデータを、
ダウンロードしてみましょうと表示されている。
こちらの気持ちを見透かされてるようだ。
とりあえず通知を消して食器を洗った。

昨日だいぶ頑張ったので仕事はだいたい片付いていた。



仕事用のメールを確認してみてもほぼOKの連絡がきていたので、
予定通りここから数日自由に過ごすことができそうだ。

パソコンを閉じてさてどうしようかと考えてみる。
そういえば自分が変化しているところは自分で見ることができない。
一度それを録画してみるのはどうか?と思いついた。

早速三脚とビデオカメラを探してベッドの近くにセットし録画を開始した。
そして変化がわかりやすいように全裸になった。
そのままベッドに横になってアプリを起動した。
すべてのデータをロードするを選択して、
昨日作ったカスタマイズデータを選択した。
先日のあの激痛を思い出すと、
少々躊躇するが思い切って開始ボタンをタップした。
今回は記憶も終了後にロードするに設定した。
医者と弁護士の知識を中心したカスタマイズデータを選択した。

スマホの指示に従ってベッドに横になり両手でスマホを握って目を閉じた。
開始の合図がすると徐々に身体が暖かくなってくる。
そして、関節が少しづつギシギシと痛みだしてきた。
続いて全身が焼けるように熱くなる。
もうただただ苦しい状況に耐えた。
30分ほどそれが続いてやっと終了の音がした。

続いて記憶のロードが始まった。
ここまでの痛みは徐々に引いてきたが、
今度は閉じた目の内側が一旦真っ暗になり、
様々な映像や文字が自分に吸い込まれくるのがわかる。
これも5分ほどして終了の合図がした。

ここまで一気に変化が起こった影響なのか、
すぐには目を開けられなかった。
15分ほど気持ちを落ち着けたところ、
やっと起き上がることができた。



起き上がる際にもう身体の感覚が違う。
早速鏡で自分を見てみる。
全裸の美女がそこに映っている。



可愛らしい顔に長い髪、大きな胸にくびれた腰。
スラリと長い脚と形のよいお尻。
これが自分だとは思えないほどの美しさだ。

さらに自分を鏡越しに見ているとなにか頭がズキズキしてきた。
たまらず目を閉じるとまたも様々な風景などが流れ込んでくる。
そのときスマホから音がした。
スマホの画面を見てみるとこんな表示がされていた。

「あなたの年齢と名前を設定してください」

なるほど、カスタマイズした記憶をロードしたので、
年齢を決めないといけないというわけか。

少々考えたが見た目的にあまりに若いよりも、
30歳ぐらいとしたほうがよいなと入力し、
名前は”辰巳里美”という名前がふと思い浮かんだのでそう入力した。
そして、OKボタンをタップするとこう表示された。

「いまからカスタマイズされた記憶データから30年分の経験データを作成します。
両手でスマートフォンを持って、目を閉じてください」

指示に従って目を閉じてスマホを両手で持った。

音声案内で「データ作成中、しばらくお待ちください」と流れた。
完了しましたという通知のあと、
スタートのアナウンスとともにピーという音がした。

閉じたまぶたの裏が真っ白になり生まれたときに見た風景だろうか?
そんなものからだんだんと目線が上がっていく様子や、
両親らしき人の顔や日々の生活がどんどんと映し出されている。
そうして物語をみているかのような時間が過ぎていくとピーと音がした。

目を開けて下さいという音声案内に従って目をあけると、
画面には終了という文字が表示されていた。
その文字をタップすると最初の画面に戻った。

そしてなにか自分が誰なのかという認識が急に変わる感覚を覚えた。
先ほど見た風景がさも自分の経験にように感じられる。
自分は辰巳里美という名前の30歳の女性であるということが、
当たり前であるかのように認識される。
それでも元の自分が主体で考えたり感じたりすることはできるようだ。
先日、今日子の記憶をロードしたときと同じだったので、
どちらを主体として動くかによってうまく使い分けできそうだ。

ここでずっと全裸であったことに気がついて、先日買った下着や服を着てみた。



しかし、やはり服はまだしも下着が小さかった。
アプリでいまのサイズを確認して通販でいくつか注文した。
とりあえずはきついがあるものを着てみた。

改めて服を着た自分を見てみる。
記憶の整合がされた関係か、
違和感はないがとにかく美しい。

元の自分の人格が主体で見ているので、
何度か体験した女性の快楽がふと頭をよぎる。
しかし、始めてしまうとエンドレスになりそうだったので、
まずは録画したデータを見てみることにした。

