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迷子じゃなく誘拐だった……とは思う。スノウは嫌われているから、外に連れて行っていなくなって欲しかったのかもしれない。

クリスティーナは知っているのだろうか?
スノウを探してくれているだろうか?
戻っても良いのだろうか?

……クリスティーナの元に戻れるのだろうか?

「居ないなら別に要らない」と思われたりしているのでは無いかと、スノウは不安に襲われる。無意識に両手はチャームから離れて膝の上に置いたぬいぐるみへと向かう。


「あ、それ気になってたんだ。汚れちゃったね?洗わなきゃだね。今日はもう遅いし明日洗おう」


ロブにそう言われて、スノウは改めてぬいぐるみを見た。手で払ったとは言え、あちこち土汚れが付いていて白ウサギがすっかりマダラ模様だ。

これでは流石に一緒に寝れないかと、暗くなっていた気持ちが一層沈み、涙が滲み始める。


「スノウ悲しいー?え、どうしようロブ!」
「明日はダメ?でも今洗ったら凍っちゃう……」


2人の言葉にスノウはプルプルと頭を振って、「明日にする」と短く返した。

氷漬けになった方がもっと悲しいと思ったから。


少ししてからサロが「そろそろ寝るぞ」と号令を出して、寝ることになった。

いつもより硬くて違う香りの掛け布の中でゴードが出してくれた毛布に包まった。

いつでも崩れ去りそうな不安な足元よりも一層不安な今、スノウにできたのはチャームを握りしめて祈ることだけだった。



この数時間後、城外に無事抜け出たクリスティーナは……


「殿下……!」
「今はクリスと呼びなさいっ」
「クリス様、危ないのでもう少し速度を落としてください!」
「~~っ!分かったわよ」


前後と右側を一般騎士に扮した近衛騎士、左のやや後ろ側にラケル。それぞれで馬に跨りながら森の側の街道まで辿り着いた。
森に入ってしまいたいけれど、馬で入れる道まで回り込んで行くという近衛騎士につい大人気なく苛立ちをぶつけていた。

クリスティーナは心底案じていた。
急展開の強制力に。せめて少女と言われる7歳から事件は始まるものだと、準備を少しずつ進めながらも何処か余裕を持っていた。まさかまさかの「巻きで行きまーす」状態だ。


(え、森の中にロリコンのネクロフィリアが闊歩してたらどうしよ~スノウたーん!!
ベイマック○機能☆!とか言って暖め機能を付けてないで、防犯ブザーをさっさと作っとけばよかった~!!ごめんよぉ~!!!)


冬の森で存外役に立った機能とは露知らず、懺悔も入りつつ焦るクリスティーナの心情を知らない周りは、ただ子供の事を心配する母親の様相のクリスティーナを見て、


「ご自身のお子でも無いのになんて慈悲深い……!」
「女神の使い……いや、女神様そのものだ!」


近衛騎士達は、新王妃派から新王妃信仰へとアップグレードしていった。



──────────────────

<後書き>
同じディズ○ー繋がりということで。
ぬくぬく抱っこ機能搭載のうさぎちゃんでございました。
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