退屈令嬢のフィクサーな日々

ユウキ

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マーティンルート失敗①

 マーティンが、将来お守りする対象であるメイナードの元で、よく見かけるようになった女子生徒は小動物のように小さく愛らしい容貌をしていた。

 編入してきたばかりで元々平民と言うこともあり、周りが貴族令嬢ばかりの淑女科では努力をしても馴染めなくて困っていると涙を流して訴えて来た。


「注意して頂かなくても大丈夫です。お友達になれる様に、私、もっと努力します。
 ただ、心が疲れた時は、ここへ休みに来ても良いですか?」


 メイナードは生徒会長ということもあり、その訴えを受け止めた。健気に涙で潤む瞳を懇願する様に向けて小さな願いを口にするクレアに、メイナードは優しい微笑みを向けた。


「注意しなくて良いとは、君は優しいのだな。
 一時の休息であれば構わない。」


 そう許可を出したメイナードの近くで、マーティンも見守りながら、彼女の努力が報われることを願った。

 それからクレアは徐々に一時どころか、休憩時間全て戦略科へ通うようになった。
 戦略科の生徒もくるくるとよく動いて天真爛漫に振る舞い、屈託なく笑うクレアに癒されていた所もあり、忌避する事なく暖かく受け入れた。


 そんな中、マーティンは中庭で偶然一人静かに肩を震わせて涙を流すクレアに出会う。
 理由をしつこく聞くと、婚約者であるイザベラから直接詰られたと告白した。


「婚約者に近づくな」「平民上がりのくせに」


 そんな事をイザベラが?と信じられなかったが、本人に問いただせば気まずそうにな表情で「違います、良くない振る舞いを注意しただけ」と言った。

 マーティンとの関係を下手に勘ぐり、馴染めないクレアに行き過ぎた注意をしたのではと思い、頭が冷えればとマーティンはイザベラと距離を置く事を選択した。


 暫くすると、女子生徒に仲良く声を掛けられているクレアを見かけるようになった。
「あぁ、やっと友人ができたのだな」と悩んでいた少女の、努力が報われたのだとマーティンは心から嬉しく思った。

 そう思ったのも束の間、その日の午後に、クレアがメイナードの婚約者に怪我をさせたという噂が流れた。
 せっかく上手く行きだしたのに、何故とマーティンは信じられない思いでいたが、エレノアの寛大な言葉でクレアにお咎めはなかったと聞いて、心底ほっとしたのだった。
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