紅月

life

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紅月 完結

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この日も私は部屋を出なかった。部屋の前にはたくまくんがいる気がした。私は何故かたくまくんに恐怖を覚えている。体をえぐられるような恐怖を…


鐘の音、話し合いの始まりだ



テーブルには私とれんくん、たくまくん、そして町田くんが座っている。






何故だろう、なぜたくまくんはこんなに笑っているのか…






「じゃ、指名を始めようか。」

「っ…」


たくまくんが、処刑の宣言をした。
いままでは私だったのに…なぜ……




なぜだろう、どうしてだろう、私はとても恐ろしい気持ちになった。




なぜか最初からたくまくんの手の内で転がされていたかのような……そんな気がした









「いっせーのせっ」

3対1

指名されたのは、私だった。



「あ、あ…あぁ……」





「ははは、ははははっ…おもしろいね、その顔。絶望した顔っておもろいよね」







「青柳さん…」
「はい…」


「せっかくだし全部教えてあげるよ。


僕は…最初からボディガードさ」







「…でも、誰がじんろ」

「誰が人狼か、分かっていただろうって…?」


「君、自分のカードを見て、真っ先に他の人を確認したよね」


自分のカードを確認した時、私はせなさんの方を見ていた。だれがもう1人の人狼か知るために。





「その時の目線で分かっちゃったんだよね~。君と、早見さんが人狼だって、ね?僕、観察眼すごいんだぁ」




「で、でも相手が何かわかるのは共有者もおなじじゃ…」



「ぼく、共有者なんだ。町田くんとね。
だからね?お互いが何かわかるカードを持っている人って君と早見さんだけだったんだ。わっかりやすくて助かったよ笑笑笑」



「…」


「……んで、僕は狂信者の振りをして君と、早見さんに近づいた。ほんとはボディガードだったなんて疑いもしなかったよねぇ笑笑

まったく滑稽だったよ~」


「…」


「君ってほんと馬鹿だよね笑笑
僕が町田くんの投票になんで従わなかったのか、なぜ襲撃に失敗したのか全然気づかないんだもん」


「はっ…」



そう、私は気づかなかった、気づかなかったのだ。




この弟の行動原理は兄の安全だ…
思い出した。
そうだ、2日目の朝、あれだけ兄を襲うなと言っていたのは…

1回思い出したのに…


なんで思い出せなかったんだ……
思い出せてたら…思い出していたら………!




「僕は君にお兄ちゃんに危害を加えないように言って、自然に町田くんを襲撃させるように誘導したのさ…

そして、お兄ちゃんと町田くんには演技をしてもらったんだ~」


「くっ…」




「種明かしはこんなもん、かな?
じゃあね、人狼さん。いままでありがとう!
とっても楽しかったよ。」


パンッ















『人狼が2人とも処刑されたため、このゲームは村人陣営の勝利となりました。』
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