録画を停止するのを忘れていたので録画を停止して、
ビデオカメラのデータカードをパソコンに差し込んだ。
そして、パソコンに録画データを移動させて再生してみた。




最初はまさに元の自分そのものが映っている。
そして時間が経っていくごとに身体の表面が波打っているのが見てわかる。
よくよく見ると各部の長さが変わっていったり、
顔がほぼ平坦になったところから形づくられていくのがわかる。
また胸や腰、お尻などは徐々に形づくられていく。
粘土で形を変えていくように見える。

だいたいの形ができてきたら髪の毛が伸び始める。



同時に身体中の毛が抜けている。
これはあとで掃除をしないとなと考えた。

そうして見ているといまの自分の姿になっていた。
なるほど、これだけの変化が起こっていては、
痛いのはあたりまえだし、1日何度もできるものではないことは理解できた。

こうしてこのアプリが非現実的なことを実行している証拠を目の当たりにした。
なにかのときのために動画は保存しておくことにした。

一通り動画も見終わったので、
珈琲で飲もうとキッチンに向かったとき再びスマホがバイブした。

画面を見てみると「オプション機能を開放しました」と表示されている。
説明を見てみると、なんと感情コントロール機能と書いてある。
どうやら怒りや喜び、性欲や食欲などを1日1項目1度だけコントロールできる機能らしい。
このアプリを作っているところはいったいどんなところなのか改めて怖くなったが、
性欲のコントロールというところに自然と興味がいった。

とりあえず珈琲を入れてソファーに座った。
そしてアプリの感情コントロール機能画面を呼び出すと、
たしかにいくつかの項目がスライドバーで表示されており、
すべて0~100が設定できるようになっている。
やはり性欲からだろうと性欲を50に設定して保存ボタンをタップした。
するとこう表示された。

「始めて機能を利用される方への注意事項です。
本機能は過剰な設定は心身に悪影響を及ぼすため、
1日1項目1度だけの利用に制限されております。
また、効果は30分で切れます。
あくまでお試し機能ですのでご了承ください。」

なるほど実験機能的なイメージなんだなと理解した。
で、あるなら性欲を100にするとどうなるか興味が沸いた。
早速設定しなおして保存した。
実行しますか?というダイアログが表示されたのでOKをタップした。

「指定項目を調整します。スマートフォンを持ったままお待ちください」

と表示されて進行バーが表示される。



それがすべて色がついたところで完了と表示された。

そして画面は最初の画面に戻った。
性欲を最高にしたのだが、
すぐにはなにか変化は感じなかった。
仕方ないので珈琲を飲みながら、
スマホでないか情報をみようかとしたときに、
心臓がドキドキしてきたのを感じた。
同時になんともいえないふわっとした気持ちよさが身体中に湧き上がってきた。
これはあの快楽の状態だとすぐにわかった。

こうなると身体中がだんだんと敏感になる。
なんだかわからないまま乳首や股間を触りたくなった。
どこを触ってもとにかく気持ちがいい。
少し触っているといきなり目の前が真っ白になる。
あぁ、あの幸せな感覚に酔いしれていようとすると、
また次の気持ちよさが襲ってくる。
このままではどうなるかわからないので、
フラフラになりながら服をすべて脱いでベッドに横になった。

そのままひたすらオナニーをした。



乳首を摘まめばイキ、クリトリスを触るだけでもイク。
あそこに指を少しいれようものならイク。
もうなにをしてもとにかく真っ白な幸せな世界が続く。
ずっとこのままこの気持ちよさが続けばいいと思うほどだった。

時間にして30分ぐらいたったところで急にその気持ちよさが消えた。
なるほど、事前の説明にあったとおり時間限定の機能というわけか。

それにしてもあまりにも気持ちよすぎた。
機能は終わったが身体に余韻が残っている。
こうなるとオナニーだけでなくセックスというものをしてみたくなった。
今以上の快楽だと話は聞くが実際どうなのだろうか?と。

そんなことを考えているともう夜になっていた。
夕食を食べてシャワーを浴びたあとは一日疲れたこともありすぐに眠りについた。



こうして5日目が終了した。
この時は気づいていなかったのだが、
元の自分に戻ろうという考えが全く思い浮かんでこなかった。
少しづつ戻れない道を進み始めていることは後になったわかることだった。
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